子連れ英国の旅:ピーク・ディストリクト国立公園&ストーク・オン・トレント その1/2

最近旅行ネタばかりでまた遊んでるのかと思われるが、3月下旬のイースター休みにイギリスに来て初めて国内旅行に出かけることにした。イースターは日本のGW並に国中が休みムード、家に閉じこもるような人はいないのである。

目指すはロンドンから250km先の国立公園、ピーク・ディストリクト(Peak District)へ向かい、その後南西50km先にあるストーク・オン・トレント(Stoke On Trent)という街の郊外で一泊、翌日街中を回ってロンドンへ戻るドライブ。

7時にロンドンの自宅を出発、ハイウェイM1をただひたすら北西に爆走すること2時間半強。ルートン、レスターを通り、ダービーシャーへ。地図上ではマンチェスターに大分近づいている。

ところでこちらの高速道路は日本よりは全体的に速い。高速での制限時速は70マイル(=112km/h)なのだが、実際皆80マイル(約130km/h)くらいで飛ばしている。追越車線はもっと速く、時折100マイル以上でジャガーFやAudiS4がかっ飛んでいく。最初は結構ハンドルを握る手も緊張したが、日本のように山道はなく、延々と直線と緩やかなカーブが続くので、オートクルーズコントロールを使えばそれほど疲れなくなった。

The heights of Abraham

まず、朝イチで向かったのが、ピーク・ディストリクトの入り口に位置するマトロックという街。ここにはリフトで上がる丘の上の展望台、The Heights of Abrahamがある。

matlockbath

ふもとの駐車場の脇はMatlock Bath駅があり、その駅を横切ってロープウェイ乗り場に向かっていく。単線のひなびた駅に行楽客をのせたディーゼル車が停まっており、とても良い雰囲気。

ロープウェイで一気に丘の上へ。頂上は子供用の公園があり、大きな滑り台があったりと小学生くらいには楽しい場所になっている。その他土産屋やちょっとしたミュージアムなどがあるのだが、日本の疲れた観光地にありそうなとりあえず行ってきました的地名ネーム入りお菓子や、JohnとかElizabethみたいな名前入りキーホルダーの陳列、「世界の宝石館」的施設だったりするのでちょっと残念。世界どこにでもあるんだなぁ、こういったもの。

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眺めは悪くない。だが展望台の向きが東向きで、西に位置するピーク・ディストリクト国立公園と逆側に開けているため、国立公園を見渡す景色は拝めない。国立公園周辺の景色というのが正しい。これだったらさっさと国立公園内に入って、この後訪れたChatworth Houseに時間をより振り分けても良かったかもしれない。ただし、売店でうっていたアイスクリームは美味しかった。

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Chatsworth House

その後、車を西に走らせ、国立公園内に入る。Bakewellの街から少々北に進み、デヴォンシャー公爵の邸宅であるチャッツワース・ハウス(Chatsworth House)に。ここの付近に来るとピーク・ディストリクトならではの景色が広がり、感動する。なだらかで美しい緑の丘、たわむれる羊、そこをぬって走る車道、絵画になる光景である。

chatsworth

贅沢にもチャッツワース・ハウスの広大な敷地の芝生が駐車場になっている。奥がチャッツワース・ハウス。建物内も大きすぎて庭園まで回るなら1日かかってしまう。

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邸宅内は絢爛豪華だが、ゴテゴテしててちょっと。。。こういう重苦しいのはロンドンの美術館にたくさんあるのでお腹いっぱい。むしろ素敵な外観と庭園と国立公園の景色を眺めるだけで最高である。

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その後、ピーク・ディストリクトのワインディングロードを東から西に走る。見渡す限り広々した緑の丘、ワインディングロードの先にも後にも自分たちしかいない。のんびりかつ爽快感に溢れるドライブが楽しめた。

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チャッツワースから50km先のストーク・オン・トレントという街が今日の最終目的地。この街の郊外にあるThe Upper Houseというホテルに宿泊する。

The Upper House

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のどかな牧草地に立つこのホテルは、陶器で有名なウェッジウッドが住んでいた邸宅を利用・改装したもの。

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建物内には現在のオーナーのコレクションであるウェッジウッドの食器などが飾られているほか、レストランの食器も当然ウェッジウッドだったりする。ただし期待値が高すぎたのがまずかった。事前にチェックしていた日本の雑誌での特集写真があまりにも素敵すぎて、ウェッジウッドの世界に浸りながら寝泊まりできるくらいの期待値で行ったら、寝室はごく普通で、共用部分も普通、食事も普通。まあ普通に素敵なイギリスのロッジだった、というのが実際。日本人客が我々の他にもいたりして比較的多そうだったから、皆同じ雑誌を見て訪れてるんじゃないかと疑いたくなる。

つづく

 

子連れマルタ・ゴゾの旅 その2/2

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ゴゾ島の旅

マルタはスキューバダイビングのパラダイス。そもそもマルタはアフリカ大陸が南からヨーロッパを押し上げた結果海底が隆起して出来た島なので地形が複雑、地中海の真ん中なので透明度も抜群によい。沈船などの歴史的な建造物もある。従って島のあらゆる場所がダイブスポットになっている。私もダイバーなので、青い海を見て潜らずにはいられないのだが、ダイブショップに確認すると水温が15度。さすがに冷たすぎる。かつて水温18度で潜ったことがあるが、それでもしばらく泳ぐと身体が冷えてだんだん動きや思考が鈍くなってしんどい。水上に上がった時の寒さも辛すぎる。悔しいけれど今回はパスした。

その代わりマルタの隣の島のゴゾ島への1日ツアーを申し込み、ざっくり見どころを回ることに。

ゴゾ島とは?

マルタ島の北西に位置する小さな島。マルタが岩の転がる荒れ地ばかりなのに対し、農業が盛ん。はちみつやイチゴが名産。あとマルタのワインはほぼゴゾ島で生産されている。

ゴゾ島への移動へはフェリーで

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マルタ島の北端に位置するチルケッワ港(Cirkewwa)からフェリーで20分程度。我々が行った当日は、港が大混雑、予定の船に乗れずここで30分以上行列を並ぶ羽目に。ツアーガイド曰くイースター前の行事のため地元の人も多数フェリーを利用しているからとの事だった。

ダイナミックな海岸線、早速クライマックスの眺め!

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ゴゾの港からはバスで移動。最初に訪れたのがドゥエイラ湾。透明度の高い海とダイナミックな岸壁が圧倒的。朝っぱらからテンション上がりまくり。あーダイビングしないのもったいない。写真上はAzur Window(青い窓)と呼ばれる巨大なアーチ。写真下は遠くに見える垂直に切り立った岸壁と手前はキノコ岩と呼ばれる岩。

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崖下に見えるブルーホール。グロットになっており海底から外海に出られるらしい。これ潜ったら絶対面白いはず。

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他方目をやると、ゴゾ島ダイビングの目玉、Inland Seaが。こちらは崖の手前が静かな砂浜になっており、崖の向こうの外海とは真ん中に空いた洞窟でつながっている。ビーチダイブから洞窟探検が出来るなんて素敵すぎる。湾の手前はダイビング用の小屋に見える。やはり季節柄、ダイバーが乗ってきたと思われるピックアップトラックは1台しか見られなかった。

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こぢんまりとした入江のシュレンディ

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昼食はシュレンディ(Xlendi)に移動し、入江を見下ろす食堂で食事。ここは”コ”の字形の小さな入江のリゾート地になっている。両側は急峻な山がせり出していて、入江の海岸部分はたった100メートル位。まさに写真で見えてる部分しか建物がない。それがなんだか秘境っぽい雰囲気を出していて、セレブがお忍びでやって来そう。

風情ある街並、ヴィクトリア

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島の中心にある街、ヴィクトリアへ移動。マルタ特有の黄色い石造りの街並が美しい。街の中心部には、シタデル(Citadel)という城塞の廃墟があるのだが、子連れは身動きが楽じゃないので城塞には行かず土産屋を散策することにした。

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休憩の一杯、地酒をいただく。牧草臭いというか、植物の香りが強いグラス赤2.5ユーロ。優雅に見ええて、実は一口飲むごとにあさっての方向へ走りだす娘を追い掛け回す私。スプリント効果で酔いも回る回る。

ピラミッドやストーンヘンジよりも古い遺跡

最後に訪れたのはジュガンティーヤ遺跡。5500年前の神殿遺跡だそうで、ガイド曰く世界最古のfree standing structure(独立構造物?)らしい。既に午後の3時、この時間になるとさすがに娘が疲れてきて、わーわー騒ぐためきちんと見学できなかった。まあ、いままで見てきたものが美しかったので、このタイミングで巨石を見てもちょっと感情移入しづらかった面もある。

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トリは面白かった娘のショット。遺跡までのプロムナードを歩いているのだが、サングラスがずれて、ついでに舌も出していて何かの絵文字みたい(笑

sunglasses

素朴な分、ゴゾはマルタ以上に地中海の自然や歴史が身近に感じられて素敵な所だった。やはりダイビング出来ないのが悔やまれる。つぎはダイビングだけの目的で訪れたい。

子連れマルタ・ゴゾの旅 その1/2

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3月のマルタは暖かい!

34日でマルタへ旅行に出かけた。マルタはイタリアのシチリア島の南、緯度ではもうアフリカ。日中の気温18度、夜は12度。風が吹くと肌寒くてコートが必要だが、日中の日差しは刺すように強く南国そのもの。晴れていればTシャツで過ごせる。例えて言えば真冬の東京から温暖な石垣島あたりにやって来た感じに似ている。

リゾートホテルでのんびり

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日頃Airbnbで旅している我が家族だが、今回久しぶりにホテルステイを楽しんだ。今回の目的は街歩きではなく、のんびりおひさまに当たること。3月はオフシーズンなのでホテル代が安い。宿泊先のCorinthia Marina Hotel1ベッドルームのスイートが通常の半額以下で泊まれることもあり、子供の寝かしつけのためのリビングと寝室の分離環境もきちんと確保できたことも大きい。後述するがマルタは交通機関が基本タクシーに限られてしまうので買い出しとかしなくて済むホテルのほうが子連れには楽。子供にはサトウのごはんを持参したので、こちらを温めてもらうことも出来た。

世界遺産ヴァレッタは素敵な街

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世界遺産に登録されている城塞都市ヴァレッタは思いのほか街が綺麗で景観がなにより美しい。通りから港が見下ろせてとてもロマンチック。勿論ベビーカーでの散策も問題なし。

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港の対岸にも砦が見える。ライトアップされてとても雰囲気が良い。

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マルタは十字軍で活躍した聖ヨハネ騎士団に端を発する敬虔なカトリック教国。ちょうどイースターの1週間前で、キリストが磔刑に処された日に当たる為、子供からお年寄りまで装束を身にまとい、マリア像を担いだ厳かなパレードが行われていた。

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近くの教会ではミサがとり行われていた。

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マルタはご飯が美味しい

マルタは1814年にイギリス領となり1964年に独立するまでの150年間で、英語が公用語となるなどイギリスの影響が強くある。ツアーガイドのマルタ人曰く、マルタの人々はイギリスに好意的で、本当は独立はしたくないという国民も多かったとか、多くのマルタ人がイギリス海軍で働いていたため、独立してむしろ仕事がなくなったらしい。いまでもマルタはイギリス連邦の一員である。

従って、食事に関してもイギリスっぽい食べ物がちらほら見かけられる(パイとか白身のフライとか)。しかしおしなべてご飯は美味しかった。

ホテルの中はイタリア人ばかり。イタリア人にとっては身近なリゾート地なのだろう。彼らに鍛えられているため、ご飯が美味しい。食事に関してもイギリスっぽい食べ物がちらほら見かけられる(パイとか)。コーヒーも味も香りも濃くて美味しいし、パスタはきちんとアルデンテを保っていて、とても安心して食べることが出来た。

おすすめはヴァレッタにあるハーバークラブ。港の目の前にあるジャズ・クラブ兼レストランで、モダンなマルタ料理が楽しめる。薄暗くムードが良すぎてお客さんはカップルばかり、ちょっと子連れでは気が引ける雰囲気だったが、ハイチェアの用意もあるし、快くもてなしてくれた。

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メインの豚肉。ロースの柱が3本直立していて、中央の神殿は脂身のあるバラ肉?の塊。それをニンジン君たちが見上げてる。結構なボリューム。

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マルタワインはレストランでも15ユーロ程度からと安い。白はシャルドネもミュスカもさっぱり軽い印象だったけど、このシラーズの赤は南国らしくフルーティでしっかりとしたボディが感じられた。

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マルタご飯は特盛

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ホットドッグを頼むと山盛りポテトとこれが出てくる

WHO(世界保健機関)によれば、マルタはEU内で一番肥満率の高い国だそうだ。それも納得。いちいち出てくる飯の量が半端ない。パスタ一皿で2.5人分位の量が出てくる。ホットドッグを頼むとフルバゲットサイズでやってくる。イタリアンレストランでは一人前のタコのリングイネを二人で分けるように注文、お店は快く応じてくれたが、それでも一皿に出てきたのは日本だったら大盛りの量、大ぶりのタコも目一杯入っている。残念ながらとても美味しいので残すことが出来ず、これですでにお腹いっぱい。次のメインが食べれなくなりそうだった。

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一皿を分けても日本人には大盛サイズ!

残念な公共交通機関

マルタ内の移動に関して言えば、この国には鉄道はないので、路線バスかタクシー。となると基本の移動はタクシーになる。但し問題はタクシーメーターが設置されておらず、料金体系が不明瞭なこと。空港からホテルまでは前払い制、空港のタクシー乗り場でチケットを購入することになる。11キロの距離が20ユーロだった。それ以外の場所では日本と同じく後払い。ホテルから旧市街は7キロ程度で15ユーロ(1,900円だったので、日本並みにタクシー代が高いといえる。気軽につかえる金額ではない。又、バーが連なる繁華街のPacevilleに出掛けた際、丁度滞在時にアイルランドの祭日であるセント・パトリックス・デイの祭りとぶつかった為、街が大混雑。あらゆる通りが若者でごった返していており、我々子連れ家族が歩くのもままならなくなった。仕方なくタクシーで帰ろうとすると、たった1.5キロの道のりが15ユーロとふっかけられた。最終的には妻がネゴって12ユーロになったが全くひどい話である。

(ゴゾ島の紹介へつづく)

テムズ川とビール工場見学

娘を保育園に預けて3週目に突入。最初の週は毎日だったけれど、その後は週2日のペースの為、なかなか親離れ出来ない。先週の朝は保育園に近づくとイヤイヤ言い始め、先生に預けると「パパー!パパー!」とこの世の別れのようにギャンギャン泣き出してしまう。私としては預ける以上先生を信頼し、さっさと出てきてしまうのでその後を案じることもなく、頭を次の事に切替えてしまう。ただ、初めて丸一日預けた日のお迎えでは、教室内で死んだ魚のように焦点の合わない目で座っている娘を見て、「なんてかわいそうな目に合わせているんだ俺は。」とても心苦しくなった。あの目は衝撃的すぎて今でも思い返してしまう。

そして3週目の今日も預ける際に泣きわめくんだろうなと内心ドキドキしながら保育園にいったら、初めは私の足元にギュッとしがみついていた娘も、一切泣いたりわめいたりせず、最後には先生に抱かれながらこちらをバイバイして送り出してくれた。そんな娘を見てほんとうに頼もしくなったと嬉しくなる。

ところでパパが一人になった暁には、娘には申し訳ないが、いままで我慢していたロンドン観光をさせてもらいたいのである。そこで今日はテムズ川散策をしつつ、ロンドン最大のビール醸造所である、Fuller’s Breweryに工場見学に行くことにした。

Underground District線のHammersmith駅からテムズ川岸に出る。写真はHammersmith Bridgeとテムズ東方面を臨むショット。今回向かう方向は写真の逆側、西方向に進んでいく。hammersmith

風も無くおだやかな天気。駅中のピザスタンドで買った一切れのピザを頬張りながら、川べりの遊歩道を進む。

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途中、川沿いにパブやカフェが立ち並んでいる。気持ちよさそうだがまだ気温は8度くらいなので、外でお茶をするのはしんどい。

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最近は随分と日も長くなり、春の兆しが見えてきている。これは満開のマグノリア(木蓮)。

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鳥さんもこんにちは。

bird

途中、道が川沿いから離れ、建物に挟まれた細い路地に変わる。すると、今回の目的地Fuller’sの名前とそのシンボルのグリフィンが掲げられているパブ”The Dove“を発見。地球の歩き方にも載っている有名店らしい。一杯飲みたい気持ちが盛り上がってくる。わくわく。でも我慢我慢、ビール工場までは。

the_dove

そして駅から歩くこと30分、フラーズ醸造所に到着。

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ツアーは完全予約制。ウェブでの申し込みとなる。なぜか1日前以内程度の直前だと、画面上でスロットが空いているのに決済段階でエラーが出て予約が取れないというバグ?が発生するので注意。日数に余裕を持って予約すべし。中では1.5時間ほどかけて、醸造所の成り立ちからビール醸造工程の説明を受けることが出来る。ここは中世の頃からビールづくりが始まっている歴史のある醸造所。今ではヒースロー空港から車でロンドン中心部に高速道路で来る場合必ず通る場所にある。このようなロンドン市内のコストがかかる立地でも、移転をせず歴史を重ね続けているのは家族経営だからとのこと。
tour

ツアーの最後はお楽しみの試飲タイム。25分間13種全ての銘柄を好きなだけ飲むことが出来る。原料にこだわり手間ひまかけて造られたビール、工場見学後だと一滴も無駄にするのがもったいない気持になって、一杯ずつしっかり飲んでしまう。180mlくらいの小さなグラスなのだけれど、4銘柄でギブアップ。もったいないおばけのせいで戦略を誤った。写真の右端にあるポイ捨てケースにどんどん捨てて次の銘柄に移ればよかった。。。

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個人的なおすすめは看板商品であるペールエールLondon Prideとよりパンチの効いたESB、ブラジル産はちみつをふんだんに使って仕込んだゴールデンエールHoney Dew。ぜひお試しあれ。

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フラーズ醸造所

子連れリスボンの旅 その2/2

リスボンの旅2日目はリスボン郊外のベレンをはじめ、若干郊外を訪問。世界遺産であるベレンの塔およびジェロニモス修道院を始め、博物館などもあり見どころのある場所。

まるでドラクエ、ベレンの塔

ベレンの塔は中世に建てられた要塞。手前に広がるテージョ川の監視や税関、灯台に使われてきたらしい。ファンタジー色たっぷりで見応えあり。地上は4層、地下は牢屋になっており、風のマントを纏ってとびおりると対岸に着きそう、そんな建物。

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塔の上から見下ろすと更にドラクエ。塀や石畳とかも8ビットぽく、宝箱や階段がありそうな雰囲気。子供が小学生くらいならばきっと喜ぶ場所に違いない。生憎天気が悪く、雨風が強くてゆっくり観光出来なかった。

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その後ジェロニモス修道院を訪問。ここも世界遺産。大航海時代の栄耀栄華を偲ばせる豪華な建物。大きすぎて全部は回りきれない。中にはインド航路を開拓したヴァスコ・ダ・ガマの棺があった。

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そしてやはりベレンでもエッグタルト。地元の名店、ベレン洋菓子店のエッグタルトは必ず寄るべき場所。ここのエッグタルトもうまかった。持ち帰りたいが焼きたてじゃないと魅力が半減するので、やはりポルトガルに来て食べないとこの味はわからない。

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この後、市内中心方面に移動、南蛮金屏風を観に国立古美術博物館に立ち寄った。江戸初期、ポルトガル人がインドのゴアから日本に来航するまでを描いた屏風。これはすごく素晴らしい。はるか遠いヨーロッパまで来て、400年前の日本とポルトガルとの関わりを示す絵画を観ることに歴史のロマンを感じる。

子連れ旅の移動はUberがおすすめ

この日の移動はトラムを使ったら片道30分かかる距離だったので、ほぼすべてUberを利用した。リスボンでもUberは広まっており、大体呼び出して4,5分で乗ることが出来た。どれもクルマは新しく綺麗で、ドライバーも基本的に英語が話せる人ばかりで快適だった。さらに人懐こいポルトガル人、うちの娘を見るなりカワイイねーとあやしたり、ここを見ろ、あそこに行けだの、日本のアニメが好きだとか、いろいろ話しかけてきて面白い。こういった地元民との人情味溢れるふれあいもUberの副産物ではないかと思う。決して日本のような安心・安全な国ではないので、空港タクシーでさえボッタクリもよくあると聞くし、実際流しのタクシーを捕まえて場所を伝えても変な回り道をしてたどり着くのに無駄な時間と費用がかかったりしたので、場所を事前に伝えて支払も安心なUberで移動することをおすすめする。

民泊先の注意点

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Airbnb経由で宿泊した先はバルコニーから川が望め、地下鉄駅やトラムの停留所に近く、立地は便利だったが、坂の多い街であることと、古い建物だったのでいくつか問題があった。民泊の際は気をつけたい。

  • 暖房がセントラルヒーティングではないので、夜寒い
    • 古い建物ゆえ、建物自体に暖房設備がなく、オイルヒーター2つしか無い部屋だった為、到着の晩がたまたま摂氏5度程度に冷えたため、小さなヒーター2つでは出力が足りず、むちゃくちゃ寒い思いをした。その後は普段どおり夜でも11度程度だったのでなんとかなったが、暖房設備は盲点だった。
  • 給湯器のタンクが小さく、お湯が不足する
    • タンクが小さいゆえに、シャワーを使っているとお湯がなくなって水に変わる。恐らく一人で入る分には問題ないのだが、子供と一緒に入るとなると、時間もかかるのでお湯の量が足りなくなり、初日は子供の髪の毛を洗う前にアウトになってしまった。
  • 階段がきつい
    • これは事前にオーナーと確認したのだが、階段があるけどまあ大丈夫、みたいな話で安心してしまった。実際行ってみると想像以上に階段が狭く長く急で登り降りが辛かった。しかも建物内だけでなく、斜面に立地している為、建物自体に入るのにも階段を登る必要があった。幸いオーナーが親切でスーツケースを運びこむのを手伝ってくれたのが救いだった。

総括

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リスボンはとにかく街の人々が親切で、子供に優しく、うちの娘をまるで我が子の様にかわいがってくれたのが印象的だった。道端でも、トラムの中でも、レストランでも、Uberの車中でも子供に「オラ!」とニコニコ声をかけてくれる。初日はレストランでウロつく我が子をすっと後ろから手を伸ばしてイスに座らせるスーツの紳士がいたのだが、乗せたあとに我々に向かって、”Bem-vindo a Lisboa (Welcome to Lisbon)”とか普通に喋りかけるところがカッコイイ。人懐っこいけれどお節介にならぬ爽やかさがあるのがポルトガルの人々だった。

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街の景色は坂の多い複雑な地形のせいか、とにかく様々な表情を見せてくれる。ちょっとした坂道から見下ろす川の水面、白黒のタイルの石畳と壮麗な建築物や、鮮やかな壁と青いタイルの民家、おしゃれな街角のカフェ、薄汚れてゲットー感たっぷりの旧市街などなど写真に収めるときりがない。また機会があれば訪れたい。

これで暫く旅行はお預け、また家事と育児の主夫の日常に戻っていく。