もし、あなたの妻が海外赴任になったら? その1

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管理職になり、海外拠点長の任を受ける―このような女性の真の社会進出が今後盛んになるか、この保守的な日本では疑わしいが、女性の海外赴任のチャンスが増えていくことはあるものの、後退することはまずなかろうと思われる。

では妻がそんな辞令を職場から受けた時、夫である男性はどうするのか?大きな問題である。特に子供がいる場合、簡単に一緒に行く、行かないの判断が付きづらい。

それでも経験者としての結論は、「一緒に行くべき」である。

勿論、その場合、配偶者としての自分は仕事を辞めたり、長期で休暇をとる事になり、キャリアに大きなキズが付く。
妻が赴任先でバリバリ仕事をしている一方で、自分は主夫業を営まなくてはならない。社会で活躍をしていればしているほど、男子のプライドにもキズが付くと感じるだろう。

いやいや、男性の海外赴任に付き従った奥様も同じキズを感じているのだ。
女性は仕事をやめて旦那についていくのがアタリマエではないのだ。

専業主夫になることで、もう一方のジェンダーから見る世界を見ることが出来る。
日本の社会システムは欧米からみたら圧倒的にまだ男性中心、つまりこれは弱者の視点から世の中を見ることが出来るのである。

得られる視点はこれだけではない、海外と日本を相対化して眺められる視点である。
日本という国が、綺麗で、礼儀ただしく、ご飯も美味しい素晴らしい国であることを実感する一方、未来が暗澹としていることがよく分かる。

海外に比べて全然見かけない子供達。欧米と比べて圧倒的に少ない外国人。障害者がテレビに殆ど露出しないといったダイバーシティに欠けた価値観。優先席を率先して空けない不親切さ。混雑した電車にベビーカーを乗せるべきではないといった議論で燃え上がる社会の不寛容さ。ディズニーランドの値上げが異常と感じるほどデフレに慣れきった社会。。。。

世界の片隅で、ちっぽけな存在になることで得られる視点。
アルフレッド・ウェゲナーもビックリの脳内地殻変動だ。
しかしこの体験こそが、100年と言われる人生へ向けたパラダイムシフトを起こすきっかけとなりうるのだ。

これがタダで手に入るのなら、安いものだ。

つづく

<海外主夫デビューに関する相談を受け付けております。コメント欄に一言ご連絡ください、メールで折り返します!>

ロンドン生活終了

thames_river妻の帰任に伴い、日本に帰ります。2015年の冬に来て2年と約半年、ついにこの日がやって来ました。

思えば40代無職になっての渡英、専業主夫としての苦闘と苦悩、二足の草鞋を目指して意地のフリーランス開始、そして現地社員へのステップアップと目まぐるしく変化し、その間人一倍旅もしました。すでにこの生活は日常化し普通に時が過ぎて行く一方、ついこの間ロンドンに来たばかりのようにも思え、帰るという実感も湧きません。正直やり残したこともたくさんあります。

ただ、少なくともこの2年半の生活の中で、日本のしがらみを一切断ち、背負う会社も名刺もない、ただの一人の人間として世界一のダイバーシティを誇るロンドンにいた事は私の人生において非常に大きな意味を今後も持ち続けるでしょう。

特に、国籍を問わず人々の様々な価値観や生き様を現地人に近い立場で色眼鏡なく吸収出来たこと、子育てに優しい社会の中で、何より子供や家族と一緒に過ごす時間を大切にした欧州式のライフスタイルを経験できたことは大きいです。

仕事という言い訳無しの立場になった専業主夫時代は、主夫活動を通し、家事育児への理解やコミットメントが少なかった自分を反省するばかりでした。所謂「名も無き家事」と言われるような日々の細かな家庭の仕事について妻に頼りきりで、なんにも考えていなかった自分の視野の狭さが身に沁みるほど理解出来ました。

仕事を始める段階になったところでは、仕事と家庭の両立以前に、海外で仕事を手に入れることの難しさにぶち当たり、自分の存在は社会にとって意味があるのか?とさえ自問自答する日々でした。その中で転換点になったのは、現地日本人コミュニティに食い込み、イギリスで裸一貫から成功を手にしたベンチャースピリット溢れる方々と知り合うことが出来、助けていただいたことです。

そして1年働いた職場については、自分が子育てを中心に生活を回していることを理解頂き、毎日5時に会社を出る前提でも雇ってもらえたことに感謝です。そして3ヶ月に1度のペースで1週間以上の休暇を取り、ヨーロッパ、中米など様々な場所へ家族旅行に行くことが出来ました。

子供も大きくなりました。1歳8ヶ月で来たばかりの時は、私が四六時中面倒を見なくてはならない、小さく幼い存在でしたが、もう来月で4歳。立派にナーサリーで友達や先生と英語でコミュニケーションを取り、トイレなど自分で身の回りのことをしたり、遊びを考えたり、個性を発揮しています。子供にとっては、大変だったかもしれませんが、明らかに教育上良かったと断言できます。

日本に帰って新たな生活がはじまっても、我が一家の旅は続きます。これから自分はどこへ向かうのか、家族とどういう幸せを手にしたいのか、良い機会だと思うのでいろいろ考えていきたいと思います。

ブログについては、まだ英国生活で書き残したこともあるので、時々更新しようかと思います。

子連れウェールズの旅 その2

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スノードニア国立公園を旅する

森と山と湖がある。それが新鮮!

前回紹介した、海沿いの城址から南下すると、スノードニア国立公園がある。ココはイングランドとは違った、変化に飛んだ美しい自然がある。

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ぱっと見、山と湖なのだが、実際山と湖である。たかがこんな景色、日本人にとっては大した話ではない。されど山のないロンドン近郊、ちょっと2,3時間ドライブしても、このような景色を拝むことが出来ないのだ。久々に見る雄大な自然に心がなごむ。

登山鉄道でスノードン山山頂へ

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ウェールズの旅のハイライトの一つ、登山鉄道で、ふもとのスランベリス(Llanberis)からスノードン山(1,085m)の山頂を目指す。ここはイギリスとアイルランドを含めても4番目に高い山。標高1,000メートルでもイギリス人にとってはすごいことなのだ。

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ところで、美しい海岸、山と湖があるウェールズの北部地方には、観光鉄道が沢山ある。多くは蒸気機関車が牽引し、のんびりとした旅情を愉しむことが出来る。その中でも、スノードンの山頂に向かうスノードン登山鉄道は、最も人気のある鉄道の一つ。乗る場合は要予約である。

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予約にまつわる話として、我々の乗車時には、一つハプニングが発生した。車両に乗り込んだら何故か我々の指定席に他の乗客が座っていた。異変に気づいた車掌が両者のチケットを確認すると、今座っていた年配のグループのチケットがなんと、来月の予約だったのだ。乗客の落胆と羞恥の表情は勿論、車内の乗客全員から漏れる「Oh!」の声。まさかこれだけの為に来月また来ることも無いだろう、本当に気の毒だ。

いざ出発。蒸気機関車から出る白煙と水蒸気がまるで霧のよう。

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灌木すら無く日本だったら高原の様な景色だが、標高300メートル程度。

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単線なので、待ち合わせ。前方からはディーゼル機関車がやって来た。

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霧が出ててきたのが残念だが、目下に広がる雄大な景色。まるで3,000メートル級の高原に来たようだ。でも標高700メートル位。

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線路と平行に走る登山道に目を向けると、犬を連れて歩いている登山客がいる。この景色に犬の散歩。。奇妙な風景だ。小さい子供も普通に歩いているので、ほぼハイキング気分で気楽に登山が出来るようだ。

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山頂に到着。残念ながら山頂は更に濃い霧に覆われ、自分の周り以外何も見えなかった。

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崖の向こうは真っ白。晴天時の眺めはページ最初の写真にあるような景色にみえるのだろう。

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可愛らしい宿で出会った海塩

二日目の宿は、国立公園内の小さな町の北欧趣味なB&Bに泊まったのだが、そこでとても素晴らしい物に巡り合った。テーブルの上に置かれていた調味料の一つに塩のポットがあり、それがとても美味しかったのだ。

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その名前はハレン・モン (HALEN MON)。ウェールズのアングルシー島で生産されているこの海塩は、海のミネラル分がたっぷり含まれていてものすごくコクがある。だからシンプルな温野菜や茹でたジャガイモなどにふりかけるだけでとても美味しい。こんな旨味の強い塩は日本で食べたことがない。とても感動してあとで買い込んでしまった。

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ピクルドエッグを食す

イギリスの食文化の貧しさ、もとい素朴さが際立つ一品。

酢に漬けたゆで卵。原料は卵と酢、それ以下でも以上でもない。

漬けてあるのが米酢のような醸造酢ではなく、蒸留酢であるホワイトビネガーの為、酸味が鋭い。勿論酢からの旨味は全く感じられない。キュウリなど他のピクルスが砂糖や胡麻で味や風味を漬けてあるのとは対象的である。

これは食べ物として完成品なのかという疑問はさておき、こんな工夫のないものを瓶詰めにして売るという感覚も驚嘆に値する。

断っておくが、私自身は割りと嫌いではない、食べ始めると癖になり、むしろ素朴で美味しいと感じてしまう。

これを初めて知ったのは、友人に誘われて先月訪れた、ビールフェア ”CAMRA Great British Beer Festival”での事。

ビールフェア自体に言及しておくと、これは楽しかった。英国全土のクラフトエール/ビールが集まるイベントで、大きな展示会場は酔っぱらいのおじさんだらけ。ビールのブース以外にも、食べ物の屋台やテキ屋の様なゲームまである。大の大人皆童心に帰っているが、もちろん18禁。

そこにピクルドエッグの屋台もあって、友人に進められて挑戦することに。
このビジュアルでしかもイギリスの食べもの。。。。なんか濁った液体に入ってるし、色もヤバイ。大体イギリスで見た目よりもまずいものはいくらでも知ってるが、見た目よりうまいものなんて見たこと無い。久々に本能が危険信号を鳴らしている。そんな未知との遭遇であった。

みんな大好きなのだろうか、結構イギリス人がブースにたかっている。小さな紙袋の中に酢卵とポテトチップを入れ、中でポテトチップを粉々にして、袋の中でシャカシャカして食べている。
確かにコクばかりでキレの少ないまったりしたイギリスのエールには、キュッと酸っぱい卵は相性がいい。でもなあ。ドイツ人がソーセージで、スペイン人がタパスでビールを飲むのとはえらい違いなんだよなあ。

最近イギリスの食べ物には驚かなくなったのだが、久々にやはりすごい文化だと思った出来事だった。

イギリス恐るべし。

だから僕は肉を焼く

fire夜中の23時。俺は肉を焼いている。
オーブンの灯りが静まり返ったキッチンに寂しげに仄めく。

肉が食べたいからではない。
明日娘に食べさせる肉を焼いているのだ。

今週日曜日から1週間、妻が日本出張に行っている。残された自分と娘。
今日は2日目の晩が終了。ここまでは全て自分で対応した。

明日は小休止。ナニー(ベビーシッター)にお願いして、ナーサリーの迎え、食事、風呂、寝かせまでお願いする予定。
自分はすこし遅くまで仕事をして、普段見ぬロンドンの夜の街をぶらついて帰ろうかと思っている。

ところで、ナニーに子供の食事をしてもらえるといってもご飯の用意はコチラでしておかなくてはならない。shiokoji_chickenとりあえず明日の子供の夕食は、妻が作り置いてくれたものと、今焼いている鶏肉の塩麹漬け。作り置きはインゲンの胡麻和え、高野豆腐。味噌汁はフリーズドライのインスタントに。

勿論作り置きをしてくれた妻には感謝なのだが、自分と子供の2人だと、楽な面も実はある。
一番は炊事の手が抜けること。家事・育児における炊事の負担はハンパないのだ。

だから、子供の分さえきちんと食べさせれば、自分は正直どうでもいい。晩御飯はビールにピーナツとか、ワインにチーズとか、ちょっと小腹が空けば辛ラーメンにもやしをいれればそれで十分。

子供の食事でさえ、買えば済むソリューションも日本ほどではないが、それなりにある。例えば冷凍餃子、日本製だけでなく、韓国製や中国・香港製も合わせると結構なバリエーションがあるし、とくに中華圏の水餃子は美味しい。子供も大好きである。

そしてピザ。こちらのピザは4−5ポンドで具だくさんな冷蔵ピザが売られている。これをオーブンで焼けば日本の配達ビザとほぼ変わらぬクオリティのピザが食べられるので、自分は赤ワインでも開けて、これを娘とシェアすれば十分。

あとは乾麺のうどんやひやむぎ。細かく刻んだニンジンや白菜をうどんスープで煮込み、うどんを合わせるだけ。野菜があまり気にならない形で食べてくれるのが良し。

20分経過。ひとまず完成。ネギっぽく見えるのはリーク。ネギより大きいので、写真では鶏肉が小さく見えてしまう。これで明日は安心だ。とりあえず焼き鳥臭くなった身体をシャワーするか。今日は娘はぐっすり寝ているようだ。

 

ひとりぼっちの夜。ちょっと幸せ。