フルタイム勤務になってからの家事について 前編

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私がフルタイムで仕事をするようになり、日本にいた時と同じ完全共働きとなった。

これまで平日は私がフリーランスの仕事の合間に日々の家事、および火曜日は仕事をセずフルタイムで子供の面倒を見ていた。ある意味仕事を家事育児に合わせて仕事量の調節を図っていたのだ。

しかしこれからは仕事の時間が固定となる。子供を全日ナーサリーに通わせる一方、家事育児のやり方についても新たなやり方が必要になった。行った改革は3つ。1. 平日の炊事の省力化、2. 夫婦間でのタスクの再配分、および3. タスクの外部化を行うことにした。

1. 平日の炊事の省力化:作り置き惣菜へ注力

正直、これまで私自身は作り置き惣菜というものに全く興味がなかった。煮物やおひたし、食べるのもイマイチ気分が盛り上がらない一方、作るのも億劫だ。

なんで食欲のない時に料理をしなくてはならないのか。子供が寝静まった夜中まで、折角自分の時間として使えるのに料理などしたくない、という気持ちが強かった。だが今回復職にあたり、子供のナーサリーの迎えは引き続き自分のタスクとしているため、平日にのんびり料理をする時間など無いことは明らかだ。

午後5時に会社を出て、すぐさま地下鉄に乗り込み、駅から急いで家まで戻って車に乗り込み、ナーサリーの閉まる午後6時までに迎えに行く必要がある。

8時台の娘の就寝を目指すと、ここから食事の支度をして7時までには娘の夕食を完了させたい。やはり作り置き惣菜+焼き魚などメイン一品+味噌汁という組み合わせで行くのが楽だ。

そこで意を決し、平日は料理を作るのはほぼ止め、週末にガッツリ惣菜を作ることにした。ホウレン草やブロッコリーは茹でて冷凍、イギリスには小松菜が無いのでチンゲン菜と油揚げで煮びたし、インゲンは茹でて胡麻ドレッシングとすり胡麻で胡麻和え、卵は茹でてタレに浸し味玉子、こちらでも抜群に安い鶏胸肉は下味をつけボイルして鶏ハムに。

しんと静まり返った午前1時、邪魔もないから粛々と料理ができあがる。出来たら冷ましてタッパーにどんどん詰め、冷蔵庫へ。結構効率よく出来るのでなんだか面白い。お惣菜づくりってやってみるもんだ。

普段は子供を待たせ、一人でテレビやタブレットで遊ばせている間に追い立てられるように作っているので心の余裕なんて全くないのだから。

作ったメニュー、かつ家族にウケが良かったメニューはレシピサイトのページをブックマークしてフォルダに集め、次回調理時にもすぐ取り出せるようにしておくことにした。

この生活にシフトしてよかったのは、食事がヘルシーになったこと。インゲンの胡麻和えやひじきの煮物など、常に4種類くらいの野菜中心の惣菜が食卓に上るようになった。特に娘は食べないのでは、なぜなら日中ナーサリーではパスタやミートボール、チキンナゲットを食べてるし、と心配たのだが、結構食べてくれた。うちの娘は若干重量オーバー気味だし、これは良い。

すっかり作り置き料理にハマった私は、来週の惣菜をどうするか、この週末の献立に向け、さっそくネットと料理本を研究し始めている。

つづく

子育てしやすい?ロンドン

少し前の話になるが、宇多田ヒカルがテレビのインタビューでロンドンでの子育てのしやすさを語っていた。そしてその内容がネットで拡散されていた。

宇多田は「日本で子育てをしたことがないので私の認識が間違っている可能性もあるんですけど」と前置きしたうえで、実際に東京で生活して子供を育てている友人の話を聞く限りでは、「東京ってなんて子育てしにくそうな街なんだろうってびっくりします」と話す。彼女が伝え聞いたところでは、「外で赤ちゃんが泣いていたらすごく嫌な顔されるとか」「ベビーカー持って外に行って乗り物ですとかに乗るとまわりがまったく協力してくれないうえになんだよこんな時間にみたいな視線を投げかけられたり」「実際何か嫌なこと言われたりやられたりという体験談をよく聞く」。

 他方、ロンドンでは「とにかくお母さんと赤ちゃんがそこらじゅうにいる」のが良いのだという。日本でもそこらじゅうにいるではないか、と思うかもしれないが、宇多田のいう「そこらじゅう」は、赤ちゃん用のエリア……たとえば公園やファミリー層向けのスポット以外のすべての場所を含めている。「授乳するにしてもレストランで全然するんですよ、くだけたカフェとかじゃなくそこそこちゃんとしたレストランでも嫌な顔されずに授乳できる」のだそうだ。

Daily News Onlineより)

子供Welcomeなロンドン

子供が多い、これは確かに私も感じたことだ。自分も娘が1歳のときにロンドンに来たので、まず同じような乳幼児が街にたくさんいることに驚く。統計で見てみると東京都人口における04歳児の割合は3.8%程度(2015年国勢調査)。対するロンドンの割合はロンドン中心部・外縁部を含め7-8%。なんと2倍近い数字になっている。2倍子供が多いのだから、東京から来た自分からは沢山いると感じても不思議ではない。

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(出典:Londons Poverty Profile)

特に商業施設、および飲食店などで小さな子供を沢山見かけるのだが、とりわけ飲食店は日本より子供の数が多いと思う。なぜなら子供ウェルカムな雰囲気がとてもあるから。子供のイス(ハイチェア・ブースターチェア)は大体の飲食店に用意されている。また着席後から料理が届くまでの時間が子供にとってはおとなしく出来ず、カオスになりがちだが、その間を楽しめるように塗り絵やクレヨン・色鉛筆などをプレゼントしてくれるお店も多い。こういった配慮がいかにもファミレスといった雰囲気の店だけではなく、小洒落たレストランでも対応していたりするのが意外で素晴らしいと感じた点。

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そして、一番大きいのは店員およびお客も子供(特に小さい子)に対して興味をもって声をかけてくれたり目を合わせたりしてくれること。やはり良い子育て環境には周りの人が子供を受け入れる雰囲気を作る心遣いが必須だとつくづく感じる。日本だと他人の子供に関わらないほうが美徳になってしまっているのでは無いだろうか、その結果親子としては周りから受け入れられているのかどうかすら判別できない。

バリアフリーどころかバリアだらけの街ロンドン

一方で、公共交通機関は不便を感じた。ロンドンが誇る地下鉄ネットワークも、ベビーカーでは非常に利用しづらい。ロンドン地下鉄はゾーン制で料金が変わるのだが、Zone1と呼ばれる、ロンドンの最中心部についてはほぼバリアフリーな駅は無いと言って良いに等しい。私はノーザンライン沿線に住んでいるので例に挙げると、都心部分は階段を使わず電車に乗れる駅はほぼない。下の路線図をご覧いただくと環状部分にあたる最中心部の駅にバリアフリーという意味の青い車椅子マークが殆ど無いのがおわかりになるだろう。

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マークはほぼ路線の両端、つまり田舎の地上駅のみに集中している。他の路線も似たようなもの。大英博物館、ハイドパーク、ハロッズやリバティへの買い物なんかは全てZone1の中であるため、ベビーカーを押して親一人でのお出かけはとても萎える。勿論宇多田ヒカルが言うように、階段で立ち往生していると通行人がわっと集まってワッショイワッショイベビーカーを運んでくれることも事実だが、混雑している時にそれを当てにして出かけるのも面倒くさい。

代替としてバスがあるが、比較的段差も無く乗りやすいものの、混雑するロンドン中心部では渋滞に巻き込まれて下手をすると地下鉄の倍くらい時間がかかってしまうことがあるためこれもイライラする。

また、基本的に市内中心部は一般的に歩道が狭く、舗装も悪い。人混みが通りづらいのは渋谷や新宿と変わらない。

歌手のようなお金持ちならタクシーや自家用車で移動しているのかもしれない。

乳幼児を育ているに当たり、交通という面のハードウェアは日本のほうが優れている。一方で子育てに対し周りの人が暖かく接してくれる風土はロンドンのほうが上。ストレスは正直どちらも似たようなもの。ただやはり社会の優しさを感じられる方が親にとっては救われるような気がするのは確かだ。

妻の出張・子の脱臼 その2

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前回からのつづき

翌朝になっても、娘は痛がっていた右腕をぶらんと下げたまま、左手だけでなんとか朝食のシリアルを食べている。

これはやばいと焦り、早速朝一で病院に連絡、お医者さんに診てもらうことにした。

やはり娘の肘は脱臼。病院にて

まず面会した医師は小児科医。触診とX線検査を受けた後、X線写真では特に骨の異常、関節の以上は見当たらないとの事。暫く様子を見ましょうという話になった。

そして診察室を出ようとしたその時、午後から整形外科の先生が来るので、念の為もう一度見てもらって欲しい、と言われ、午後も診察してもらうことに。

整形外科の先生に娘の腕のX線写真を見てもらうと、なんと軽い脱臼、肘の関節がずれてしまっているとのこと。

となると行うべき施術は一つ、腕を思い切りグイッと引っ張って、元の位置に戻すこと。
わかっちゃいる、わかっちゃいるのだが背筋が寒くなる。痛々しい、娘が不憫でならない。

自分が娘の身体を押さえつける一方、先生と看護婦さんが娘の右腕を思いっきり引っ張る。

当然娘は絶叫する。処置とはいえ、親としても大人2人が2歳児の小さな腕を力づくで引っ張る光景は見ていられない。

しかし腕の関節が正常な位置に戻るやいなや、わりとすぐに泣き声は落ち着いた。痛みは引いたようだ。

そしてギブスと包帯でグルグル巻きにして、肘を固定。手首と肘は筋がつながっているので、手のひらから二の腕までほぼ腕の全域がギブスで固定されてしまった。

妻の帰宅

二日目の夜遅く、妻が帰宅してきた。海の向こうのイタリアで余計な心配をさせても仕方ないので、これまでLINEのやり取りでもほぼ沈黙を通してきたが、帰ってきて一連の出来事を説明。既にベッドに寝ている娘を見に行くが、腕のギブスが邪魔で姿勢がぎこちない。寝苦しそう。先生曰く、ここから4週間はギブスで固定しておく必要があるそうだ。

ギブス生活、1.風呂が大変

右腕腕全体にはめられたギブスの為、濡らさないようにシャワーを浴びせるのが一苦労。最近は浴槽にお湯を張り、泡風呂に一人で入ってもらうことも多くなった中、シャワーだけ、しか右腕を濡れないように面倒を見るのはとても手間がかかる。

ナーサリーの先生にこの話をしたところ、オススメの道具を紹介してもらった。

LIMBO

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要は頑丈なビニール袋なのだが、腕の入り口がウェットスーツ素材で出来ており、伸縮性があってスキマを作らない上、撥水効果があり、シャワーだけでなく入浴でもお湯が腕の中に入ってこない。優れもの。

2.服を着せるのが大変

ギブスのせいで芋虫のように鳴ってしまった娘の右腕、普通の長袖はまったく通らない。かと言って半袖では過ごせない位寒くなったので、大きめのパジャマや服を着せるしかない。近くの安い服屋(Primark、しまむら的な感じ?)で4歳児用のフリースを買いなんとかした。

3. 食事が大変

カトラリーの使い方をきちんと学んで欲しい年頃の娘、利き腕が使えなくなって左手でスプーンを使おうとするが、なかなかうまくいかない。食べ物が皿からポロポロこぼれる。しまいには手で食べるか、「パパ、食べさせて」とせがむ。せめてもの罪滅ぼしにとスプーンで味噌汁を掬い、口に運んであげる。

そして1週間後

再び病院に訪問し、肘の状態のチェックとギブスの交換を行う。2週間位交換なしでいいと言われたのだが、そこは小さな子供、1週間のナーサリー生活でギブスは真っ黒、とりかえないと気持が悪い。

再び娘に試練がやってきた。

石のように固まったギブスを切開する為の電動カッターが登場。ピザカッターのような円盤状の刃と削りカス取り用の掃除機が合体したようなもので、ギュンギュンと刃が回り、ズゴーと掃除機の轟音が響く。

娘は轟音に驚きギャアギャア泣きわめく。暴れる娘の手足を夫婦で押さえつけ、先生がギブスに手をかける。ガガガガガーと騒音と振動ともに回転刃がギブスに入り込んでいく。見なくていいのに娘はカッターを見ようとするので掌で目隠しをする。

現在

最初の通院から2週間半たった今週、ようやくギブスが取れた。再度ギブスを取り外すカッターの轟音で娘はパニクったが、これで最後。しかも予定より早い普段の生活に戻ることが出来たので本当に良かった。

しかし娘はいまだに左手でご飯をたべている。左利きに鳴ってしまうのではないかと心配だ。

妻の出張・子の脱臼 その1

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ロンドンにやって来てもうすぐ1年が経とうとし、妻の仕事も軌道に乗り始めたようで、ドイツ、イタリアなど海外出張が多くなってきた。大いに結構な話。

ただ、その間は当然自分はロンドンで子供と2人の生活が続く。

一泊二日の出張ならまあ大した負担にならない。妻が会食や飲み会で遅くなるパターンとそれほど変わらないからだ。

そして自分も気楽でいい。夕食を作るというプレッシャーから解放されるからだ。

自分だけだったら、娘の食事は簡単にスーパーのミートボールを叩いて延ばしてミニハンバークを作ればいいし、自分は冷蔵庫宇野残り物か辛ラーメンを食べて食事をそうそうに済ませ、チーズをツマミにワインかエールをやる、これで十分。

娘も大分状況がわかり始めていて、母親のいない日があっても文句一つ言わずに父との夕食・シャワー・就寝をやってくれるようになった。

しかし、二泊以上になると結構大変である。帰りのフライトが夜になると、更に+1泊分の負担がかかってくるからだ。

子供も2日目以降になると夜泣きをしたり、夜中に目が醒めたときに母親がいないと不機嫌に鳴ったりする。やはりストレスはあるのだろう。

そして今回はいろいろ大変だった。

妻は23日のイタリア出張。帰りの日は帰宅が夜遅くになるので、父娘は33日の留守番生活だった。

1日目を無難にやり過ごし、2日目のことだった。

娘を夕方迎えに行き、アパートの入口まで来たところ、いつものやり取りが始まった。

「パパー、抱っこ!」

階段を登りたくないのだ。うちのアパートにはエレベーターは無い。

勿論、お父さんとしてはここは厳しく「ダメ!」である。

もううちの娘も2歳半を過ぎた。自分で階段を登れるし、登らなきゃいけない分別もついてきている。

「うえーーーん」駄々をこねる娘に再度、

「ダメ!甘えても!階段登ろう、おててつないで。」

娘は最後の抵抗、階段の手前で床にゴロン。ワーワー叫んで。動かない。

そして事は起こった。

両手を掴んでぐいと引っ張って起き上がらせようとしたところ、娘の右手の手首がポキと鳴って、そのあと突然激しく泣き始めた。

「うぎゃーーー」

尋常じゃない鳴き声に焦った自分、とりあえず抱えて家に帰り、湿布を張って様子を観ることにした。

泣き止んだ娘、夕食時も右手はだらんと下におろしたまま。左手でなんとか食べようとするが、ポロポロこぼれて食べられない。

「パパ、食べられないからたべさせて」とせがむ娘。

右手は腫れがあったり、変色が会ったりしているわけではないのだが、ちょっとでも動かそうものならすごく痛がる。

本当に申し訳ない気持で一杯だ。

さすがに明日までによくならなければ朝一で医者に行かなくては。。。

つづく

ママ達の乱(パパも少々含む)その4

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前回からの続き

娘が通うナーサリーの環境が良くないと、WhatAppチャットで盛り上がるママたち。ついに園長と円座になって話し合う機会が設定された。話し合いにてナーサリー側から改善案が出されたが、一方で失礼に感じるまでのSNS禁止令、集団抗議活動の禁止令が出された。まだ話し合いが園長と必要な人は個別ミーティングを設けるということになったのだが。

スタッフの退職

まだまだ、園と父母たちの熱が冷めやらぬうちに、次なる不安要素が現れた。我々のクラスの担当で男性保育士のKodaが病気で長期欠勤、そのまま復帰することなく辞めてしまった。一向に運営が安定する素振りが見えない。保育士リーダーのサマンサの本格復帰はまだ数週間後だと言うのに。一体どうしてしまったのか?

園長との個別面談

その3で展開した例の会合の2週間後に、リーダー格の保育士、サマンサは金曜日の遅いシフトのみの出勤からフルタイムに復帰。

彼女には3人子供がいて、そのうち2人は他のクラスではあるが、この保育園に連れてきて仕事をつづけている。見るからに大変そうではあるし、カオスな教室、親のプレッシャー、メンバーも一人欠いてしまっているという状況ではあるが、子供を預けている親の気持としては、彼女に頑張っていただくしかない。

その中で、園長のサンドラとの個別面談を実施した。これはあくまで任意のもので、前回の会合での論点ではなかった、各親が相談したい個別のイシューについて話をするというセッションであった。

自分は正直この個別面談に興味を失っていた。なぜなら前回で園長のサンドラが頑固で、とにかく考えを簡単に曲げるような人ではないことが分かったし、なおかつジェネラルな改善ポイントについては園側が既に対処をし始めているところであって、進捗を云々するような議論の余地がない。しかも園長、話が長いのだ。前回もずっと自分の仕事のポリシーや子供の教育観、ずっと脱線して喋っている。また同じパターンにハマるのではないかと億劫になっている一方、妻は鼻息荒い。

前回の会合に出ていないし、SNSの使用について集団的行動を禁じる失礼な物言いのメールに憤っている。まずはなんであんな失礼な書き方をするのか、問いただしたいとのこと。加えて、なぜKodaが病欠のまま、退職してしまったのかも確認することにした。

そして面談。

サンドラは案の定であった。

  • SNSへの誹謗中傷の書き込みは法的措置も厭わないとか、集団的反抗をに断固反対するといった失礼な物言いについては誤っていたが、そこ以外はあまり親の細かい心配を利くというよりは、私のやり方を信じなさいという自身満々のアプローチで話が進められた。またその話しぶりからは育児のプロというより、経営者としての園長の本音を聞いた感じであった。
  • 園の維持には優秀な保育士スタッフが不可欠。私が誇りにしているのはスタッフの退職率の低さ、採用にあたっても転職を繰り返すような人は採用しないし、最新の注意を払っている。また、彼、彼女らスタッフは国の最低賃金に近い賃金で仕事をしている。ちょっとした不満や問題があれば、別の仕事をしてもおかしくない。そういったギリギリの生活をしているスタッフのやる気をきちんと尊重し、続けてもらうのが大事。
  • 今回のSNSWhatsApp)の件については、最近入園されたお母さんが、交流目的のWhatsAppがあまりに園への不満や文句を並べ立てるネガティブな場になっていることに非常に不快感をもっていると私の方に連絡をもらった。こういったネガティブな空気は現場の先生にも伝わるもの。だからこういった動きはしないで欲しい。何か問題があるなら個別に相談に来て欲しい。
  • Kodaが退職したのは、こちらも予想もしておらず、びっくりしている。とにかく「疲れた」といって辞めていった。彼はサンドラがいない間、代理のリーダーとして頑張ってきた、これも一連のネガティブな雰囲気によるプレッシャーなのではないか。

面談を通じてわかったのは、園長のサンドラ的に重要なのは

従業員>子供達>>>親

のようである。まあ、ここは私立だし、Waitlistを作るくらいお客が来るわけだから、そうなるのも無理はない。要するに私のやり方に文句がれば他に行けと言うに等しい。顔はニコニコしているが、結構つっけんどんである。

しかしこの割り切り感、日本じゃ考えられないのでびっくりする。日本ではお客様は神様ですから。たとえモンスターペアレントでも。

その後のクラスの変化

サンドラが帰ってきてからは、大分雰囲気が変わってきた。部屋に秩序が戻り、月に1回は父母あてにメールでお便りをくれる様になった。近くのシティファームに遠足に行ったり、その写真を送ってくれたりと、園内での活動が見えるようにもなってきた。さすが当園の古株なだけはある。

拍子抜けのフォローアップミーティング

会合から1ヶ月半後、その第二弾とも言える、父母を一同に会したフォローアップミーティングが予定されていた。その前日、そういえば明日だよね、会社を早めに出て出席する、という妻の発言で思い出した。それまですっかり自分は忘れていた。Kodaの代わりのスタッフも補充され、環境も整備されたところでもうこの件はそれほど確認することもないし、追加の要望もなかったからだ。

この日がセットされたのは1ヶ月以上前なのに、当日になってもリマインドが来ない状況で、ホントにミーティングはあるのか無いのか、妻が質問をメールでしてみると、ちゃんとあるという。この問い合わせに背中を押されたのか、リマインドメールが開催数時間前に父母に送られてきた。

うわー、これ皆いま気づいただろうな、しかも開催時間が午後4時半だから、きっと出席率悪いだろうな。

そんな予感がした。

そして、予想は的中、というか予想以上に人が来なかった。なんと我々夫婦だけ。前回は12人出席だったのに、今回は2人。

リマインドメールをしない園側もいかがなものだが、どれだけ興味を失っているのか。前回息巻いていたママたちは今や見る影もない。

現状に満足できているという裏返しでもあるから良いのだろう。いずれにせよ、完全に鎮火してしまった園側の圧勝である。

最後に

結局、ちょっとした園の不手際やトラブルに対し、感情的になる親はある程度特定できる様になってきた。特に、自分たちの子供がわりとトラブルメーカーの場合及び子育てに対し結構神経質になっている親が騒いでいる感じである。今回はそれに引きづられて他の親たちも園に対する不平不満がつのり、乗っかったという感じであった。従って感情的になりやすい親が鎮火してしまうとこの話はもうなかったかのごとく静かになった。うちは特に子供に問題があるわけでもないので成り行きを静観するポジションを一貫して取っていた。

ただし、最近またWhatsAppのチャットが盛り上がっている。同じクラスのAlexが結構乱暴者で、痛い目に会った子の親がざわざわと騒ぎ始めている。やはり騒ぐのは同じお母さん、AlexにはSpecial Careで一人人員を付けて、行動を監視してくれないと安心できないとかどうとか。まともなお母さんもいて、It could be US. と冷静になるよう諭している人もいる。

子育てについて、わからなくて不安で仕方がないという気持ちから起こる親の狼狽はどこの国も同じだな~と思う今日このごろ。

おわり

写真はfrickrより転載