だから僕は肉を焼く

fire夜中の23時。俺は肉を焼いている。
オーブンの灯りが静まり返ったキッチンに寂しげに仄めく。

肉が食べたいからではない。
明日娘に食べさせる肉を焼いているのだ。

今週日曜日から1週間、妻が日本出張に行っている。残された自分と娘。
今日は2日目の晩が終了。ここまでは全て自分で対応した。

明日は小休止。ナニー(ベビーシッター)にお願いして、ナーサリーの迎え、食事、風呂、寝かせまでお願いする予定。
自分はすこし遅くまで仕事をして、普段見ぬロンドンの夜の街をぶらついて帰ろうかと思っている。

ところで、ナニーに子供の食事をしてもらえるといってもご飯の用意はコチラでしておかなくてはならない。shiokoji_chickenとりあえず明日の子供の夕食は、妻が作り置いてくれたものと、今焼いている鶏肉の塩麹漬け。作り置きはインゲンの胡麻和え、高野豆腐。味噌汁はフリーズドライのインスタントに。

勿論作り置きをしてくれた妻には感謝なのだが、自分と子供の2人だと、楽な面も実はある。
一番は炊事の手が抜けること。家事・育児における炊事の負担はハンパないのだ。

だから、子供の分さえきちんと食べさせれば、自分は正直どうでもいい。晩御飯はビールにピーナツとか、ワインにチーズとか、ちょっと小腹が空けば辛ラーメンにもやしをいれればそれで十分。

子供の食事でさえ、買えば済むソリューションも日本ほどではないが、それなりにある。例えば冷凍餃子、日本製だけでなく、韓国製や中国・香港製も合わせると結構なバリエーションがあるし、とくに中華圏の水餃子は美味しい。子供も大好きである。

そしてピザ。こちらのピザは4−5ポンドで具だくさんな冷蔵ピザが売られている。これをオーブンで焼けば日本の配達ビザとほぼ変わらぬクオリティのピザが食べられるので、自分は赤ワインでも開けて、これを娘とシェアすれば十分。

あとは乾麺のうどんやひやむぎ。細かく刻んだニンジンや白菜をうどんスープで煮込み、うどんを合わせるだけ。野菜があまり気にならない形で食べてくれるのが良し。

20分経過。ひとまず完成。ネギっぽく見えるのはリーク。ネギより大きいので、写真では鶏肉が小さく見えてしまう。これで明日は安心だ。とりあえず焼き鳥臭くなった身体をシャワーするか。今日は娘はぐっすり寝ているようだ。

 

ひとりぼっちの夜。ちょっと幸せ。

ロンドン兼業主夫の日常生活

London_bus

イギリスで現地就職し、フルタイムで働き始めてから8ヶ月が経過。

それまでは日々の家事・育児をフルタイムで面倒を見てきたが、今年の初めからガラリと関わり方が変わった。

とはいえ、そもそも主夫として渡英した以上、家事・育児は半々で見ることに。とくに夕方の子供の迎えから夕食の準備については、メインで自分が担当することとした。とはいってもやはり妻が細かいところまでいろいろ手をかけてもらっているので、自分は半分も出来ていないとは思う。

以下は通常時における平日のスケジュール。

schedule

6時半:起床

目覚めからトップスピードでバタバタが始まる。まず子供を起こさず、自分の自由が利くうちに自分の弁当の用意をする。外食することも少なくないのだが、日本人の口に合う物が少ない事、食べに行けば普通に10ポンド程度はかかってしまう事を考えると、残り物や作りおきで弁当を作ってしまう事が多い。

その後、子供を起こす。大体機嫌が悪く「抱っこ~」と絡んでくるので、Cbeebiesという子供向けテレビ番組を点け、「イチゴのヨーグルト食べる?シリアルにする?パンにする?」と上手く機嫌をとり、食卓に着かせる。

妻が選んだ服装に着替えをさせて(服選びは苦手)、自分は妻や子供より先に出勤。

朝は妻がナーサリーまで車で送りに行き、一旦車を自宅に戻してから電車で出勤している。

8時:通勤

晴れている日は自転車、雨であればバスを利用。自転車ならば6.5キロ、25分で着くところ、ロンドンの劣悪な交通事情を反映し、バスの場合は50分かかる。但し、バスなら携帯の電波が常時入るため、2階建てバスの2階の一番前でロンドンの朝の景色を眺めながら、テザリングで仕事ができるというメリットもある。

9時:出社

健康な我が子に大感謝。ナーサリーから急に呼び出されたりすることは今のところ全くなし。また勤務形態については、週1回程度は自宅勤務にしている、集中して考えたり、作業をしたりするのは一人ぼっちのほうが効率が良い上、通勤時間を節約できるので有効時間も増える。

17時:帰宅

ナーサリーが18時までに閉まってしまうので、気持ち焦り気味で会社を出る。イギリスでは夜遅くまで預かってくれる保育施設は稀。なにせ子供は8時までに寝る国なのだ。

1740分:保育園ピックアップ

一旦家に帰り、米を研ぎ、炊飯器のスイッチを入れ、車に乗り込み、ナーサリーへ向かう。片道5分~10分弱。ナーサリーでは担当の先生から、一日の娘がなにをして遊んだか、お昼に何を食べ、昼寝は何時間だったかといった出来事を口頭で受け、その後名簿に退出のサインをして退園、帰宅。

1815分:帰宅・夕食準備

ここから寝かしつけまで怒涛の3時間が始まる。まずはすぐさま食事の準備。飯は帰宅までに何となくメニューを考えておくが、味噌汁などは冷蔵庫の残りを見て適当に具を決める。メインは30分程度で出来るような物を作る。短時間でカレーなどが煮込める圧力鍋が大変重宝している。あとは週末に塩漬けしたサーモンを焼いたり、中華炒め物など。

1845分:食事

ビールかワインを開け、小休止。子供にご飯を食べさせ、自分もご飯を食べていると妻が帰宅してくる。ここで娘の相手をバトンタッチし、自分は妻の食事の準備。

妻は洗濯機を回した後、食卓へ。

娘と妻が食べている間、先に飯を食べ終え、すぐさま自分の食器、キッチンの料理器具などを片付け始める。欧米ならではの巨大な食洗機がキッチンに装備されているため、鍋を含めほぼ全て入れてスイッチを押せばOK。手で洗い物をしなくて済むのは本当に素晴らしい。

この一方で、お風呂のお湯を入れ始める。

1945分:風呂

風呂は追い焚きなど出来ないので、このタイミングで入れるのは子供ともう一人だけ。妻と私では恐らく82くらいで妻が子供と一緒に入っている。子供が風呂に入っている間に、テーブルの残りを片付け、部屋のカオスなおもちゃを片付ける。でも一瞬一人になれるのでとても幸せな時間でもある。

風呂から上がってきたら、子供を着替えさせ、ドライヤー、歯磨きと一連の仕上げ作業に入る。

21時:寝かしつけ

寝かしつけは妻のタスク、とは言え自分も一緒に寝ることを子供に要求されるので一緒に寝室に入る。寝る前は本を読むのが日課なので、私と妻でそれぞれ読む。疲れているのでこちらも一緒に寝付いてしまい、気がつくと22時半~23時になっていてドキッとする。

23時:自由時間

洗濯物を夫婦で干した後、至福のひととき。仕事のメールを返したり、ネットを見たり、オンライン英会話したり、家計簿をつけたり、次の週末の予定を妻と計画したりなど、落ち着いた時間を過ごすことが出来る。仕事が忙しい時はこの時間も貴重なリソースに。

2時:就寝

風呂に入ってない場合は風呂に入り、就寝。

ーーー

ざっとこんな感じで毎日が飛ぶように過ぎていく。

夜の飲みはほぼ入れないか、入れたとしても、一旦帰宅し、保育園の迎えと夕食の支度を終え、妻とバトンタッチしたところで再度外出することがほとんど。本当ならば、夜の付き合いで増える人脈もあるだろうし、ロンドンだからこそチャンスは転がっているのだが、そこは逆に欧米っぽく割り切った。

逆に避けられないのは出張。最近自分の仕事内容が広がるなかで海外出張が多くなり、自分のライフワークバランス的には充実しているのだが、妻の負担が増えているのは申し訳ないところ。但しそこはなるべく回数を減らし日帰りや朝帰りなどで工夫をして両立をはかっている状況である。

アルハンブラの思い出スープ

Granada

アルハンブラの思い出

思い返せばもう1年以上前、昨年6月に母をスペインに連れて行った。バルセロナからアルハンブラ宮殿のあるグラナダ、そしてミハスという行程、家族全員ではなく、当時専業主夫だった私が、ロンドンに遊びに来ていた母を連れ、子供の面倒を妻に託し、生まれて初めて母子二人旅をしたのだ。

その時、グラナダで食べた思い出の味。それがこのスパニッシュスープ。
served

思い返すとグラナダ到着当日は大変だった。LCCの貧乏旅行ゆえ、バルセロナからグラナダのフライトが大幅遅延し、我々はヘトヘト。その後空港から乗った市内までのバスの降りる場所を間違えて、一つ先まで進んでしまい、タクシーも捕まらない中、大きなスーツケースを引きずり、トボトボと歩いてホテルに向かう羽目に。

夜9時をまわり、日もすっかりくれてきた。さすがに六十過ぎの母は限界を迎えたため、歩いている途中に見かけたレストランに入ろうと叫びだした。

それはよくある広場の観光客向けレストランと言った風情。正直私は不満たらたらだった。旅行の貴重な楽しみの一つであるメシというイベントを、ネットで口コミも確認もせず、こんなリスキーな状態で迎えたくはなかった。

だが、そんなことは言ってられない。仕方がないので、前菜のスープと、サラダ、そして普通に肉を頼んでさっさと食って、ふて寝でもするか。ホントはパエリアとか、タパスとか食いたかったのに。

と思っていた矢先であった。

ここで適当に頼んだ本日のスープが、とてもうまかったのだ。

見た目は単なる野菜スープでピンとこなかったのだが、味は最高だった。ドライソーセージが入っており、そこから抽出されたと思われるダシがガツンと効いている、そしてホウレン草がクタッと入って口当たりが良い上少々ほろ苦い、最後に細かく切ったゆで卵が入ってコクや深みを加えている。

特に最後のゆで卵が入っていることに驚いた。折角の透明なスープが黄灰色っぽく濁ってしまうのである。中華スープの溶き卵なら許せる、ふわふわな卵がまるで白糸の様な繊細さを以ってスープの主役を演じている。

翻ってこちらはただの粉っぽい黄身と、細かく砕けたプリプリの白身が、普通に食べればそこそこ美味しそうな野菜コンソメスープに渾然と浮かんでるのである、日本人の美的感覚からはありえない。

だが、ゆで卵が入らないと美味しくないのである。

その後ロンドンで英語やスペイン語のレシピを研究し、自分なりのレシピをまとめた。一応備忘録的に記しておきたいと思う。

スパニッシュスープ・レシピ

  • 材料(4人前)
    • 水      720ml
    • サラミソーセージ     150g
    • にんにく     1カケ
    • ローリエ   2枚
    • ベーコン(もしくは厚切りハム・ソーセージ)100g
    • ★玉ねぎ 1/2玉、みじん切り
    • ★セロリ 一本 小口切り
    • ★ひよこ豆   1/3缶
    • ★じゃがいも 1個、1センチのダイス状
    • ★マッシュルーム 3−4個、薄切り
    • ★種無しオリーブ塩水漬 7−8個、薄切り
    • ホウレン草(ベビーリーフ)3掴〜4掴み、たっぷり
    • ゆで卵 2個、みじん切り
    • 胡椒

作り方

  1. サラミを細かく1センチ角の大きさにカットし、にんにく、オリーブオイルと一緒に炒める。
  2. 脂がでてきて、こうばしくなったら、水720mlとローリエを入れ、圧力鍋で10分圧力、その後蓋があくまで放置。脂が多い場合は、蓋を開けて脂を多少取り除く。
  3. ★の野菜とベーコンをカット。野菜は必ずしも指定のものでなくても良い。正直なんでも良いと思う。下の写真ではひよこ豆がなかったのでプチトマトを入れてみた。ベーコンやハムを入れるのは肉っぽい食感がほしいから。
  4. 3番を2番の中に投入、中火で煮立ててアクをとり、その後圧力をかけて再度加熱、やはり10分圧力、その後放置。
  5. このタイミングでゆで卵を作り、カットする。cut_egg
  6. 蓋が開いたら、圧力無しで加熱しながら、ホウレン草をちぎって投入、塩コショウで味を調節しながら、5分程度煮込む。
  7. ホウレン草がクタクタになったところで、最後にゆで卵を鍋に投入。完成。

召し上がれ!

served

合わせる主食はご飯ではなく、是非美味しいパン屋のバゲットでいただいて欲しい。バターは自分のお気に入りのPresident。そして合わせるお酒は白ワイン。今回はドイツのリースリングで。

辛くないので子供もとても喜ぶ味。翌朝二日目の煮詰まったスープも美味い。

時短レシピ

面倒くさい人は、サラミを炒めた後、全ての材料を一度に鍋に入れ1回でスープを作ることも出来る。但し、自分が比較した感想では、美味しさでは微妙にダシ汁と具の工程を分けたほうがスープの味がしっかりするような気がしている。

 

通算100回記念 突撃!主夫インタビュー

このブログも開始して10ヶ月が経過、投稿も100回を超えた。無職となった自分の名刺代わりにとはじめたこのブログ、非常に有意義な活動になって来た。ブログを通じて現地の日本人ママ友や仕事のおつきあいなど新たな人脈がひろがったり、イギリスの日本語フリーペーパーに掲載してもらうこともできた。

最近では日本の有名私立大学の社会学部の学生から卒論の研修題材に取材を受けたりすることも。

そのインタビューでの質問と私の受け答えを一部をテキスト化してみた。

interview


基本情報


年齢

42

お子様の年齢

娘、2歳半

家族構成

3人

あなたは以下のうちのどれに分類されますか?(専業主夫・兼業主夫・その他
兼業主夫の方は、どのようなお仕事をされていますか?

兼業主夫です。フリーランスで現地日系企業の事業戦略策定・事業開発、現地ウェブサービスの事業アドバイスなんかをしています。

主夫歴を教えてください (◯年目)

9ヶ月

主夫になった経緯を教えてください。

妻の海外転勤。妻は日本のメーカーで勤務しており、昨年4月に育休を終え、時短で職場に復帰しました。間もなく、産休・育休前から関わっていた海外プロジェクトに戻ることになり、海外赴任のチャンスが回ってきました。妻からどうしようかと相談を受けたのですが、自分が行きたくてチャンスが有るなら手を挙げるべき、ここで子供や家庭のせいで行かない意志を示すと、今後一生海外赴任はなくなるぞと、妻を応援しました。その場合は私が会社を辞めて主夫として渡英することになるわけで、妻の会社の上司や私や妻の両親にも本当に大丈夫なの?と心配もされましたが、なんとか周りの皆様の理解を得ることが出来、昨年11月よりロンドンにやって来ました。

毎日の生活について教えてください

平日の家事・育児は私がほぼやっています。娘のナーサリーの送迎、買い物、晩御飯の食事の支度、掃除などがメインです。妻が6時半頃帰宅すると、子供の風呂入れと寝かしつけ、洗濯を分担してもらっています。

娘を朝8時半から夕方6時までナーサリーに預けている間は、基本仕事に当てています。仕事の無いときは運動や読書などをしています。

尚、週に1日ナーサリーがない日があるので、その日は1日中子供と一緒にいます。そういった日は公園に行って遊んだり、昼ごはんを食べさせたり、昼寝の寝かしつけをしたり、一緒にスーパーで買い物したりしています。

家事について


家事はどのように分担をされていますか?

基本的に平日の家事は私が担当しますが、子供の風呂と寝かしつけは妻が担当しています。妻が出張で家をあけたり残業の場合はすべて私がやります。洗濯もあまり好きではないので、私が干すのを手伝うくらいですね。土日祝日は二人共家事をやります。

いつから家事を行うようになりましたか?

今回ロンドンに来日本にいたときも、食事の後の食器洗いやトイレ掃除、掃除機を回すとか、やってはいましたが、どうしても自分が主体で動くというより、妻に言われてやらされている、手伝っているという気持はどこかにあったと思います。

家事は得意ですか?

得意と思ったことは一度もないのですが、やらなくてはならないので自分のタスクとして淡々とやっている感じです。但し、数をこなすにつれ、手際は良くなって生産性は上がっている気がします、晩御飯を30分で作るとか、こまめに床のゴミを掃除するとか。

家事を行うようになってから、戸惑いはありましたか?

ありますね。渡英した直後は環境も整っておらず、知り合いもいないので孤独だったこともありますが、とにかく会社仕事とのギャップが大きくて、嫌になりそうでした。毎日毎日同じことの繰り返し、作業が近視眼的でなおかつ孤独、熟考する機会も必要もなく、自分がどんどんアホになるんじゃないかと。昼間から酒ばっかりのんでいました。

家事を行うことは好きですか?

特に好きではないです。ただやらなければ家庭が回らないのでタスクとしてやっています。むしろ好き嫌いということは余り考えたことは無いです。そのタスクをどれだけ上手くこなせるか、を気にしています。ただ、タスクの中で興味がある・ないはあって、私は料理と掃除は結構興味があるのですが、洗濯があんまり面白いと思ったことがないです。前者は作ったり、整理整頓したりと頭の中がそれなりに活性化して楽しいんですが、後者はそういったツボがみつからないのですよね。。

育児について


いつから育児をおこなうようになりましたか?

家事と同じで、育児にコミットしたのはロンドンに来てからになります。それまでは、昨年の4月までは妻が産休・育休中だったので彼女がメインでやってもらっていましたし、職場復帰後も時短勤務だったので、妻に頼るところが大きかったです。朝の保育園の送りなどは主担当としてやってましたが、その他は私はサポートといった感じでした。

育児を行うことに対して、やりがいを感じますか?

やりがいはありますね。2−3歳の子供は身体もそうですが、急速に知能が発達し、意志がはっきりし、言葉を喋りはじめます。そのような時期に子育てをすることで、娘の成長をくまなく見守れるのは非常に素晴らしい体験です。

自分が主体的に子供に食べさせるものを決めたり、遊ばせる場所、遊ばせるおもちゃなどを考え、実行し、子供からのフィードバックを感じることで親としての実感をフルに感じますし、そこからの学びは自分の経験として大きいと思います。

また、常に側にいることで、娘の考えていること、喋っていること、好きなものとか、妻よりも自分のほうがわかっていたりすることがちょっと優越感に浸れますね。

育児を行う上での不安はありますか?

とくにありません。初めての子育てですし、わからないことばかりです。それを不安とおもっていてもキリがありません。

ご自身は育児に向いていると思いますか?

どうでしょうかね。私くらいのレベルの育児ならだれでもできるのではと思います。比較対象もないので向いているかどうかは自分ではわかりません。まだまだ自分もスキルが足りないと思います、子供に学ばさせてもらっているようなものです。

あなたの理想の父親像は?

とくに目指すべきロールモデルは無いです。世の中に好奇心・興味を持つこと、どんな状況も打開できる、しなやかさを持って生きること、多様な価値観を受け入れて視野を広げることを子供に教えられればと思います。そのために今自分がこうしていることが将来子供にとって良い影響を与えられたら良いかなと思います。

主夫になって感じたこと


主夫になって一番良かったことは何ですか?

一番良かったことは、自分の視野が広がったこと。ちいさなことかもしれないが、毎日の献立を考えることがこれほど苦痛とは知らなかったし、仕事を辞めて夫についてきた駐在妻の葛藤に共感することもできた。男女の役割は幸あるべきといった旧来の価値観、そして自分のプライドやエゴを一旦捨てて、主婦の視点、子育ての視点など新しい視野でこの社会を見渡せたことが、間違いなく自分にとって新たな学びの機会だったと言えます。

主夫になって、一番戸惑ったことは何ですか?

戸惑ったことは、自分の社会的存在が消え、社会的価値ゼロの人間になってしまったのではないかという気持になったことですね。やはり、家庭の仕事はやって当たり前、だれから賞賛されるわけでもなく、単純作業の繰り返し。かといって楽なわけでもなく、むしろ家事と子育てを同時に行うのは、オフィスで仕事をするよりもしんどい。作業間の切れ目も無いし、ゴールもないし、従って達成感もない。勿論自分で選んだ道ですから、やりきるつもりでやっているのですが、いままで仕事と報酬という意味論理的でわかりやすい労働体型から、家事育児という無償の愛をし続けることに喜びを感じるまでは時間がかかりますよね。

主夫とは、異質な存在だと思いますか?

はい、異質だと思います。現状では。家事はまだしも、たとえ男女の育児・家事分担が進んでいるイギリスでも、やはり子育てのメインは女性が担っていることが多い。女性側でもママ友内にいきなり男性が入ってきても付き合い方がむずかしいのではないでしょうかね。

主夫はこれから増えていくと思いますか あるいは主夫でいることを周囲の人にすすめますか?

これから増えるのでないでしょうか。社会の構造変化や、海外先進国を見渡しても、そうなる傾向にあるのは自明だと思います。

他人に勧めるか勧めないかという観点では、無理に勧めるものでもないかと思います。ただ、主夫になることを迷っていたり、躊躇していたりする人にはやってみるべきだといいたいですね。

そもそも主夫ということがばあまり好きではないですが、これからは、家庭内に主婦か主夫が一人という価値観ではなく、男女どちらもやれることをきちんと分担すべき、主体性をもってどちらも家庭に向き合うべきということじゃないでしょうか。サッカーで言うと、トータルフットボールみたいな感じ?ポジションという概念は存在せず、必要な状況に応じて守備も攻撃もどちらもやる。空いた穴は自分が埋める、そんな形が出来ればいいのではと思います。

主夫と主婦に違いはありますか?

あると思います。これは海外にいても思うのですが、子育てに関してはお母さんのほうが一枚も二枚も上だと思います。例えば子供服を選ぶことはお母さんのほうが得意ですし、WhatsAppでママ友コミュニティーを作って会話が始まったりするのは女性ならではではないでしょうか。リベラルなヨーロッパですらですらそこは女性がメインですから。別に違うからと言って男性が同じことを突き詰める必要もないと思います。男性は力仕事とか、手荒れする水仕事とか強かったりしますし。

主夫とそうでない父親に違いはありますか?

あるとおもいます。自分がそうでしたから。家事・育児を主体的にするか、妻のお手伝いレベルなのかで、家庭への関わり方が意識レベル、行動レベルから変わると思います。

主夫であることを誇りに感じていますか?

感じています。退職というリスクを冒しても、信じた道をすすんでいることに満足していますし、何しろ家族がハッピーでいられている事に満足です。これからの日本社会が進む道を一歩先に体験していることは、何かしら社会に還元できるのではと思っています。

将来的にどのようになっていたいですか?

この先いつ日本に帰るのかもわかりませんし、明確に何かあるわけではないですが、日本にかえったなら普通に仕事に戻りたいですね。ただし、自分のやりたいこと、仕事のスタイルや、子育て・家庭への向き合い方、全てにおいて過去の自分とは変わってしまっているでしょうね。カネ・名誉ではなく、自分ならではの生活スタイルを追求したいと思います。

将来に不安はありますか?

もちろんあります。仕事を辞めてしまったことは最大のリスクです。結構いい歳ですし、日本の転職市場では自分がもはや出がらしの茶葉扱いになっているかもしれません。自分が家族を養える力を取り戻せないのだとしたら、この子の将来はどうするんだろう、どんな教育を受けさせられるのだろうとか、嫌なことを考えることもしばしばありますが、気にしていてもしょうがないので普段は忘れるようにしています。最大のリスクは最大のチャンスでもあるので、主夫になったことをポジティブに活かしたいと思ってます。

周囲からどのように接されているのか


主夫になったという決断は:

妻はMBAホルダーであり、長い産休・育休の努めを終えて、ようやく自分のやりたい仕事に帰ってきました。そして女性の活躍の場を広げようとしている大手メーカー企業に勤務しており、相対的にキャリアアップのチャンスも多い。こんな背景の中で、海外赴任の話が舞い込み、私に相談がきたんです。自分が逆の立場だったら?と考えたら、絶対赴任すべきだと思いました。踏み込むべき時は踏み込まないと、会社というのは代わりは誰でもいるし、チャンスを逃してしまう。だから、行こうと。自分もギリギリなんとかやり直しが利く歳ではあると思うし、今しかないと妻に言いました。その結果、自分がその為に主夫になって家庭を支えるという決断に至ったわけです。別に主夫に興味があったとかではないです。家族全体のハピネスを最大化するためには、役割が変わったって別に良いという考えで、そういった意味では一生主夫サイコー!一生主夫をやりたいと思っているわけでもありません。

イギリスで仕事ができなければ、最初は生活の立ち上げを半年ほどしたら日本に帰るつもりでした。ただ、こちらでなんとかフリーランスでも仕事ができるようになったこと、そしてなにより、主夫をしてみて、妻と子供をここにおいて日本に帰ることは不可能、生活を回せるはずがないということを実感しましたので、とことんこちらで主夫しようと決断するに至りました。

配偶者からはどのように受け止められましたか?

感謝されました。

お子様からどのように受け止められましたか?

ないです。まだ2歳半ですからね、こんごどのような影響があるか、楽しみです。

自分の両親や兄弟

両親からは、将来の仕事・キャリアは大丈夫なのかと心配されました。やはり息子が仕事を離れ無職になって何年か過ごすというのは心配ですよね。これは自分でも不安に思っていることではあるので、不安を煽っても仕方がないし、無理にでも大丈夫!なんとかするから!としか言えませんでした。

自分の友人

イギリスに行くと決断するまで、1,2ヶ月は私も悩んでいました。身近な先輩、友人、会社の同僚に話をしてみると、意外な言葉が帰ってきました。

  • 家族にとってとてもいいじゃない。
  • うらやましい。自分も主夫になってイギリスに行きたい。
  • ぜひやっちゃえ。
  • 今後のことなんかなんとかなるよ。

一人二人なら「無責任な・・」と思ったのですが、かなりの人数から同じようなポジティブな意見が帰ってきたので、お陰様で意志を固めることが出来ました。

きっとこういう生活も選択肢があるならやってみたいという人たちは少なからずいるのではと思いました。ただこれが許さないのが日本の基本的な社会・文化であり、皆同じような生活に収まっているのではと強く感じました。

唯一、会社の上司だけが、今後のキャリアどうするの?行かないのが一番いいんじゃない?と言いました。勿論正論だし、心配をしてくれたのだと思いますが、強烈に心のなかで「それは違う」と感じた瞬間でもありました。やはり社会における男女の働き方のパラダイムシフトが起きている中、過去の価値観がこれから通用するとは思えなく、信じる道を行こうと思いました。

おわり

コールラビを食す

イギリスのスーパーの野菜コーナーには日本でもおなじみな野菜に加え、謎な野菜が並んでいる。

見たこともない野菜って基本根菜系が多いような気がする。ほうれん草のような葉物やトマト・ナスなど枝になる野菜は割りと奇抜なものは無い。これらは姿・形が若干日本のものとは違うが、日本人でも見当がつく範囲での差でしか無い。

そして季節が変わると謎な野菜のラインナップに変化があるのが面白い。

最近旬らしいのが、スーパーの棚に登場したのがこの緑のカブのお化けみたいな野菜。コールラビ。

kohlrabi

主夫の腕が鳴る。見たこともない食材をどうやって攻略するか。そしてその料理が美味しければとてもラッキーな気分になれる。想像力をかき立てられる、食材を通じて英国の文化に触れる、非常にクリエイティブなひとときになるのだ。

ネットで調べると、これはキャベツの仲間らしい。

コールラビ(学名:Brassica oleracea var. gongylodes、英名:Kohlrabi)はアブラナ科の越年草。原産地は地中海北部。球状に肥大した茎部を食用とする。語源はドイツ語で、キャベツの意味のkohlとカブ B. rapaの意味のrabiより[1]。和名はカブカンラン(蕪甘藍)、キュウケイカンラン(球茎甘藍)、カブタマナ(蕪玉菜)。いずれも Kohlrabi の直訳である(甘藍、玉菜=キャベツ)。(wikipediaより)

ほかのサイトには、皮のグリーン部分が繊維質で硬いので厚く皮を切り取るべし、ともある。ふむふむ。

包丁を入れると、、、、確かに硬い!一歩間違えると怪我しそうな硬さだ。カボチャより若干柔らかい位の抵抗がある。但し硬いのは外側だけで、中は水分が多いためか、ダイコンのような切り口でざっくりと2つに切れる。

cut_kohlrabi

2つに割った図がこちら。キャベツの仲間とは思えない。ダイコンぽい。

外の皮をガリガリ厚めに剥いて、中の白い部分だけを短冊に切ってみた。

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一口食べてみると、ポリポリ・・・うん、これはシャキシャキ感が強化されたダイコンだ。具体的にいうとダイコンよりも繊維質が強く、水分も少なめ、辛さもないが、ほんのり甘みを帯びた味と爽やかな香りはダイコンを髣髴とさせる。
味噌汁に入れたら普通に行ける雰囲気。

でもそれじゃあ面白く無い。今回は、これでツナマヨサラダを作ってみた。

残りを全て短冊に切って、塩もみし、しなるまで暫く放置。その後若干塩気を落とし、ツナ缶とマヨネーズであえる。

tuna_,mayo_making

あっという間に出来上がり。

tuna_mayo_salad

これは、うまい。
反省点としては残り物のツナ缶で作ったため、ツナ感が足りなかったこと、コールラビが硬いので短冊が粗めになってしまったのだが、もっと千切り状に出来ればマヨネーズの絡みも良くなってうまくなるはず。これはリピート食材になりそう。