「えいごであそぼ」改悪

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source: NHK

日本に住むおばあちゃんが、娘のために日本のテレビ番組をBlu-rayに録り溜めて定期的にロンドンに送ってくれる。

いつも録画してくれるのは、朝の教育テレビの「おかあさんといっしょ」「みいつけた!」「いないいないばあっ!」「にほんごであそば」「えいごであそぼ」「モフィー」の6つ。

これが封筒で届くと娘は大喜び。早速テレビにかじりついて新しい番組を見る。今回は4月の番組改編以降の録画分だったから、いろいろ変化があった。

まず、「おかあさんといっしょ」のお兄さんがリニューアルしたこと。

ゆういちろうお兄さんのあまりの若さに驚愕。新入社員のお坊ちゃんにしか見えない。あまりのあどけなさにおじさんは不安が募る。俺も歳を取ったな。。

そして次は娘の好きな「えいごであそぼ」だ。ちなみに「にほんごであそぼ」は好きではない。美輪明宏の太陽があまりに不気味だからだ。

これもリニューアルされたらしい。「えいごであそぼ with Orton」というサブタイトルになっている。

クジラのCGを見終え、本編が始まる。

結論から言うと、非常にがっかりした。

ほぼ日本語の番組と化しているからだ。しかも勉強するのは発音だけ。

ただひたすら、ス、ス、ス、スネイク!とか、キャーン、ヌ、ヌ、ヌ、舌が上あごについてる!!!

といった英語教育全体から考えたら些末な情報を子供達に与え、発音を実践させ、日本語で喜んでるだけだからだ。

うちの子供も全く興味を示さない。

今までの「えいごであそぼ」は歌の歌詞などはあまりにシンプルすぎて変なものも多かったが、少なくとも英語を主言語としており、生の英語が聞けただけ良かった。

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コチラのほうが良かった。。。source: NHK 

 

うちの子供も保育園で英語に大分慣れ親しんでいるため、番組での英語の語感にもすんなり馴染むことが出来ていた。意味はどこまでわかっているかは判らないが、少なくとも歌と踊りを楽しんでいた。英語のワンフレーズと創作ダンスが合体した、「へんてこダンス」も気に入っていた。

ところが今回はなんなんだ。厚切りジェイソンがほとんど日本語を喋ってるではないか。

電線に留まった鳥がなぜ関西弁を喋ってオチまでつけてコントをしているのか?関西弁の教育番組か?

水族館で、「うーん、伊勢海老、マネー、ハイ」とかクソ下手すぎて何がいいたいのか判らないくらい、全く意味不明な親子の英語を聞かされる意味がどこにあるのか?こいつ下手だから私も自信がでる!というロジックなのか?

田中理恵のカタカナ英語で体操をおどるのがなぜ英語の勉強になるのか?百歩譲って発音の練習番組なんだから、少なくとも英語話者が体操すべきではないのか?

もう子供に見せません。即刻打ち切りを希望します。

こんな番組で英語が出来るようにもなると思えないし、そもそも子供達が英語を好きになるとも思えない。

21世紀になっても発音に固執して、英語がコミュニケーションのツールである事を二の次にしてしまう日本の英語教育の底知れぬ後進性に鳥肌がたった瞬間であった。

主夫のグッズ:ジェットキッズ(JETKIDS)

Jetkids

4月の後半、義姉夫婦の住むドバイに家族で遊びに行ったのだが、そのとき我が家に新しい旅のツールを導入した。

JETKIDS。

これは、子供用エコノミー座席エクステンションと呼べばいいのだろうか、エコノミー席の足場を埋めてフラットシートにしてしまうというツール。

昨年12月に一時日本帰国したフライトの中で、近くのイギリス人と日本人の夫婦が子供に使っていて、気になって購入したもの。

うちの娘も4月で3歳、そろそろベビーカーに乗せて海外旅行に行くのも微妙な年頃。JETKIDSならスーツケース状態にした時には上をまたいでちょっとしたカートになってくれるので子供も大喜び。空港のなめらかなフロアの上ではスイスイと進んでくれる。うちの子はまだ小さいので両足がつかないが、5歳児くらいなら両足が着くので自分で漕いで行けるのではなかろうか。

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そして、本領発揮なのは勿論機内。カマボコ型の上部の蓋を上下ひっくり返して装着し直すと上部が平面になるので、その上に格納されていたスポンジマットを敷けば丁度座席のスキマが全てシートと同じ高さの贅沢フラットシートに早変わり。

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ああ、いいなあ。お子様って羨ましい。

そしておやすみなさい。頭がつかえるのでさすがに全くのフラットにはなっていないが、安眠確実なのである。寝相が良くなるので、抱きかかえたり、姿勢を気にしたりするようなこともなくなり、親の負担も確実に減る。

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箱の中は若干のスペースがあるので、子供のおもちゃ、ワイプなど小物等は入れられる事が出来る。

こんなJETKIDSだが、残念な点もいくつかある。

残念な点

  • キャリーオンの荷物が一つ増える。
  • さほど収納力は期待できない。
  • スーツケースと同じで空港の中などなめらかな路面のみ。土や砂利などの悪路は走破できない。
  • 着陸・離陸時には勿論片付けなければならない。
  • 短距離フライトには向かない(〜4時間)ので出番が限られる。

エコノミーで足を投げ出せる身体のサイズを考えると、5−6歳までは行けるのではないだろうか。中古で買えたり、兄弟姉妹で使い回せれば良い買い物になるかと思う。

Gruffalo(グラッファロー)

Gruffaloイギリスの児童絵本の定番は日本でもおなじみの、アメリカ人作家エリック・カールによる「はらぺこあおむし」(The Very Hungry Catapillar)。

しかし、それより人気なのはイギリス人の作家、ジュリア・ドナルドソンによる「The Gruffalo(グラッファロー)」。

これは森のねずみがグラッファローという架空の怪物に遭遇するお話。じつは日本語でも「もりでいちばんつよいのは?」という邦題で発行されているらしい。

Gruffalo-book

実は歴史は浅く、初版は1999年。しかし2015年現在までにおよそ1,300万部が発行されている。Wikipediaによると、はらぺこあおむしの初版が1969年で、現在まで3,000万部ということだから、発行ペースははらぺこあおむし以上である。

その人気たるや、絵本だけに収まらず、保育園の壁にイラストが書かれたり、ハリー・ポッターシリーズに出演したヘレナ・ボナム=カーターなど一流俳優をキャスティングしたCGアニメーションになったり、グラッファロー人形はなぜかデュッセルドルフの空港の売店でも見つけることが出来たほど。

gruffalo-movie

ところでこのThe Gruffalo、どんな話かというと、簡単に言って次の様な話である。
ネタバレがいやなら見ないで欲しい。

一匹のねずみが、森を散歩していると、キツネやヘビなど次々と捕食者に狙われるのだが、その度にグラッファローという架空の恐ろしい怪物をでっち上げ、追い払うことに成功する。すると、嘘が真になって、突如森の中でグラッファローが現れてしまう。さらにねずみは機転を利かせ、自分が森でいちばん強くて恐ろしい動物だとホラを吹き、嘘だと思うなら一緒に来てみろとグラッファローを連れて森を歩く。周りの動物たちがグラッファローを見て逃げていく様を目の当たりにし、グラッファローはねずみの言うとおり、ねずみが最強なのだとすっかり騙され、ねずみに恐れをなして逃げてしまう。そしてねずみは平和に暮らしましたとさ。

小さいねずみが機転を利かして怖い動物を翻弄する。痛快でしかもグラッファローがきもかわいい。その辺が人気なんだと思う。

ところでこの話、嘘をついたら本当になってしまい、自分に不幸が帰ってきた、というところはオオカミ少年などでよくある因果報応的な話.。しかし、面白いのはそこから。そのピンチに対し、更に嘘を重ねることで結局辻褄が合ってしまうのだ。

絵本のストーリーには作者の生まれ育った国の文化背景や慣習、歴史などが少なからず反映されていると思う。その点を踏まえると、この話はいかにも大英帝国らしい話ではないか。

小さな辺境の島国が大国スペイン、フランス、オーストリアなどを相手に抜け駆けて、いち早く大帝国を築きあげたこと。さらには世界の大国であったインド、眠れる虎と言われた清国なども食い物にできたこと。二枚舌外交などという策を巡らし、各国の反目する民族にそれぞれ甘いウソを重ねたこと。現実はパレスチナ問題など中東に深い傷を残してしまっているが、きっとグラッファローの話のように上手く帳尻が合ってしまったケースも沢山あったに違いない。

子供の頃からこんな話を聞いて育つイギリス人。きっと要領のいい子が育つに違いない。桃太郎を読んでも帝国は築けないだろうなぁ。そんなことに思いを馳せると海外の絵本の楽しみも増える気がする。

英会話に必要な筋トレとは?

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今日は最近ロンドンに赴任された大手日系企業の方とランチをした。

その中で話題になったのが英語学習。

英語を喋ることと勉強することは全く別のことなので、イギリスに来たから必ずしも英語ができるようになるわけではない、しかも着任早々会議やらメールやら実践が始まるなかで、英語力の不足を感じることもしばしば。皆さん英会話学校に通ったりして苦労されている。

自分も英語学習は海外にいるからこそ余計意識して行っている。

使っているのはオンライン英会話とオンライン英作文。

自分の経験から、普通リスニングや英会話ばかりに意識が行ってしまいがちなのだが、英作文トレーニングの必要性は侮ってはならない、とアドバイスさせていただいた。

英会話をやっても短いフレーズは反射的にできるようになるかもしれないが、状況説明や仮定・推論、場合分けなどなど、複雑な情報をかわさなくてはならないビジネスの場面で必要な会話スキルは身につかないケースが多い。

英会話を習っているのに、ある一定以上の複雑な内容を話そうとすると、いつまでたっても言いたいことが構造的に表現できず、ブロークンイングリッシュになるか、しどろもどろで結局言いたいことが言えないパターンに陥る。

中高時代に習った文法の記憶を蘇らせ、英会話では意外と適当になってしまう時制や冠詞、単数複数の正しい使い方、第4・第5文型あたりから再度マスターし直す必要があると思っている。

そしてビジネスで必要な複雑な内容、丁寧な言葉を喋れるためには、関係代名詞、仮定法の正しい使い方をしっかりと押さえて置く必要もある。

正しい文法で文章を書け、なおかつ日本語を見て瞬間的に英語が書ければ、言葉に出す=喋ることも理屈上できるはず。

しかも、リスニングに関しても、正しい作文がきちんとできることで、英語を正しく聞き取る素地ができると思っている。

というわけで今日ランチをご一緒した方にお気に入りの英作文サービスを紹介した。フレーズフレーズミーというサービス。

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瞬間添削という機能がウリで、機械的な自動添削で書いた英文を瞬時に添削、解説も返してくれる。

作文後すぐに確認できるので、爆速で学習できるのが良い。しかも、一問一答対応でなく、与えられた日本語に対応する正解がいくつも用意されているため、納得感もあり、実践的である。

どうしても瞬間添削のダメ出しに納得行かない場合は、人間による添削サービスも受けられる。1週間程度かかるが、正解にしてくれることもあるし、間違っている場合もきちんと説明を返してくれるので何故自分の表現ではだめなのか理解が進む。

本サービスは機械学習をしているらしく、利用者の解答をどんどんフィードバックとして取り入れ、各問における正解のバリエーションや添削内容も増えていくようだ。

利用開始当時、第一問目「あなたのお陰で楽しめました。」ですら、正しい英語にすることが何度やってもできず、愕然としたのを覚えている。

ところでこのサービス、解答は用意されておらず、自分で何度も間違えながら正解にたどり着かなくてはならない。これが更に学習効果を高めていると思う。

英作文を毎日、何周も反復練習することで、反射的に英文を組み立てる能力がどんどんついてくるのが実感できる。その後のオンライン英会話ならびに実際のミーティングでの発言力も格段に上がる。作文はスポーツにおける基礎練習・筋トレのようなものだ。

こんなにオススメして、アフィリエイトしていないのが悔しいくらい。

無料会員でもそれなりに利用できるが、筋トレには物足りない。来週からお得なキャンペーン(下記引用)もあるので、英語・英会話に興味ある方は有料で是非チャレンジしてほしい。

2017/2/27(月)12:00より、春の英作文強化月間を実施します。

日替わりテストから出題される問題限定ですが、通常は、プレミアム会員の方のみご利用いただけるプレミアム添削を、一般会員とレギュラー会員の方にもご利用いただけるようにいたします(会員区分について詳しくは、会員区分についてをご覧ください)。

もちろん英語の勉強法は学習レベルによって人それぞれ。これがすべての人にとっての正解ではない。単語力もディクテーション能力も発音もちろん必要であることは断っておく。

海外主夫候補生からのメール

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10年来の友人から、相談が舞い込んできた。

奥様の海外転勤が決まり、一児の親であり、夫である自分はどうすべきだろうかという相談だった。

まさに1年半前に自分が悩みに悩んでいたテーマである。

赴任地はオーストラリア。

勿論、家族と一緒にいるのが良いに決まっている。当の本人も家族全員での渡豪を望んでいる。

そもそも片親で海外子育てはほぼ不可能、子供が病気になった時点で仕事できなくなってしまう。共働きである我が家でも子供がいつ病気になるのか常にヒヤヒヤしているのだ。

帯同する夫が仕事を続ける上で取れるオプションは3つ。

  1. 今の仕事で転勤の可能性を探る
  2. オーストラリアに転勤の可能性のある別の仕事を探す
  3. 現地で探す

まず、1だが、難しい。そもそも世界の主要都市に事務所があるのは大手金融、商社、メーカーくらいしかない。その上、妻と同じタイミングで赴任、そして同じタイミングで帰国ということが出来るはずもない。

2 については、やはり働く側の都合の良い夢物語にしか過ぎない。まず海外赴任のコストは赴任手当、そのた生活コストの援助などで通常のその人に支払われる給与の1.5倍はかかると言われている。これから行くとわかっているなら現地採用出来るかもしれないのにそもそも赴任させる理由があるのかということになる。今度は万が一あったとしても、逆に配偶者の帰任が決まったら一緒に日本に帰国したいのか?という疑問が雇用者側に生まれてしまう。

現実的な解は3番しかないのだ。会社を辞め、帯同し、そこから新たに仕事を見つけ、復職する。
自分が取った道だ。

もちろん自分も3番で頑張って欲しいと伝えた。

ただ、これも自分の経験からそう簡単ではない事は明らか。やはり帯同者である以上、雇用者側はいつ帰ってしまうか分からないリスクを非常に気にする。しかも日本の企業は現地採用でも日本と同じ正社員・フルタイム雇用にこだわることが多く、欧米では割りと普通な期間限定のコントラクター的な採用の発想は薄い。従って面接までなかなかたどり着けないのが現実。

とにかく、立場はバイトでもフリーランスでもなんでもいいので、自分の元の仕事に近い分野の仕事を始めて、実績を作ること、そして現地日本人社会との人脈を築き、チャンスを逃さず拾うこと、打率を上げて打席を増やす。これしかない。

勿論海外での仕事と子育てを両立できた暁には素晴らしい体験になることは間違いない。最悪仕事がなくても家族全員で海外生活を過ごすことは、長い人生の中で短い子育て期間を考えたときに、かけがえのない経験になることは確かである。

それでも、友人もアラフォー世代だということを考えると、経験者としては両手でオススメすることは憚られてしまう。キャリアリスクと今後発生するストレス・プレッシャーに耐える覚悟が本当にあるのかと。

そして気になるのが渡航先。ニューヨークや東南アジアならなんとかなりそうな気がするが、個人的にはオーストラリアだとジョブオポチュニティがあるのか判然としない。このあたりは本人の職種なども関係するのでなんとも言えないが。

ここで、ふと一つ聞きそびれたことがあったのを思い出した。

お子さんの年齢は現在幾つなのか?

子供の年齢で大分話は変わってくる。それはつまり現地でも夫に仕事が見つかるか?ということではなく、夫が本当に帯同する必要があるのか?というそもそも議論の大前提の部分。

聞くとご子息は小学校高学年とのこと。

であれば、寂しいかもしれないが、全体最適解は家族バラバラ、夫は今のキャリアを優先させて日本に残り、母と子だけで海外赴任するということが現実的なのではと考える。

その中で出来る限りのこと、例えば数ヶ月休職をして生活のセットアップを手伝う、有休をフルに使ってなるべく頻繁に家族で集まるようにするなどを考えたほうがいいということだ。

本議論に関しては色々なファクターを考え無くてはならない、帯同者の仕事内容、本人のスキル、年齢、子供の人数、年齢、帰国後の生活や仕事。現在の変数と将来のシナリオを組み合わせ頭をひねる必要がある。

でも最後は、海外でもどうにか自分は仕事ができる、してやるという根拠のない自信・強烈な達成意欲と、まあどうにかなるでしょという楽観的なマインドがなくてはどうにもならない。

皆さんだったらどうしますか?帯同しますか?