
アブダビのモスクに訪問
ドバイ子連れドバイの旅の最後を飾るのは、ドバイから車で少し足を延ばした先、アブダビである。アブダビはUAEの首都、ここに、UAE最大のモスク、シェイク・ザイード・グランドモスクがある。
陽光に輝く白亜の寺院。その大きさ、その美しさといったら、圧巻である。息を呑む、言葉もでないというのはこういうことかと納得した。
このモスクの歴史は浅く、1996年に時の大統領、ザーイド・ビン=スルターン・アル=ナヒヤーンが着工、2007年に建立したもの。従って伝統的な寺院建築に現代の技術、意匠がふんだんに使われたモスクとなっている。
Wikipediaによると、設計思想は「世界を一つに結びつける」ことだそうで、世界中から職人と素材を集め作られたという。ざっと挙げても、インド・イタリア・ドイツ・エジブト・トルコ・モロッコ・パキスタン・マレーシア・イラン・中国・英国・ニュージーランドなど。洋の東西を問わず世界の一流を集めて作られている。すごいぞオイルマネー!
どこから眺めても、美しいのである。イスラムの人々の美的感覚(特に現代の)というものを初めて知る事ができた。イスラム世界は日本から遠いため、ニュースで流れるのはイラクのような瓦礫の市街や、もしくは歴史の教科書で見るような過去の建築物ばかりだが、このような豊かな文化を育み、発展させているところもあるのだと改めて認識した。
内部も観光スポットとしても開放されているので、イスラム教徒以外でも入場できる。但し男性も女性も大人はきちんとした格好が求められる。男性は長ズボンが必要、女性はヒジャブが必須、ただし入り口でレンタルできるので持ち込む必要はない。
スワロフスキー製のシャンデリア。
植物のモチーフによる優しい曲線と幾何学模様が組み合わさった美しいデザイン。
世界最大のペルシャ絨毯。何十億円もするのだろう。
とにかく中も広い、でかい。自分はイスラム教徒ではないが、このような巨大かつ絢爛豪華な空間に浸ると、神への敬意、畏怖というものを感じずにはいられない。きっと大昔の人たちが奈良の東大寺やケルンの大聖堂に神や仏の奇跡を感じたのだろうが、それと同じではなかろうか。
何なんだこの建物、この空間。圧倒的。
一つ上のシャンデリアを下から見上げた図。この有機的で不可思議なデザインを暫く凝視していると、およそ神の仕業にしか見えなくなってくる。
正直ドバイの観光地のどれよりも、アブダビのこのモスクにまさるものはなかった。
蛇足だがトイレもゴージャス。トイレの便器は和式だが、便器はドイツの高級陶磁器メーカー、ビレロイ&ボッホ製。このあたりも手を抜いていない。ちなみに寺院内は素足なので、トイレも素足で入るという異次元体験をした。
ではトイレに入ったその素足はどうするか?上のような足洗い場できれいに洗うのである。
外は夕暮れ。この後夜になると、ライトアップが美しいそうだが、我々は時間がなく見ることはできなかった。
子連れドバイ旅行のまとめ
長々と6回に渡り説明した子連れドバイ旅行、結局子連れ旅としてドバイはおすすめなのかと聞かれたら、私はこう答える。
- 子連れが大変な思いをしてまで、日本からわざわざ来る場所ではない。
その理由は:
- 陽射しが強すぎる
- 5月〜10月くらいまでは灼熱地獄の為、外に出るのも危険。子供はなおさら。おすすめは年末年始。この時期なら過ごしやすいらしい。
- 物価が高い
- ものは溢れているが、ショッピング・モールやレストランなどそれなりの場所は、相応にお金がかかる。
- 食事にこれと言ったものがない
- 中東料理は美味しいが、日本人的には、東南アジアと比べると料理や素材にバリエーションが少ないと感じる。日本食やフレンチやイタリアンなど各国料理も勿論あるが、それなりのお金を出す必要がある。
- 酒が手に入りにくい
- 酒は旅行者はお店で買えない。レストランやバーで飲むことが出来るが、あくまで外国人用の嗜好品として売られている為高い。
- 海それほどきれいではない
- 砂漠のせいか、濁っている。ダイビングをしようとしたが、海が濁りすぎてやってもつまらなそうだった。水族館の中でダイビング体験をさせているのがよくわかった。
リゾートとして来るなら、ハワイや東南アジアのほうが安くて近くて済む。グルメ旅としても中途半端、いまやロンドンでも美味しい中東料理は食べられる、しかも酒の心配もない。結局訪問する理由にこれといった決定的なものが少ないのである。ただし、上記のアブダビのモスクは機会があれば是非訪れて欲しい。子連れでも全然問題がない。


まず我々が向かったのはドバイ博物館。町の歴史・民俗を紹介している。ここは元々19世紀に建てられた砦の一部を利用して建てられている。前世紀の中頃まではひなびた小さな街だったことがよく分かる一方、お宝的な展示は少ないので規模は小さい。
陽射しが眩しい、暑い。娘も自らサングラスを着用。いつもは嫌がるのに。
その後、車で移動、川向うのゴールドスークに向かう。これまで超近代的なショッピング・モールばかりを目にしてきたので、こういう猥雑な風景はなんだか旅人気分でワクワク。
ゴールドスークは金細工、金のアクセサリーを取り扱うお店がひっきりなしに並んでいる。あまり客引きなどには会わず、快適に街をそぞろ歩き出来た。
スークには野良猫?が結構歩いている。お母さんがアクセサリーを物色している間、猫を追いかけてる娘。
そして次なるエリアはスパイススーク。さらに怪しさは増すばかり。香辛料の香りが細い路地に漂う。
全くなんというスパイスなのか判らない。東〜東南アジアと食文化が違うからなあ。
スパイススークを抜けると、船着き場へ。
地図で見ると船着き場はAl Sabkhaというところらしい。ここから渡し船に乗って数分の旅。目指すは対岸のOld Souqまで。
カナルはとても広くて、気持ちがいい。でも陽射しは強烈、気温も38度くらいで、船の屋根の陰にいないと焦げてしまいそう。
なんともフォトジェニックな旧市街体験だった。
これらはデーツである。ご存知の方も多いと思うが、デーツとはナツメヤシの実のこと。中東ではこれをドライフルーツにして食べる。客人をもてなす時に振る舞う伝統的なお茶菓子である。食感は干し柿、味も干し柿に近いが、サイズはドライプルーン位で、干し柿より甘さが強い。この国ではスーパーや専門店で量り売りで売られている。品種別や産地別、砂糖がけなど加工法別などでわけられた沢山のデーツが店頭に並べられている。元々自分はデーツを食べたことがあったのだが、やはり甘さが強く、特有のくせもあり、これまでは一粒でお腹一杯といった印象だった。
しかし今回、びっくりしたのは、チョコがけのデーツの存在と、そのバラエティの幅広さ。もはやケーキやキャンディといった感じで、見た目は違う食べ物のようだ。しかも食べてみると、チョコとデーツの組み合わせの美味しさといったら、びっくりするほどのマリアージュだった。チョコの甘さと香りがデーツのアクの強さを緩和させる一方、デーツの自然な甘さが余韻として残る。どこまでチョコを食べ、どこからデーツを食べているのか舌の上で判別できないくらい見事な一体感なのだ。
しかし、専門店で売られているデーツは高級品。そこで、おすすめなのが、上記のようなスーパーで売っているパックに入った廉価なチョコデーツ。数十個7−800円程度なので大変お得。おみやげにする時は35%OFFのステッカーを剥がしてしまえば良い。これでも相当うまい。自分の周りでもクセになって食べ続ける人が続出した。





遮るものが無い孤高の眺望。とはいえ気になるのは砂塵。遠くの方はご覧の通り、霞んでよく見えない。折角の地上450メートルからの眺めなのにあまりきれいとは言えないのが残念。


向かいのショッピングモールに移動。直射日光を浴びながらの移動は焼けるように肌が痛い。このあたりの建物はとにかく何から何までやたら豪華。ここは昼食を取る為に訪れたのだが、地元在住の義姉に教えてもらったナイスな観光スポットでもあるのだ。
この水のショーは夜のほうが豪華らしいのだが、十分楽しめた。クラシック音楽をバックに噴水が様々な形を織りなしていく。
パームジュメイラに二泊の後、現地に在住する親戚の家に移動。この日は親戚に無理をお願いし、娘を預かってもらって久々の子供なし小旅行に出かける。埃っぽいハイウェイを駆け抜け、向かう先は砂漠。
砂漠は景観保護区域になっているようで、電信柱や送電線などは視界に入らない様になっており、見渡す限りの砂漠。恐ろしく暑いのにも関わらず、ヤギもいる。
下の写真のような感じで、ランドクルーザーが数十台、隊列を組んで砂漠を爆走する。
そして暫く進むと景色は一面草も生えぬ砂丘に変わり、ランクルは砂丘のコブを攻めまくる。あえてコブの頂上を乗り越えるようにして進むので車は空を向いたり地面を向いたりとアップダウンが忙しい。シートベルトなしではいられない。人によっては車酔いをするとのこと。
特殊な運転資格を持ったドライバーが運転しているとのことだが、果敢に攻めすぎて砂丘の頂上でスタックしているクルマもあった。ドライバーに聞いたら、横転するクルマもたまにあるとか。その場合はお客も含めみんなで寄ってたかって元の向きにひっくり返すらしい。
砂漠のドライブのあとは、砂漠キャンプへ。まずはキャンプに入る前にラクダ乗り体験。ホントに体験だけで、1分程くるりと周囲を回っただけで終わりだった。
そして、キャンプの入り口。
キャンプの中はベリーダンスのショーステージがあり、それを取り囲むように座席がある。それ以外にもお土産屋や水タバコのブース、ヘナのタトゥーコーナーなどがある。
ドバイに来て辛いのは、酒が高いこと。暑い砂漠を越えてきて、ビールの一杯でも気軽にグイッと行けたら最高なのだが、高いので買うのを躊躇してしまう。結局コーラなどのソフトドリンクで済ませることが多かった。
加えてびっくりしたのは、配膳をしているおじさんたちは皆ランドクルーザーでお客さんを運んできたドライバーさん。つまりお客さんをクルマを降ろしたのち、彼らは皆キャンプでかれらをもてなすべく働いているのだ。なかなかドライバーも大変だ。
メシをくったら、ベリーダンスには目もくれず、シーシャを嗜む自分。







夜になると、砂漠気候なのでかなり涼しくなる。遠くの街の夜景がきれいで幻想的。





この地形、恐らく都市計画上は最低のプランナのではないか。外側のの3/4円周の部分はたった一本の地下トンネル(Atlantisの左横のくにゃっと曲がった細い線)で幹の部分につながっている。つまり、夕方になると、両サイドから大量の車が一点に集まるために、大渋滞が起こる。言われなきゃ気づかないが、考えれば納得である。アホだこれ考えた奴。責任者どこだ。