ブラック・プディングを食す

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イギリスに来てみると噂通り微妙な食べ物が多い。ソーセージはその一つ。日本人ならソーセージといえばウインナーソーセージ。プチッ・パキッとした皮の感触と、プリっとした肉感に慣れ親しんでいるので、コシのないブリティッシュ・ソーセージはまるで地球外生命体のよう。これには肉以外にラードやパン粉がたっぷり詰まっているので、生の状態はムニュっとスライミーな触感。フライパンで焼くとパンパンに膨れ上がり、カブトムシの幼虫のよう。しかも一本から大さじ一杯の脂が滲み出してくる。そして食感はブヨブヨ。肉なのかつなぎなのかよくわからない。決してまずくないのだが、とりわけ旨いわけでもない。イギリスもドイツも元をたどればゲルマン人、なぜ海を隔てるとここまでソーセージの解釈が変わるのか分からない。

ブリティッシュ・ソーセージだけでなく、ブラッド()ソーセージの一種、ブラック・プディングもイギリスらしいソーセージの一つ。実際ソーセージという名前がついていないだけに、肉が入っていない。中身は豚の血、豚の脂身、オートミール、にんにくなどの香味野菜とスパイス。「何故肉はない?」という気持でいっぱいになる。

とはいえ、ブラック・プディングはイギリスの朝食の定番。地元の味を試すべく、スーパーに買いに行った。これに限らないのだが、安い加工食品を買うと確実にまずいので一番高いブラック・プディングを購入。それでも10センチ強のものがたった2ポンド。スーパーのPB品が1ポンドなのでそれほど高くない。原材料がリサイクル品みたいなものだからそんなもんだろう。

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のんびり起きた週末の朝食に、焼いて食べてみることに。切ってみるとこんな感じ。白い部分は脂身と穀物のようだ。ブリティッシュ・ソーセージほど脂ぎってはいないので少し安心。

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まずくて食べれなかった時のバックアップ用のベーコンと一緒に焼いているの図。本気で保険かけてます。。。火を通すと穀物部分が膨らんで粒が大きくなってくる。問題発生!焼く前も後も真っ黒なので、食べごろが全くわからない。。。。

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なんとなく火が通ったぽいので、調理完了。これだけだとあまりに貧相なので、目玉焼きとベーコンとベイクドビーンズも盛りつけて、イングリッシュ・ブレックファーストの出来上がり。いやー、どうです?この完璧なビジュアル。勿論イギリス人なら垂涎モノでしょう。

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ブラック・プディングのお味はというと、割りと美味しかった、というのが感想。脂っこくないのがまず好印象だった。味もそれほど血の味の癖がなく、あっさりしている。まあ、そもそも期待値を相当低く見積もっていたからなのだけれど。。。

UKのスーパーあれこれ

家事・育児が主夫の戦場に喩えるのであれば、兵站はスーパーマーケット。勿論アジア食材スーパーは重要だが、ちょっとした買い足し、野菜や肉、洗剤などの消耗品の調達でほぼ毎日お世話になっているのは英国系スーパー。こちらでは4大スーパーチェーンと呼ばれる、Tesco, Asda, Sainsbury, Morrisons4つがメジャー。これらだけで市場のほぼ7割を占めている。その他ロンドン都心でよく見るのは高級志向のWaitroseMarks&Spencer(M&S)

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Wikipediaより作成。

それぞれ雰囲気も違えば客層も違う。個人的な感想を交え、幾つか紹介してみたい。

#1 Tesco (シェア28.4%)

sainsburysテスコはウォルマート、カルフールについで世界第3位の小売業。日本にも一時期日本のスーパーを買収して進出していたけれど現在は撤退済み。ロンドン中どこにでもある印象。都心の店舗は小規模でコンビニサイズだが、郊外店はガソリンスタンドも併設されていたりしてとても大きい。店内は白地を基調に至ってノーフリルで平凡な雰囲気に感じる。

#2 ASDA (17.1%)

asdaアスダ。なんだかインド系とかアジアっぽい響きに感じてしまうのは私だけ?ロンドン中心部には店舗は存在せず、郊外に大きな店舗を構える。食料品だけでなく、日用雑貨、DIY用品なども売っており、スーパー+ホームセンターといった田舎っぽい庶民的な印象。来ている顧客もアジア系、アフリカ系など様々な人種が来ているイメージ。

#3 Sainsbury’s ( 16.9%)

sainsburysASDAに対し僅差でシェアを追っているためか、ASDAに敵意むき出しなスーパー。会計の際、レシートと一緒に、「今日の買い物はASDAで買った場合より◯◯ポンド安くなっています」みたいな報告をもらえる。郊外では大型店舗、ロンドン中心部ではコンビニサイズの店舗を展開しているのはTescoと一緒だが、若干Tescoよりも店内の雰囲気が高級に感じる。PB商品が充実しているからだろうか。

#4 Morrisons ( 10.9%)

morrisonsASDAと同じく、庶民的な印象。都心の店舗では白人より有色人種系の顧客が多いイメージ。割りと酒コーナーが充実している。店舗デザインは緑と黄色を基調にしており、他店の白っぽいイメージとは若干異なる。PB商品は見かけない。店舗入口にドーナツやカップケーキが並んでいたり、菓子コーナーには大手メーカーの大袋のポテトチップやドリトスなどが陳列しており、身体に悪そうだけど思わず手を伸ばしたくなる。なんだかアメリカのローエンド向けスーパーを想起してしまう。

上の4つでは、我が家が日常利用しているのはSainsbury’sMorrisons
その他利用するのが、高級スーパー。

#9 M&S (Marks&Spencer) (3.8%)

MandS-entranceMarks & Spencerは英国の百貨店。百貨店はショッピングモールなどに入っていたりするのだが、その食料品コーナーだけがスーパーとして街中にある。酒、冷凍食品、菓子などほぼ店内全てのカテゴリーにおいてM&S印のPB商品を並べており、ブランド統一感が感じられる。

marks-and-spencerまた店内デザインが黒を基調にしており、写真の見せ方なども洒落ているので上品かつ食べ物が美味しそうに見える。プロデュース能力が高い。当然ながら値段は高い。立地にもよるが、中〜上流階級のマダムが来ている印象。

#8 Waitrose (5.1%)

waitrose_exteriorJohn Lewisという英国の百貨店の傘下にある高級スーパー。英国王室御用達なのでブランドイメージは抜群。特に生鮮食料品に安心感がある。駐車場にはベンツやジャガーやテスラが停まっていたりと、このスーパーがあるエリアはそこそこ社会的ステイタスが高い人が住んでいるんだろうなと推測できる。顧客に対し、会計後コーヒーを無料で一杯プレゼントするサービスなど、全従業員はパートナーとして経営参加している為、スタッフによる丁寧なサービスが特徴になっている。

waitroseだが、しかし、個人的にはお高く止まりすぎて鼻に付く。店内は白っぽすぎて無機質、M&Sのほうがフレッシュ感、シズル感がある。そんな私はただの庶民。ところで個人的な感覚ではWaitrose>M&S>>>>Tesco=Sainsbury’s>Morriosons>ASDAかな。本当のところはどうなんだろう?

主夫の息抜き:ドライシェリー

ワインスクールに通っていた程お酒はもっぱらワインが好きなのだが、こっちに来て妻に扶養してもらっていることもあり、ワインにお金を掛ける気が全く起きない。日本よりお得であれば高いワインも自分のカードで貯金を切り崩してでも購入してもいいかと思うのだが、円建てに換算すると、値段が殆ど日本と変わらないのでアホらしくてやらない。

勿論フランスやスペインやイタリアに行けば、元は水代わりにぶどう酒を飲んでいた地域、圧倒的に日本より安い値段で購入できる。やはり原産国だからだろう。イギリスは天候に恵まれずワインの産地ではない。あくまで輸入国でしかない。

例えば、イエローテール。典型的コンビニワインだが、こちらでは6ポンド。£1=¥170で換算すると1000円程度。日本と変わりがない。まあこれはオーストラリアのワインだから輸送コストもそれなりに掛かるだろう。ではヨーロッパのワインはどうか、とくにこちらではスペインのワインが安く売られている。それでも5ポンド以上、テイストは悪くないが日本でも1,200円出せば飲めるクオリティ。34ポンド台となるとヴィンテージも無いブレンデッドワインになり、白はキンキンに冷やして飲めばごまかせるが、赤などは甘ったるくて雑味が多く、速攻で料理酒行き。日本で買う500円ワインと大差ない。

ところでイギリスではしばしばシェリーがスーパーのワインコーナーの一角を占めている。シェリーはスペインはアンダルシア地方のワインだが、スペインでもバスクやカタルーニャなど別地域では余り見ない。スペインよりもむしろイギリスが一大消費地なのだそう。そういえばクリスマスの時も近所の子供のパーティで父母に甘いシェリーが振る舞われていたっけ。しかもスーパーのPB商品まであるのが面白い。それほどにポピュラーなワインなのだ。

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これならば日本で飲むよりコスパが良い。そこで最近飲んでいるのがフィノやマンサニージャなどのPBドライシェリー。これなら5ポンド程度で買える。日本ではドライシェリーを安価に飲みたくても前述のティオ・ペペを1500円くらいで買うしか無い。ましてや恵比寿あたりのスペインバルで一杯頼んだら、小さなグラスに普通のグラスワインの半分程度の量で600ー700円取られてしまう。

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写真はSainsbury’sというスーパーのPBマンサニージャ。PBだけど十分美味しい。ドライシェリー独特ののナッツ、アーモンドというか焦げ臭いような香りと、キリッとした酸味とソルティーな後味はしっかりある。しかも酒精強化ワインだからアルコール度数も15度あってすぐ酔える。これに合わせるツマミはドライソーセージが個人的にはベスト。

今日は妻が残業のため、食事から風呂、寝かしつけの一連を一人でこなしたのだが、娘の寝かしつけに1時間以上かかり、21時過ぎになってしまった。疲れた。。。そんな自分へのご褒美の一杯。お疲れ様でした。

家庭医登録

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現在、妻の赴任でロンドンに来ているため、病気・怪我の際は妻の会社における赴任者用の保険制度を利用して治療を受けることになる。その場合、日本人の運営するプライベートの医療機関に訪れ、精算も給与で調整されるため、キャッシュレスで簡単に医療サービスを利用できる。

一方、ここイギリスでは、NHSという国民健康保険制度があり、その制度下にある医療機関では少額の自己負担で医療サービスを受けることが出来る。イギリス人だけでなく、自分たちのような在留外国人にも適用される。

ちなみにこの制度によってイギリスの一人あたり医療費負担額は日本と同程度になっている。

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By © ZH8000 / Wikimedia Commons

ところでNHSの医療サービスを受けるには、GP登録というものが必要。GPGeneral Practionerの略で、家庭医・町医者のこと。イギリスでは日本のように大きな病院に最初から訪問は出来ない。従って居住地域の近所のGPに患者登録をし、何か具合が悪くなったらまずはそこで診察を受け、結果を元に病院を紹介してもらうというプロセスが必要。このGP登録がないと事が起きた時にいろいろ面倒が起きて、100%自己負担診療になってしまう恐れもあるとか。

イギリス旅行中や緊急事態の場合にはどこの医者にかかるかわからないので、今回近所のお医者さんにGP登録を行った。

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WebページよりDLした6ページ程度の書類に既往歴や家族歴など記入していくのだが、信仰する宗教についての質問があるのはイギリスっぽい。民族のるつぼのロンドン、輸血が出来ない宗教などもあるので確認しているのだろう。子供の予防接種履歴については、英文のレターを日本の小児科で作成してもらったので、そのコピーを添付。診察のアポイントは必要なのかわからないので電話で確認すると、単に書類を出すだけで良いという。

家族3人分をまとめて、昼寝から起きてきた娘をベビーカーに乗せ、散歩がてら提出しに。受付で書類の確認を提出。受付のお姉さんに不備を確認してもらい特に問題がないので受領いただき終了。

非常に簡単に終わってしまった。在留証明など身分証すら見せなかったけどこれでいいのだろうか。

ロンドンの鳥は真夜中にさえずる

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週末の夜中は仕事勤めの時と変わらず、自分の時間がしっかり取れる唯一の機会。この間にNetflixを見たり、家計簿をつけたり、メールを書いたり、ネットで調べ物やタスクの整理をすることが出来る。現在は確定申告の時期でもあり、自分は年末調整前に前職を退職してしまったのに加え、日本の自宅を賃貸に回しているので、作業が結構ある。そんなことをしているとあっと言う間に朝5時とかになってしまう。

一人作業に耽る自分。時刻は午前1時を過ぎたあたりだろうか。しんと静まりかえった部屋の中。もちろん窓の外は灯りをつけている家も無い。しかしどこからか美しい鳥のさえずりが聞こえてくる。まるで高原の朝のような爽やかな「ピピピ、チチチ」という鳴き声。特に渡英間もない頃は違和感をすごく感じた。育児疲れでどんよりしている自分に爽やかすぎるからだ。朝でもないのにやめてくれ!そんな清々しい声、無理にテンションを上げさせて来るようでイラつく。しんみりしたいのに。鳥って鳥目じゃなかったっけ??

一体どのような鳥がさえずっているのかとても気になるが、真夜中に姿をみることは無理。ネットで調べてみたらどうやらロビン(ヨーロッパコマドリ)らしい。Youtubeで鳴き声を確認するとやはりこいつのようだ。

Wikipediaより

ヨーロッパコマドリ(学名:Erithacus rubecula、英名:European Robin, Robin)は、スズメ目ヒタキ科の鳥である。かつてはツグミ科に分類されていたが、現在では再編されヒタキ科に分類されることが多い。ヨーロッパの文学作品等における「コマドリ」「駒鳥」とは、本種のことである。
ロンドン・タイムズが1960年代初めに行った人気投票でも一位になるなど、イギリスでは特に馴染み深い野鳥の一つであり、政府などから正式に制定されてはいないが一般に国鳥とされている。

1年前のBBCの記事「Robin tops poll to find UK’s ‘national bird’」によると、昨年イギリス国民20万人以上の投票でも、34%の得票率によってロビンが国鳥にふさわしい鳥1位の結果が出たとのこと。2位は12%でBarn Owl(メンフクロウ)11%Blackbird(クロウタドリ)。正式な国鳥として承認されるよう活動を行っていくとのこと。

ロビンの姿はいまだ見たことはないが、この声はすっかり最近は馴染みとなり、平日の夜更かし注意のアラームとして活用させていただいている。