マニュアル車の運転で大ピンチ 後編

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前回のあらすじ、スコットランドのエジンバラに家族3人+義理の両親で旅行、1日だけレンタカーを借りて近くの国立公園へ足を伸ばそうとするが。車がなんとマニュアル車、しかも20年近く自分はMT車を運転していなかったのだった。

今思えばレンタカー屋から家族が待つ宿泊先まで、1.5キロのエジンバラ旧市街ヒルクライムが出来たのは奇跡に近い。

とにかくストップ&ゴーがいやなのでラウンドアバウトは完全交通ルール無視、右から来る車があろうとなかろうと演習内に割り込んで怒号のようなクラクションを鳴らされる。

お次は坂道、なんとトラックがUターンしようとして道が塞がれているではないか。まさにイジメのような展開。仕方なく停止と再発進をするハメに。坂道で唸るエンジン、にもかかわらず進まぬ車、そしてドスン、プスンのエンスト。何度繰り返しただろうか、パニクってきたのでハザードを出し、窓を開けて積もり積もった後続車の列を先に行かせ、落ち着いてから再度エンジンをかけ直す。

そのまた次は中世から続く石畳の道。狭い上に人も多くいつストップしなくてはならないか気が気じゃない。と思ったら坂の途中の交差点で信号にハマり、逃げも隠れも出来ない流れの中で坂道発進を強いられる。

ただただ、後ろにずり下がって後続へ衝突しないことだけを願ってすすむ。

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いつまでたっても変速が出来ない、うまくシフトアップ出来ない。シフトレバーがうまくキマらないようだ。
結局ローギアで走り続ける。

ようやく宿についたときにはおでこから脇まで汗びっしょり。これから始まるドライブ旅行なんて全く出来ないどころか、こんな旧市街の行き止まりみたいな所で方向展開して表の道に出る自信もない。

珍しく、胃がキリキリ刺すような痛みがしてきた。とても胃が痛い。緊張と動揺と焦燥に胃酸過多になってしまったようだ。

情けない。。。

結局、MTブランクは自分と同じくらいだが、MT歴で言えば数十年の義父にドライブしてもらうことになった。いやあ、家族4人を危険な目に遭わせる訳にはいかないし、もうここはお願いするしか方法はなかった。

一行は第一の目的地である、Bracklinn Fallという滝を目指す。

そして1時間半程走らせたところで、滝の最寄りのCallanderという小さな町で昼食を撮った。

昼食後、再び自分がハンドルを握りることにした。大分気分も落ち着いたし、なにより先ほどのヘナチョコドライビングのリベンジをしたかったのだ。

相変わらず不安定な発進。しかし助手席のお義父さんのアドバイスもあり、何とか車はスタートする。

そして事件は起こる。

数百メートル進んだ先に道路工事があり、1車線が塞がれて、仮説信号による交通整理が行われていた。

赤信号だったので停車し、青信号になって再始動した。すると何やらプラスチックのような化学製品が燃えるにおいが車内に立ち込める。臭い。

そう思ったとき窓の外から白い煙が上がるのが判った。

ヤバイ!!!車が燃えてる、煙がでてる。

ボンネットフードのスキマからも煙がもくもくと上がってくる。室内はむせ返るような樹脂の焦げる匂い。

うわ、たまらん。慌てて住宅街の広がる脇道にそれ、路肩に車を停める。

2歳の娘も「くさいー」と訴えている。

外に出て車体を確認すると、ボンネットフード、そして車体の下から白煙が湧き上がっている。

なんだかわからんが、やっちまった。

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火事になるのではないか。そう思うと更に恐ろしくなってくる。

「みんな逃げて!!」

全員外に退避させてボンネットフードを開ける。どこが燃えているのかは判らない。
まだ勢い良く煙がでているので、何かが燃えているようだ。

ともかく、この煙が収まらないことには何も出来ない。

スコットランドの片田舎で途方に暮れる。
ただただ横を通り過ぎる車からの視線が痛い。

これからどうなるんだろう。嫌な想像がモヤモヤと白煙の如く湧き上がってくる。

車はもううごかせないのだろうか。弁償はいくらくらい掛かるのだろうか。今日はエジンバラに帰れるのだろうか、明日はロンドンに帰らなきゃならないのに。車がなかったらここからどうやって戻るんだろう。。。。悶々。

ところが、一縷の望みが訪れた。

通りすがりの人が妻に教えてくれたらしい、なんとこの立ち往生の場所からすぐの場所に自動車整備工場があるとのこと。
ついさっきの道路工事の現場の横だ。大急ぎでその場所へ向かう。

大通りに工場の看板が見えてきた。看板を折れて少し砂利道の私道を進むと、古めかしい整備工場が見えてきた。
ガレージの中にはおじさん4、5人がおり、その中の2人は立ちながら昼飯のサンドイッチを頬張って雑談をしている所だった。

「すいません、車が故障して困ってるんです。ちょっとみていただけませんか?」

「どうしたの?」

「エンジンルームから白煙が上がってるんです。すぐそこ、歩いて2,3分の停めてあるので来ていただけませんか」

「車種は?」

Jeepのうーん、なんだっけな、小さいやつです。グランドチェロキーより小さい。」

「わかったあとで行くから場所を教えて。」

助かった!
その後30分後くらいにおじさん到着。状況を一通り説明する。

すると、おじさん曰く

「クラッチだね。クラッチ板が擦れて燃えたんだよ。クラッチを外さないで走ったでしょ。もう既に煙もなくなっているから、運転はできるよ、クラッチを擦りすぎないように注意してね。」

とのことだった。

よくよく思い出せば確かに変速するとエンストするかもしれないという恐れがあって、半クラのまま1速で数百メートル走ってしまったのだ。半クラのまま3000回転とかで数分走ればクラッチ板が燃えるのも納得。というか反省。。。

帰ってからYoutubeなどでマニュアル車の運転方法が結構UPされていることがわかった。これを見たら昔習ったことをおぼろげに思い出してきた。坂道発進はハンドブレーキをかけたまま発信し、ブレーキを下ろす、そうそう、あったあった。もし最初にわかっていればある程度まともに運転できていたのでは・・・・。

ヨーロッパ人必須スキルのMT車運転。レンタカー代もATとMTでは1日1万円位値段がちがってしまうだけに、どうしてももう一度リベンジしておきたい今日このごろ。

近所でレンタカー借りてスーパーの駐車場で走らせるか。でもやるならToyota Yaris(日本名ヴィッツ)位のかわいいので始めたい。

マニュアル車の運転で大ピンチ 前編

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ヨーロッパはなぜかマニュアル(MT)車が多い。オートマ(AT)の方が楽に決まってるのに。

ロンドンは道も狭く、道路工事も多く、したがって渋滞も多くてイライラする。ストップ&ゴーもしょっちゅうである。しかもラウンドアバウトは交差点ほど停止がすくないことが売りなのだが、意外と混んでいる場所では入り口で一旦停止になることも多い。

MT車がが多い理由としてよくヨーロッパは高速が多いからとか、街が小さいから渋滞しないとか一般的に言われてはいるが、どんなに理由をつけてもATのほうが片手で飲み食いできたり、カーナビを操作できたりメリットばかりだ。

近所に路駐されている車の運転席を覗いてみる。約半分がMT車だ。BMW M4やロードスターなどスポーツ系は勿論MTだが、10年落ちの車や、セアト・シュコダなど安い車はMT、一方BMW3以上・アウディA4以上、メルセデス・レンジローバーあたりはほぼAT

まあ、金があればATにするということなんだろうと思う。

ところで、先日スコットランドのエジンバラで開かれるマーチングの祭典、ミリタリータトゥを観に行った。

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これはこれでブログが書けるくらい良いものだったのだが、もちろんそれだけでは勿体ないので、1日レンタカーでのドライブの日を設けた。向かうはエジンバラから東に1時間半。Loch Lamond & The Trossachs 国立公園。

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というわけで、朝一人エジンバラ駅のレンタカー屋に車をピックアップ市に行ったのだが、なんとまあ、妻が予約していたのはMT車。ジープ・レネゲード。

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めちゃくちゃ緊張が走る。「運転できるのだろうか??」

AT車が在庫にあるか聞いてみたが、出払ってないとのこと、もう決心するしか無い。

とりあえず涼しい顔でお店のお姉さんから鍵を借り、イグニションキーをひねる。

思い返せば、最後にMT車を運転したのは20年近く前、大学のサークルの合宿で乗った友人のR32型スカイラインではなかったか。坂道発進を失敗して後ろにググっと下がったのを何となく覚えている。

半クラで発進!!と思いきや「プスン、ガツン」エンスト。。。お約束。

気を取り直してスリスリ発進。おっと完璧!とおもいきやまたエンスト。これを繰り返すこと数回。

しかし、これは序の口、試練がいきなり訪れる。

エディンバラ駅のレンタカー屋は公共駐車場の地下二階に位置しているのだ。出口に向かうスロープの前でエンストしてしまい、坂道発進の必要性に迫られた。

ウォンウォンうなるエンジンと、一向に進まない車。スロープの入り口で四苦八苦する自分。

見かねたレンタカー屋のメカニックさんが来てくれた。
なんのことはない、ギアがきちんと1速に入りきっていなかったのだ。

そして地上に出る。ここはどこだ?

まず最初のミッションはこの車で家族の待っているエジンバラ城近くの宿まで戻らなくてはならない。

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冷や汗も止まらない中、追い打ちをかけるようにトラブルがやってきた。オプションで頼んだ外付けのカーナビを取り付けると、なんとドイツ語。英語に戻す方法がわからない。かといって現在の坂道スキルではもう一度地下二階までまた降りて戻れる気がしない。

なんとか想像力を働かせてドイツ語のカーナビを操作、目的地セットをすることができた。

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ここから宿までたった1キロ先なのだが、現在地のエディンバラ・ウェーバリー駅は谷底に位置し、目指す先は山の上の旧市街のど真ん中。狭い石畳の坂道を走るという難易度S級のミッション。嗚呼、めまいがしそうだ。

つづく。