駐夫の社交術

flute

最近は娘をナーサリーに通わせている間、フルートの練習に勤しむ。

妻の会社のロンドン駐在の本部長が、フルートがご趣味で、大学時代から社会人もオーケストラで演奏されているという大ベテランの方なのだ。その方から一緒にデュエットをしないかというお誘いを頂いたのだ。

私も一応中学高校時代に部活で四六時中フルートを吹いていた身、夫として妻の社内人脈の構築・強化のために一肌脱がなくては。

一般的に海外にいると組織のサイズの小ささにより、日本では会話すらできないような会社組織のラダーの遥か上の人と身近になれるチャンスがあるが、仕事だけでなく、この際公私共に身近に接することも重要かと思われる。私自身も他社の偉い人と仕事に関係なく知り合えるのは非常に興味深い。

事前に渡された課題曲は

バッハ

インヴェンション第14

小フーガト短調

アリア(G線上のアリア)

フランス組曲第5番 ガボット

ソナタ (BVW1038)

テレマン

無伴奏2つのフルートのための6つのソナタ

フォーレ

パヴァーヌ

ブラームス

ハンガリー舞曲

ビゼー

シャンソン・ボエーム(歌劇カルメンより)

シューマン

交響曲第5番のテーマ

勿論準備をすべく練習をしたのだが、バッハって意外と難しい。その上錆びきった自分の腕前の上に曲数が多すぎて練習しきれない。バッハのソナタだけで4楽章の組曲だし。

結局初回はバッハ4曲をきちんと形にするので一杯一杯。

そして、本部長とのセッションの日。都心に位置する本部長のステキなアパートメントに自分一人で訪問。

実際ご一緒するとまず楽器が違う。ムラマツの銀製管体に金製の頭部管。恐らく頭部管だけで100万円くらいはするはず。足部管は通常より半音下まで出せるH足部管。うーむ。全部で自分の楽器が4本以上買えるのではないか。そして音色もバリバリに響く低音とさえずるような高温にこちらは圧倒されっぱなし。

本部長との本番では殆ど初見状態になってしまった。本部長はどの曲も軽々どんどん進む一方、こちらはすっかり譜面が読めなくなっているのでめちゃくちゃしんどい。足手まといを超えて既にレッスンの教師と生徒の関係になってしまいそうな感じ。

修行が全然足りないことを痛感。あーもっと頑張らねば。

しかしながら、フシギなご縁で始まったこのフルートセッション、男同士缶ビールを飲みながらのリラックスした雰囲気で非常に楽しかった。残念な腕前で大変恐縮だったにも関わらず、最後には本部長お手製のカレーライスまでごちそうになってしまった。

どなたかロンドンでフルート一緒に吹きませんか??男女問わず仲間募集中です!