主夫のその先へ

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渡英してはや1年が経過。ロンドンで2回めの新年を迎えることになった。そして本年早々自分に大きな変化が訪れた。

今月から自分は現地企業に就職することになったのだ。

渡英前からこちらで就職することは悲願であった。妻のロンドン赴任がきっかけで、会社を辞めて自分も海を渡ったわけだが、家事育児を頑張る一方で、一人の男として家族と一緒に生活を続けるためには、自分のキャリアを継続ことが重要だと考えていた。なおかつ自分の矜持として、ただ妻の転勤についてきた人間ではない、ということを示したい気持ちもあった。

これから我が家の英国生活第二章、新たな挑戦が始まる。東京にいたときと同じように夫婦共にフルタイムで勤務になる。

1年かけてやっと確立した家族全員のライフスタイルを変えていかなければならない。しかもその変化によって、再び家族全員の負担も大きくっていくことは確かだ。

何はともあれ、子供をどうするかが心配だ。ナーサリーにフルタイムで預けることがはじめの一歩。その上でナーサリーの送迎の役割分担を夫婦間でどうするか、娘が病気の時はどうするのか、夫婦とも残業になったらどうするのか。互いが出張になったらどうするのか。今まで以上にタイトなスケジュールの中、夕飯の容易をどうするか。

少し考えただけでもいろいろな問題点が浮かび上がってくる。

それを一つ一つ解決していくのも、海外生活の面白さの一つとして考えていく他ない。

そしてもはや、自分は主夫と呼べる存在なのかどうかも微妙になる。しかしそんなことはどうでもいい。役割が変わるわけではない。引き続き家庭を支えるために家事育児はコミットしていく。家庭の仕事、育児は負担比率が各家庭によって変わるとは言え、夫婦どちらも責任を持たなくてはならないこと。「主」という文字はナンセンス。

主夫のその先へ。とにかく前に向かって進むのみ。

通算100回記念 突撃!主夫インタビュー

このブログも開始して10ヶ月が経過、投稿も100回を超えた。無職となった自分の名刺代わりにとはじめたこのブログ、非常に有意義な活動になって来た。ブログを通じて現地の日本人ママ友や仕事のおつきあいなど新たな人脈がひろがったり、イギリスの日本語フリーペーパーに掲載してもらうこともできた。

最近では日本の有名私立大学の社会学部の学生から卒論の研修題材に取材を受けたりすることも。

そのインタビューでの質問と私の受け答えを一部をテキスト化してみた。

interview


基本情報


年齢

42

お子様の年齢

娘、2歳半

家族構成

3人

あなたは以下のうちのどれに分類されますか?(専業主夫・兼業主夫・その他
兼業主夫の方は、どのようなお仕事をされていますか?

兼業主夫です。フリーランスで現地日系企業の事業戦略策定・事業開発、現地ウェブサービスの事業アドバイスなんかをしています。

主夫歴を教えてください (◯年目)

9ヶ月

主夫になった経緯を教えてください。

妻の海外転勤。妻は日本のメーカーで勤務しており、昨年4月に育休を終え、時短で職場に復帰しました。間もなく、産休・育休前から関わっていた海外プロジェクトに戻ることになり、海外赴任のチャンスが回ってきました。妻からどうしようかと相談を受けたのですが、自分が行きたくてチャンスが有るなら手を挙げるべき、ここで子供や家庭のせいで行かない意志を示すと、今後一生海外赴任はなくなるぞと、妻を応援しました。その場合は私が会社を辞めて主夫として渡英することになるわけで、妻の会社の上司や私や妻の両親にも本当に大丈夫なの?と心配もされましたが、なんとか周りの皆様の理解を得ることが出来、昨年11月よりロンドンにやって来ました。

毎日の生活について教えてください

平日の家事・育児は私がほぼやっています。娘のナーサリーの送迎、買い物、晩御飯の食事の支度、掃除などがメインです。妻が6時半頃帰宅すると、子供の風呂入れと寝かしつけ、洗濯を分担してもらっています。

娘を朝8時半から夕方6時までナーサリーに預けている間は、基本仕事に当てています。仕事の無いときは運動や読書などをしています。

尚、週に1日ナーサリーがない日があるので、その日は1日中子供と一緒にいます。そういった日は公園に行って遊んだり、昼ごはんを食べさせたり、昼寝の寝かしつけをしたり、一緒にスーパーで買い物したりしています。

家事について


家事はどのように分担をされていますか?

基本的に平日の家事は私が担当しますが、子供の風呂と寝かしつけは妻が担当しています。妻が出張で家をあけたり残業の場合はすべて私がやります。洗濯もあまり好きではないので、私が干すのを手伝うくらいですね。土日祝日は二人共家事をやります。

いつから家事を行うようになりましたか?

今回ロンドンに来日本にいたときも、食事の後の食器洗いやトイレ掃除、掃除機を回すとか、やってはいましたが、どうしても自分が主体で動くというより、妻に言われてやらされている、手伝っているという気持はどこかにあったと思います。

家事は得意ですか?

得意と思ったことは一度もないのですが、やらなくてはならないので自分のタスクとして淡々とやっている感じです。但し、数をこなすにつれ、手際は良くなって生産性は上がっている気がします、晩御飯を30分で作るとか、こまめに床のゴミを掃除するとか。

家事を行うようになってから、戸惑いはありましたか?

ありますね。渡英した直後は環境も整っておらず、知り合いもいないので孤独だったこともありますが、とにかく会社仕事とのギャップが大きくて、嫌になりそうでした。毎日毎日同じことの繰り返し、作業が近視眼的でなおかつ孤独、熟考する機会も必要もなく、自分がどんどんアホになるんじゃないかと。昼間から酒ばっかりのんでいました。

家事を行うことは好きですか?

特に好きではないです。ただやらなければ家庭が回らないのでタスクとしてやっています。むしろ好き嫌いということは余り考えたことは無いです。そのタスクをどれだけ上手くこなせるか、を気にしています。ただ、タスクの中で興味がある・ないはあって、私は料理と掃除は結構興味があるのですが、洗濯があんまり面白いと思ったことがないです。前者は作ったり、整理整頓したりと頭の中がそれなりに活性化して楽しいんですが、後者はそういったツボがみつからないのですよね。。

育児について


いつから育児をおこなうようになりましたか?

家事と同じで、育児にコミットしたのはロンドンに来てからになります。それまでは、昨年の4月までは妻が産休・育休中だったので彼女がメインでやってもらっていましたし、職場復帰後も時短勤務だったので、妻に頼るところが大きかったです。朝の保育園の送りなどは主担当としてやってましたが、その他は私はサポートといった感じでした。

育児を行うことに対して、やりがいを感じますか?

やりがいはありますね。2−3歳の子供は身体もそうですが、急速に知能が発達し、意志がはっきりし、言葉を喋りはじめます。そのような時期に子育てをすることで、娘の成長をくまなく見守れるのは非常に素晴らしい体験です。

自分が主体的に子供に食べさせるものを決めたり、遊ばせる場所、遊ばせるおもちゃなどを考え、実行し、子供からのフィードバックを感じることで親としての実感をフルに感じますし、そこからの学びは自分の経験として大きいと思います。

また、常に側にいることで、娘の考えていること、喋っていること、好きなものとか、妻よりも自分のほうがわかっていたりすることがちょっと優越感に浸れますね。

育児を行う上での不安はありますか?

とくにありません。初めての子育てですし、わからないことばかりです。それを不安とおもっていてもキリがありません。

ご自身は育児に向いていると思いますか?

どうでしょうかね。私くらいのレベルの育児ならだれでもできるのではと思います。比較対象もないので向いているかどうかは自分ではわかりません。まだまだ自分もスキルが足りないと思います、子供に学ばさせてもらっているようなものです。

あなたの理想の父親像は?

とくに目指すべきロールモデルは無いです。世の中に好奇心・興味を持つこと、どんな状況も打開できる、しなやかさを持って生きること、多様な価値観を受け入れて視野を広げることを子供に教えられればと思います。そのために今自分がこうしていることが将来子供にとって良い影響を与えられたら良いかなと思います。

主夫になって感じたこと


主夫になって一番良かったことは何ですか?

一番良かったことは、自分の視野が広がったこと。ちいさなことかもしれないが、毎日の献立を考えることがこれほど苦痛とは知らなかったし、仕事を辞めて夫についてきた駐在妻の葛藤に共感することもできた。男女の役割は幸あるべきといった旧来の価値観、そして自分のプライドやエゴを一旦捨てて、主婦の視点、子育ての視点など新しい視野でこの社会を見渡せたことが、間違いなく自分にとって新たな学びの機会だったと言えます。

主夫になって、一番戸惑ったことは何ですか?

戸惑ったことは、自分の社会的存在が消え、社会的価値ゼロの人間になってしまったのではないかという気持になったことですね。やはり、家庭の仕事はやって当たり前、だれから賞賛されるわけでもなく、単純作業の繰り返し。かといって楽なわけでもなく、むしろ家事と子育てを同時に行うのは、オフィスで仕事をするよりもしんどい。作業間の切れ目も無いし、ゴールもないし、従って達成感もない。勿論自分で選んだ道ですから、やりきるつもりでやっているのですが、いままで仕事と報酬という意味論理的でわかりやすい労働体型から、家事育児という無償の愛をし続けることに喜びを感じるまでは時間がかかりますよね。

主夫とは、異質な存在だと思いますか?

はい、異質だと思います。現状では。家事はまだしも、たとえ男女の育児・家事分担が進んでいるイギリスでも、やはり子育てのメインは女性が担っていることが多い。女性側でもママ友内にいきなり男性が入ってきても付き合い方がむずかしいのではないでしょうかね。

主夫はこれから増えていくと思いますか あるいは主夫でいることを周囲の人にすすめますか?

これから増えるのでないでしょうか。社会の構造変化や、海外先進国を見渡しても、そうなる傾向にあるのは自明だと思います。

他人に勧めるか勧めないかという観点では、無理に勧めるものでもないかと思います。ただ、主夫になることを迷っていたり、躊躇していたりする人にはやってみるべきだといいたいですね。

そもそも主夫ということがばあまり好きではないですが、これからは、家庭内に主婦か主夫が一人という価値観ではなく、男女どちらもやれることをきちんと分担すべき、主体性をもってどちらも家庭に向き合うべきということじゃないでしょうか。サッカーで言うと、トータルフットボールみたいな感じ?ポジションという概念は存在せず、必要な状況に応じて守備も攻撃もどちらもやる。空いた穴は自分が埋める、そんな形が出来ればいいのではと思います。

主夫と主婦に違いはありますか?

あると思います。これは海外にいても思うのですが、子育てに関してはお母さんのほうが一枚も二枚も上だと思います。例えば子供服を選ぶことはお母さんのほうが得意ですし、WhatsAppでママ友コミュニティーを作って会話が始まったりするのは女性ならではではないでしょうか。リベラルなヨーロッパですらですらそこは女性がメインですから。別に違うからと言って男性が同じことを突き詰める必要もないと思います。男性は力仕事とか、手荒れする水仕事とか強かったりしますし。

主夫とそうでない父親に違いはありますか?

あるとおもいます。自分がそうでしたから。家事・育児を主体的にするか、妻のお手伝いレベルなのかで、家庭への関わり方が意識レベル、行動レベルから変わると思います。

主夫であることを誇りに感じていますか?

感じています。退職というリスクを冒しても、信じた道をすすんでいることに満足していますし、何しろ家族がハッピーでいられている事に満足です。これからの日本社会が進む道を一歩先に体験していることは、何かしら社会に還元できるのではと思っています。

将来的にどのようになっていたいですか?

この先いつ日本に帰るのかもわかりませんし、明確に何かあるわけではないですが、日本にかえったなら普通に仕事に戻りたいですね。ただし、自分のやりたいこと、仕事のスタイルや、子育て・家庭への向き合い方、全てにおいて過去の自分とは変わってしまっているでしょうね。カネ・名誉ではなく、自分ならではの生活スタイルを追求したいと思います。

将来に不安はありますか?

もちろんあります。仕事を辞めてしまったことは最大のリスクです。結構いい歳ですし、日本の転職市場では自分がもはや出がらしの茶葉扱いになっているかもしれません。自分が家族を養える力を取り戻せないのだとしたら、この子の将来はどうするんだろう、どんな教育を受けさせられるのだろうとか、嫌なことを考えることもしばしばありますが、気にしていてもしょうがないので普段は忘れるようにしています。最大のリスクは最大のチャンスでもあるので、主夫になったことをポジティブに活かしたいと思ってます。

周囲からどのように接されているのか


主夫になったという決断は:

妻はMBAホルダーであり、長い産休・育休の努めを終えて、ようやく自分のやりたい仕事に帰ってきました。そして女性の活躍の場を広げようとしている大手メーカー企業に勤務しており、相対的にキャリアアップのチャンスも多い。こんな背景の中で、海外赴任の話が舞い込み、私に相談がきたんです。自分が逆の立場だったら?と考えたら、絶対赴任すべきだと思いました。踏み込むべき時は踏み込まないと、会社というのは代わりは誰でもいるし、チャンスを逃してしまう。だから、行こうと。自分もギリギリなんとかやり直しが利く歳ではあると思うし、今しかないと妻に言いました。その結果、自分がその為に主夫になって家庭を支えるという決断に至ったわけです。別に主夫に興味があったとかではないです。家族全体のハピネスを最大化するためには、役割が変わったって別に良いという考えで、そういった意味では一生主夫サイコー!一生主夫をやりたいと思っているわけでもありません。

イギリスで仕事ができなければ、最初は生活の立ち上げを半年ほどしたら日本に帰るつもりでした。ただ、こちらでなんとかフリーランスでも仕事ができるようになったこと、そしてなにより、主夫をしてみて、妻と子供をここにおいて日本に帰ることは不可能、生活を回せるはずがないということを実感しましたので、とことんこちらで主夫しようと決断するに至りました。

配偶者からはどのように受け止められましたか?

感謝されました。

お子様からどのように受け止められましたか?

ないです。まだ2歳半ですからね、こんごどのような影響があるか、楽しみです。

自分の両親や兄弟

両親からは、将来の仕事・キャリアは大丈夫なのかと心配されました。やはり息子が仕事を離れ無職になって何年か過ごすというのは心配ですよね。これは自分でも不安に思っていることではあるので、不安を煽っても仕方がないし、無理にでも大丈夫!なんとかするから!としか言えませんでした。

自分の友人

イギリスに行くと決断するまで、1,2ヶ月は私も悩んでいました。身近な先輩、友人、会社の同僚に話をしてみると、意外な言葉が帰ってきました。

  • 家族にとってとてもいいじゃない。
  • うらやましい。自分も主夫になってイギリスに行きたい。
  • ぜひやっちゃえ。
  • 今後のことなんかなんとかなるよ。

一人二人なら「無責任な・・」と思ったのですが、かなりの人数から同じようなポジティブな意見が帰ってきたので、お陰様で意志を固めることが出来ました。

きっとこういう生活も選択肢があるならやってみたいという人たちは少なからずいるのではと思いました。ただこれが許さないのが日本の基本的な社会・文化であり、皆同じような生活に収まっているのではと強く感じました。

唯一、会社の上司だけが、今後のキャリアどうするの?行かないのが一番いいんじゃない?と言いました。勿論正論だし、心配をしてくれたのだと思いますが、強烈に心のなかで「それは違う」と感じた瞬間でもありました。やはり社会における男女の働き方のパラダイムシフトが起きている中、過去の価値観がこれから通用するとは思えなく、信じる道を行こうと思いました。

おわり

主夫のグッズ:名刺・名刺作成MOO

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仕事を辞め、海外主夫として最初に直面するのがアイデンティティの喪失。
主夫=無職、つまり無職=何者でもなくなってしまう。少なくとも男性社会・文脈ではそうだ。

人前に出た時の自分自身の紹介のしづらさといったら何だろう。
「あっ、◯◯と申します、はじめまして。主夫やってます、妻が仕事で海外赴任になり、私も会社を辞めてこっちに来たんですよ。あっ名刺ありがとうございます。XXXXXヨーロッパでマネージングディレクターをなさっていらっしゃるのですね、すごいですね、主夫ですか?いやいやいやいや大したことないです、毎日毎日オムツ替えてるばかりで、ホント気が狂いそうですよハハハ(苦笑。あつ私名刺がないので、いただくばかりで申し訳ありません、こちらからご連絡させていただきます。(以下続く)

最近地元のとある企業の社長にご招待を受け、家族でテムズ川クルーズパーティに参加した(実際は子供が病気で私だけ出席)のだが、このようなオフのイベントであってもいろいろな人が集まる中、名刺をいただく一方で自分の紹介がイマイチぱっと決まらない。大した話もできていない相手だと、後でFBでご連絡をするのも何かプライバシーにぐいぐい入り込むようで気が引ける。

一方で、駐妻コミュニティのような女性社会の中にカットインする場合もぎこちない。こちらでは子育ての親というアイデンティティを共有しつつも、自分は男性、異質の存在。

「(目を合わせて相手が気づく)あ、あの、日本人の方ですか?あっ、どうも初めまして。お子さん幾つでいらっしゃいますか?あ、2歳?うちの子と同じですね、お名前は何ちゃんというのですか?あ、□ちゃんていうのか。□ちゃーん、こんにちわぁ、かわいいなあ、将来イケメンだねぇ。抱っこしちゃおう、お、軽いなあ、うちの子結構太ってて、抱っこするとほんとしんどいんですよ。困ったもんだハハハ(苦笑。あ、私◯◯と言います。あ、そろそろ行かれます?私も行かなきゃ、またお会いしましょう、どうもーではでは。(連絡先きいてないけど、まあまた会った時くらいに訊くのががちょうどいいか。。。)」

街中でたまたま駐妻と出会って、雑談は出来てもその後LINEを交換しようと申し出ることが出来るだろうか。それこそセンテンススプリングいかがっすかーな雰囲気プンプンで、相手から警戒されやしないかと、心配になってしまうのは私が自意識過剰なだけだろうか。

そんな中で名刺を作って配るのはとても簡単かつ効果的なアプローチだと感じた。とにかく自己紹介のきっかけがスマートに作りやすい。駐妻に対しても「良ければこちらにメルアドありますから、連絡ください」とスマートに名刺を差し出すだけでいいので簡単だ。

では作るとなった場合、実際どこで名刺を作ればいいのだろうか。私がこちらに来たばかりで、自分自身のアイデンティティの喪失感に苛まされていた時、知人に紹介をしてもらったのが、MOOという名刺作成サービス。

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こちらで簡単にデザイン・フォントなどを選んで、好きな写真や図柄を加えて名刺を作ることが出来る。USを含め世界主要各国で利用ができ、UKでは50枚で送料含め30ポンド程度。150枚で50ポンド程度。是非海外駐在主夫の方にはこれに限らないが作成をおすすめしたい。

私の場合は表に自分の名前と連絡先(住所は入れない)、ブログのURLをいれて、裏には最近行ったスペインのミハスの写真を入れた。この写真が私のFacebookのカバーフォトと同じなので、出会った方が後で私をFBで探したとしてもすぐ見分けがつくようにしている。

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ところで名刺を作る上で問題なのは、肩書き等自分をどう表現するかだと思う。ただ名刺を相手に渡しても。それで終わりでは人脈が頼りの海外生活、勿体無い。

まず男性がHousehusbandという肩書を入れればインパクトは出る。ただ、自分はどんな人間か、主夫の生き様をもっと理解してもらい、人脈をきちんと広げるためにはブログ、もしくはFBに投稿でもして、リンク先をつけておいたほうがいいと思う。ここは外国、自分が前に前に出なければ誰もアテンションを払ってくれないのだ。私は肩書にConsultant, Blogger, Househusband3つを入れて、いまの置かれている状況表現して、オフでもオンでも使えるようなものにしている。

今月から働きます

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6月になったが、朝の気温は10度。まだダウンジャケットやコートが必要なくらいロンドンは寒い。迂闊にも風邪をこじらせてしまった。そんな相変わらずの天候の中、自分の状況は大きく変化.。今月から働きます。

この3ヶ月、仕事をなんとかこちら再開したいと悪戦苦闘を繰り返していたのだが、駐夫(帯同者)の壁は厚い。日系転職エージェントを通して応募した10件弱のポジションは全て面接すら進まず終了。

そもそも、給与額より時間のフレキシビリティを求め、帰国時期が妻(正確には妻の会社)次第という私は、一般的に年収の20%と言われるフィーをもらう彼らのビジネスモデルには 商材として合致していないのだ。企業がエージェントに支援を依頼する時点で、必要な人材は正社員、願わくば終身雇用という相手を探している訳で。思惑半ばで従業員が帰国してしまったら企業としてはエージェントに”金返せ!”となってもフシギではない。

やはりここは、現地の日本人経営者にお会いしていろいろ相談をさせていただき、ご支援いただいたり、彼らの細かいニーズを拾ったりしたほうが、より自分の希望に合致しやすい仕事内容やスタイルにたどり着けるような気がしてきた。

そのような中で、プロジェクトベースで数ヶ月、とある日系のIT企業のお仕事をいただくことになった。

勿論直接企業と条件等は話し合うが、期間も勤務形態もフレキシブルなので直接契約/雇用ではなく、派遣会社に登録し、派遣社員として勤務する。自分は子供の面倒を見なくてはならないので、週3日子供をナーサリーへ送迎し、その空き時間(9時〜5時)で仕事をして、残りの2日間は子供と一緒に過ごすというアプローチとなる。これであれば、企業側も労働者側もWin-Winとなりうる。

このような身勝手な願いを聞き入れ、声をかけていただいた社長には本当に感謝しか言葉が見つからない。

勿論子育て担当の主従は入れ替わるが、海外でも東京にいた時と変わらず、夫婦で日本と変わらず子育てと仕事の両方を実現させたい。その試みの最初の一歩が始まった。

海外赴任となると、昭和のパラダイムでは男性が海外で出世街道を進む中、女性が仕事を泣く泣く手放し、完全に家に入り、子作りや子育てに専念という形式が一般的。ただし、今後はどうであろうか、日本の人口が縮小し一億総活躍時代と呼ばれる時代、これからのビジネスにおいて”海外進出”×”女性の活躍”というキーワードは当然の帰結と予想される。

一般的に男性に比べ語学が好き/得意な女性は多い。結婚しても海外赴任する機会も多くなるであろう。その場合夫はどうするのか、帯同して家に籠るのか?でもそれでは昭和のパラダイムの中で性別が入れ替わっただけだ。子供も産めない分女性よりも分が悪い。

男性だからこそ、どんな国に放り出されてもたくましく自分の能力を発揮すべきではないのだろうか。海外で専業主夫として時を過ごすのは、帰国後の家族の生活リスクを高めてしまう。

それが私の渡英にあたってのテーマであり覚悟であった。仕事ができないなら帰ろう、しかし40歳過ぎとは言え、もしそうなったらそんな情けない自分でいいのかと。

ナーサリーで覚えた英語の歌を歌う娘を見て思う。子供は可能性の塊だと。でも自分も可能性を捨ててはいけない。幾つになっても。だ。