断水

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7泊8日のノルウェー・フィヨルドクルーズを終え、最後の寄港地スタバンゲルを離れたのが木曜日。金曜日は1日中北海を南下していた。その時ドーバー海峡を通過する船上で自宅が断水していることを知った。

現在自宅に訪問・滞在中の義理の両親がLINEしてくれたのだ。

どうやら、金曜朝から突然水が出なくなり、各住戸へ水道管不具合の通知があったのこと。我々の住むアパートを含む幾つかの棟へ水を供給ができなくなり、急遽夜8時から工事業者が復旧作業が開始。断水してからは食事は外食、トイレは敷地内の庭木用水道から水を汲んでタンクに流しているとのことだった。

それなら、土曜の昼にロンドンに帰宅した時点では直ってるかな。ご両親は気の毒だなあ。と半分他人事で済ませていた。

ところが帰港地サザンプトンから帰宅してみると、まだ水道は使えない、工事も再開されない様子。昨日は業者は夜中の1時まで悪戦苦闘したようなのだが、掘り返してみたところ1930年代に敷設された水道管のようで、交換パーツが手元に無く、仕方なく撤収したらしい。パーツの取り寄せも含めると、最短でも月曜日の作業再開、復旧となってしまった。

当然ながら水道が使えない家は住めない。トイレが使えない、風呂も入れない。食事も作れないし、洗えないので後片付けも無理だ。

家でご飯と味噌汁と漬物が食べたかったのに、早速昼、晩ともに外食。
1週間外食続きで、ようやく家で自炊できると思ったのにこの展開はかなりつらい。

そしてトイレ。5Lのミネラルウォータータンクを両手に下げ、三階から向かいの棟の庭仕事用の蛇口から取水するはめになった。うちのアパートはエレベーターがない為、上がったり下がったりを繰り返すこの作業はとても面倒くさい。

こちらのトイレはエコ性能が低く、タンク内に水を10L入れると全て一回で使いきってしまう。これだと、一回の水汲みでトイレ1回分の水しか持ってこれない為非常によろしくない。半分の5Lならなんとか大を流せそうなので、トイレの度にタンクの半分まで水をいれることにした。

土日は義理の両親にはホテルに行ってもらうことにした。そのほうがリラックスしてもらえる。しかも月曜からは両親はイギリス国内旅行に出てしまうので、二日我慢してもらえればよい。我々家族は夜にシャワーを使わせてもらいに訪問すればなんとか自宅でクラスことは出来る。自分たちもそうだがやはり子供は長旅の後だけに、自分のベッドでリラックスして寝てもらいたいし。

日曜日、一瞬、水が出る。日に4回、2時間ずつ一時的に水道を開栓すると通知が来たのだ。しかし、我々の棟には圧力が足りず届かないとの但し書きが。。。確かに出ない。いや、多少はでてきたのだが、泥水が少々。すかさず容器に確保。トイレぐらいには使えそうだ。

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そして月曜日。

嬉しいことが2つ起きた。まず、不動産仲介業者を通じて、大家にホテル代のサポートをお願いしていたのだが、契約上は保証外にも関わらず、我々があまりに哀れなのでお金を出してくれるとのこと。

二つ目はもちろん、水道が復活したのだ!
しかし、喜びもつかの間、ちょろちょろと圧力の弱い水しか出てこない。

どうしたものかと、アパートの管理人に確認しに行くと、業者がまた新たな不具合部分が見つかってしまい、今週中一杯はかかるのではという絶望的な話を聞かされた。

まあ、トイレ・炊事は大丈夫だし、身体も濡れタオルで拭くことは出来るから状況はかなり改善されたのだけれども。

一体いつ直ることやら。ここはイギリス、日本のように事は進まない、期待値を上げぬよう気をつけなければ。

フィヨルドツアーの話は次回以降で。

主夫のグッズ:マキタ掃除機

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日本から持参した家電で最も頻繁に使っているのは炊飯器を除けばマキタのコードレス掃除機である。

毎日娘が食事した後の床掃除、炊事後のキッチンの床掃除をするほか、スキマ時間に洗面所の髪の毛を吸ったり、部屋や廊下のホコリを取ったりすることで、簡単に室内のメンテナンスができる。

結果、普通の掃除機を利用する回数を減らすことが出来、非常に家事効率が良くなるアイテムである。勿論月に1回程度のマイカーの車内掃除もこれでOK

再充電も15分位で完了するのでどんな時でもすぐ使えて安心。

日本でも暫く使っていてとても便利だったのだが、こちらに来て子供が成長し、さらに部屋を汚すような年頃になったのでなおさら大活躍である。

このマキタ、集塵方法には紙パック式とフィルター式があるが、海外生活では使い捨て部分があると調達が難しいため、うちはフィルター式のもの。バッテリー出力も18Vでラインナップ中の最強モデル、吸引力で困ったことは一度もない。30,000円弱と値段は張ったが、その価値は充分ある。

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ところで問題は充電器。100V 50/60Hz仕様なので海外に持って行く場合は変圧器が必要になる。メーカー的にはこの充電器、変圧器仕様を禁じており、壊れてもメーカー保証外になるのだが、自分は半年使っていまのところ全く問題は起きていない。イギリスで使う分には問題ないと思われる。

貴方はゴムを付ける派?付けない派?

latex私は付けない。いちいち装着するのが面倒くさいからだ。しかもゴムをつけるとヌメリの感触もよくわからない。

とは言っても食器を洗う時のゴム手袋の話。

日本にいる時は食器は素手の手洗いでほぼ行っていた。料理の合間に使った調理容疑や皿をどんどん洗っていくと時間の節約になるし、何よりキッチンが片付いて気持ちいいからだ。

しかしながらこちらで同じように食器をあらうと指の脂が取れてガッサガサになる。特に指の側面から上(爪側)に向けて荒れまくる。

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指ガッサガサの図

主夫業を始めると圧倒的に水仕事が増える中、自動食洗機を使いこなせていなかった一時期は、ハンドクリームを塗っても追いつかず、指がヒリヒリ傷すぎて、サラダ油を手に塗り、その上からゴム手袋をして痛みをこらえて水仕事をした時もあった。

手荒れの理由は恐らく3つある。一つは水の問題。石灰分を多量に含む硬水であるため、洗剤が泡立たない。泡立たないから気がつかないうちに沢山洗剤を使っている。その結果、手が荒れてしまう。

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硬水ゆえ石灰の水垢(limescale)が1,2週間でついてしまう

もう一つは、洗剤の問題。安いからといってスーパーのPB商品を使うと、皿の油は取れず指の脂ばかり取れてしまう。こちらの製品は安かろう悪かろうが本当に如実に出る。

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安物は泡立ちも洗浄力も大幅に落ちる傾向が

洗剤の問題は、P&GFAIRYというブランドの洗剤を使うことで解決。さすが一流ブランド品は違う、日本の洗剤と変わらぬ感覚で油汚れが落ちる。

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3つ目は湿度の問題。こちらはセントラルヒーティングで常に窓際の温水ヒーターが稼働しているため、外は雨が多いにもかかわらず室内は相当カサついている。

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常に乾燥気味でニコニコマークになってくれない

現在相変わらずゴム手袋はしていないが、食器は9割方食器洗浄機で洗っている上、ちょっとした洗い物に関してはFAIRYのお陰でひどい手荒れは解消している。

主夫のグッズ:「大好きな炒めもの」レシピ本

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主夫生活も4ヶ月目に突入し、毎日料理の支度をするという作業にようやく慣れてきた。とくに晩飯については要領が良くなってきた。きちんとした食事をつくることを心がけつつも、材料はシンプル、工程が少なく楽に、そして3,40分程度で素早く作れるものにしぼられつつある。今月の夕飯メニューも反省点があった。いくつか振り返ってみる。

要領よく出来た晩飯

  • 親子丼:
    • 材料が少ないうえに調理時間は短く楽。丼だから汚す食器も少なくて済む。醬油・ダシ・みりんの煮立つ香りが海外生活者にはたまらん一品。
  • カレー:
    • 切った材料を即圧力鍋で煮込む手ぬき手法でも味に影響なし。アク取り?知らんわそんなの。
  • やきそば(チョウメン):
    • 英国系スーパーに麺と専用炒め野菜ミックス、チョウメンソースがそれぞれ普通に売られている。それらを中華鍋で合体するだけ。まな板を使わなくてすむ。
  • カジキのソテー:
    • 表面の片栗粉つけはビニール袋でやれば簡単。こちらの冷凍切り身は大きいので結構食べごたえがあり。
  • 豚の角煮:
    • イギリスは豚バラブロックが恐ろしく安い。圧力鍋で下茹でした後、味付けの為煮詰めるところが若干手間だが、なにより材料が少ない。

■一方面倒くさかった料理

  • タコス:
    • サルサソースとワカモレの準備、挽肉の準備、トルティーヤをあたためて保温する準備がそれぞれマルチタスクで発生し手間がかかる。材料も多い。ファーストフードっぽくてご馳走に見えないくせに面倒くさい。暇な時以外もうやりたくない。
  • フォー:
    • フォーに限ったことではないのだが、汁麺系は家族全員が揃った状態で作らないと、麺をゆで、具を作り、スープを温める作業が家族人数回数分発生してめんどくさい。当日、妻の帰りが急に遅くなったので、3つの作業を妻の帰宅後に再度繰り返すことになりゲンナリ。

上記以外にも中華炒めは調理時間も少なく、なにより美味しいのでレパートリーとしてはお気に入りである。私が愛用するレシピ本はウー・ウェンさんの「大好きな炒めもの」。

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おなじみエビチリや回鍋肉、麻婆豆腐などの定番だけでなく、日本人には馴染みが薄い中国家庭料理も含め本場の味付けでかつ簡単に作れるレシピ本。中国の炒めものって基本的に凄くシンプル、材料が大体2種類程度しか入っていない。煎り卵とセロリの炒めとか、ブロッコリと豆鼓の炒めとか、鶏肉と唐辛子の炒め等々。なのでとても準備も楽。自分はかつてもやしにキャベツ、ピーマンなどいろいろな材料を鍋に突っ込んで炒めるラーメン屋のそれが野菜炒めだと思っていたので、この本で材料を絞って作るという中華炒めの美学に開眼した。また味付けについても、いろいろ混ぜたりするのではなく、鶏ガラスープの素、豆板醤、甜麺醤、豆鼓、オイスターソースといった調味料の中から、その材料を引き立てるものを選んで味付けするのが奥深くて面白い。家の冷蔵庫にはすっかり中華調味料が所狭しと並んでしまっている。

UKのスーパーあれこれ

家事・育児が主夫の戦場に喩えるのであれば、兵站はスーパーマーケット。勿論アジア食材スーパーは重要だが、ちょっとした買い足し、野菜や肉、洗剤などの消耗品の調達でほぼ毎日お世話になっているのは英国系スーパー。こちらでは4大スーパーチェーンと呼ばれる、Tesco, Asda, Sainsbury, Morrisons4つがメジャー。これらだけで市場のほぼ7割を占めている。その他ロンドン都心でよく見るのは高級志向のWaitroseMarks&Spencer(M&S)

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Wikipediaより作成。

それぞれ雰囲気も違えば客層も違う。個人的な感想を交え、幾つか紹介してみたい。

#1 Tesco (シェア28.4%)

sainsburysテスコはウォルマート、カルフールについで世界第3位の小売業。日本にも一時期日本のスーパーを買収して進出していたけれど現在は撤退済み。ロンドン中どこにでもある印象。都心の店舗は小規模でコンビニサイズだが、郊外店はガソリンスタンドも併設されていたりしてとても大きい。店内は白地を基調に至ってノーフリルで平凡な雰囲気に感じる。

#2 ASDA (17.1%)

asdaアスダ。なんだかインド系とかアジアっぽい響きに感じてしまうのは私だけ?ロンドン中心部には店舗は存在せず、郊外に大きな店舗を構える。食料品だけでなく、日用雑貨、DIY用品なども売っており、スーパー+ホームセンターといった田舎っぽい庶民的な印象。来ている顧客もアジア系、アフリカ系など様々な人種が来ているイメージ。

#3 Sainsbury’s ( 16.9%)

sainsburysASDAに対し僅差でシェアを追っているためか、ASDAに敵意むき出しなスーパー。会計の際、レシートと一緒に、「今日の買い物はASDAで買った場合より◯◯ポンド安くなっています」みたいな報告をもらえる。郊外では大型店舗、ロンドン中心部ではコンビニサイズの店舗を展開しているのはTescoと一緒だが、若干Tescoよりも店内の雰囲気が高級に感じる。PB商品が充実しているからだろうか。

#4 Morrisons ( 10.9%)

morrisonsASDAと同じく、庶民的な印象。都心の店舗では白人より有色人種系の顧客が多いイメージ。割りと酒コーナーが充実している。店舗デザインは緑と黄色を基調にしており、他店の白っぽいイメージとは若干異なる。PB商品は見かけない。店舗入口にドーナツやカップケーキが並んでいたり、菓子コーナーには大手メーカーの大袋のポテトチップやドリトスなどが陳列しており、身体に悪そうだけど思わず手を伸ばしたくなる。なんだかアメリカのローエンド向けスーパーを想起してしまう。

上の4つでは、我が家が日常利用しているのはSainsbury’sMorrisons
その他利用するのが、高級スーパー。

#9 M&S (Marks&Spencer) (3.8%)

MandS-entranceMarks & Spencerは英国の百貨店。百貨店はショッピングモールなどに入っていたりするのだが、その食料品コーナーだけがスーパーとして街中にある。酒、冷凍食品、菓子などほぼ店内全てのカテゴリーにおいてM&S印のPB商品を並べており、ブランド統一感が感じられる。

marks-and-spencerまた店内デザインが黒を基調にしており、写真の見せ方なども洒落ているので上品かつ食べ物が美味しそうに見える。プロデュース能力が高い。当然ながら値段は高い。立地にもよるが、中〜上流階級のマダムが来ている印象。

#8 Waitrose (5.1%)

waitrose_exteriorJohn Lewisという英国の百貨店の傘下にある高級スーパー。英国王室御用達なのでブランドイメージは抜群。特に生鮮食料品に安心感がある。駐車場にはベンツやジャガーやテスラが停まっていたりと、このスーパーがあるエリアはそこそこ社会的ステイタスが高い人が住んでいるんだろうなと推測できる。顧客に対し、会計後コーヒーを無料で一杯プレゼントするサービスなど、全従業員はパートナーとして経営参加している為、スタッフによる丁寧なサービスが特徴になっている。

waitroseだが、しかし、個人的にはお高く止まりすぎて鼻に付く。店内は白っぽすぎて無機質、M&Sのほうがフレッシュ感、シズル感がある。そんな私はただの庶民。ところで個人的な感覚ではWaitrose>M&S>>>>Tesco=Sainsbury’s>Morriosons>ASDAかな。本当のところはどうなんだろう?