フルタイム勤務になってからの家事について 中編

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私がフルタイムで仕事をするようになり、日本にいた時と同じ完全共働きとなった。

これまで平日は私がフリーランスの仕事の合間に日々の家事、および火曜日は仕事をセずフルタイムで子供の面倒を見ていた。

しかしこれからは子供を全日ナーサリーに通わせる一方、家事育児のやり方についても新たなやり方が必要になった。行った改革は3つ。1. 平日の炊事の省力化、2. 夫婦間でのタスクの再配分、および3. タスクの外部化を行うことにした。

2.夫婦間でのタスクの再配分

本件に関しては子供のナーサリーへの送り迎えに尽きる。これまでは送迎全てを私が担当していたが、これからは妻が朝の送り、私が夕方の迎えという分担に変えた。これは丁度渡英前の夫婦分担の逆。当時妻は時短勤務だったので朝は私、夕方は妻の分担だった。

私は子供のピックアップの為に基本5時には会社をでなくてはならない。これを達成するにはかなり職場、および上司の理解があってこそ出来うることなので、仕事なんていつでもどこでも出来るからと、こんなワガママを許してくれる今の上司に本当に感謝してもしきれない。

ところでこちらで就職活動をしていた時、ある日系企業の面接に呼ばれたことがある。業務時間が平日9:00-17:30とジョブ・ディスクリプションに書いてあるにも関わらず、面接で「営業業務なので残業は常にある前提です、しかも週末も仕事になることもあります、承知しておいてください」と面食らったことがある。

しかもこちらに対しては、面接が進んでから何々曜日は残業できないなど条件を出さないでください、あるならば今のうちに全て出しなさい、と言われた。どこまで日本のカルチャーを引きずっているのか、目が点になった。跡から条件出してるのはどちらだよ、相当薄給なのに。もちろん面接終了後すぐさまお断りをさせて頂いた。

閑話休題。

イギリス、つまり西洋という環境だからこそ、このような家族中心での時間マネジメントを許容してもらっているが、それだけでもまだ共働き環境を実現するのは難しい。職場と自宅の距離が時間で30分程度という近さであることが大きな助けになっている。

現在のナーサリーが6時にしまってしまい、こちらは基本的に日本の様な延長保育が無いために、親がピックアップ出来なければ、新たにナニー(ベビーシッター)を雇って、我が家の車で迎えに行ってもらい、夕食の支度もある程度してもらうという流れになってしまう所だった。

一方妻の負担は増えた。妻は9時の出社に間に合うよう、朝8時の開園丁度に車でナーサリーに娘を送ったらトンボ返りで自宅に車を戻し、そこから徒歩で駅へ向かう。こちらは日本と違い、地下鉄といっても常に時間通り運行しているとは限らず、遅延などのトラブルが付き物だ、というか常にあると想定していたほうが良いくらい。そういう意味で妻の朝は時間との戦いになってしまった。

また、妻の職場の理解を得て、なるべく妻も可能な場合は自宅勤務などフレキシブルな働き方をさせて頂き、家族全体の負担を減らす努力を行ってもらっている。通勤時間が無いだけで、家事に振り分けられる時間が増えるだけでなく、仕事についても一人作業については集中力が上がったりと、効率が上がるのは言うまでもない。

つづく

フルタイム勤務になってからの家事について 前編

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私がフルタイムで仕事をするようになり、日本にいた時と同じ完全共働きとなった。

これまで平日は私がフリーランスの仕事の合間に日々の家事、および火曜日は仕事をセずフルタイムで子供の面倒を見ていた。ある意味仕事を家事育児に合わせて仕事量の調節を図っていたのだ。

しかしこれからは仕事の時間が固定となる。子供を全日ナーサリーに通わせる一方、家事育児のやり方についても新たなやり方が必要になった。行った改革は3つ。1. 平日の炊事の省力化、2. 夫婦間でのタスクの再配分、および3. タスクの外部化を行うことにした。

1. 平日の炊事の省力化:作り置き惣菜へ注力

正直、これまで私自身は作り置き惣菜というものに全く興味がなかった。煮物やおひたし、食べるのもイマイチ気分が盛り上がらない一方、作るのも億劫だ。

なんで食欲のない時に料理をしなくてはならないのか。子供が寝静まった夜中まで、折角自分の時間として使えるのに料理などしたくない、という気持ちが強かった。だが今回復職にあたり、子供のナーサリーの迎えは引き続き自分のタスクとしているため、平日にのんびり料理をする時間など無いことは明らかだ。

午後5時に会社を出て、すぐさま地下鉄に乗り込み、駅から急いで家まで戻って車に乗り込み、ナーサリーの閉まる午後6時までに迎えに行く必要がある。

8時台の娘の就寝を目指すと、ここから食事の支度をして7時までには娘の夕食を完了させたい。やはり作り置き惣菜+焼き魚などメイン一品+味噌汁という組み合わせで行くのが楽だ。

そこで意を決し、平日は料理を作るのはほぼ止め、週末にガッツリ惣菜を作ることにした。ホウレン草やブロッコリーは茹でて冷凍、イギリスには小松菜が無いのでチンゲン菜と油揚げで煮びたし、インゲンは茹でて胡麻ドレッシングとすり胡麻で胡麻和え、卵は茹でてタレに浸し味玉子、こちらでも抜群に安い鶏胸肉は下味をつけボイルして鶏ハムに。

しんと静まり返った午前1時、邪魔もないから粛々と料理ができあがる。出来たら冷ましてタッパーにどんどん詰め、冷蔵庫へ。結構効率よく出来るのでなんだか面白い。お惣菜づくりってやってみるもんだ。

普段は子供を待たせ、一人でテレビやタブレットで遊ばせている間に追い立てられるように作っているので心の余裕なんて全くないのだから。

作ったメニュー、かつ家族にウケが良かったメニューはレシピサイトのページをブックマークしてフォルダに集め、次回調理時にもすぐ取り出せるようにしておくことにした。

この生活にシフトしてよかったのは、食事がヘルシーになったこと。インゲンの胡麻和えやひじきの煮物など、常に4種類くらいの野菜中心の惣菜が食卓に上るようになった。特に娘は食べないのでは、なぜなら日中ナーサリーではパスタやミートボール、チキンナゲットを食べてるし、と心配たのだが、結構食べてくれた。うちの娘は若干重量オーバー気味だし、これは良い。

すっかり作り置き料理にハマった私は、来週の惣菜をどうするか、この週末の献立に向け、さっそくネットと料理本を研究し始めている。

つづく

主夫のその先へ

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渡英してはや1年が経過。ロンドンで2回めの新年を迎えることになった。そして本年早々自分に大きな変化が訪れた。

今月から自分は現地企業に就職することになったのだ。

渡英前からこちらで就職することは悲願であった。妻のロンドン赴任がきっかけで、会社を辞めて自分も海を渡ったわけだが、家事育児を頑張る一方で、一人の男として家族と一緒に生活を続けるためには、自分のキャリアを継続ことが重要だと考えていた。なおかつ自分の矜持として、ただ妻の転勤についてきた人間ではない、ということを示したい気持ちもあった。

これから我が家の英国生活第二章、新たな挑戦が始まる。東京にいたときと同じように夫婦共にフルタイムで勤務になる。

1年かけてやっと確立した家族全員のライフスタイルを変えていかなければならない。しかもその変化によって、再び家族全員の負担も大きくっていくことは確かだ。

何はともあれ、子供をどうするかが心配だ。ナーサリーにフルタイムで預けることがはじめの一歩。その上でナーサリーの送迎の役割分担を夫婦間でどうするか、娘が病気の時はどうするのか、夫婦とも残業になったらどうするのか。互いが出張になったらどうするのか。今まで以上にタイトなスケジュールの中、夕飯の容易をどうするか。

少し考えただけでもいろいろな問題点が浮かび上がってくる。

それを一つ一つ解決していくのも、海外生活の面白さの一つとして考えていく他ない。

そしてもはや、自分は主夫と呼べる存在なのかどうかも微妙になる。しかしそんなことはどうでもいい。役割が変わるわけではない。引き続き家庭を支えるために家事育児はコミットしていく。家庭の仕事、育児は負担比率が各家庭によって変わるとは言え、夫婦どちらも責任を持たなくてはならないこと。「主」という文字はナンセンス。

主夫のその先へ。とにかく前に向かって進むのみ。

子育てしやすい?ロンドン

少し前の話になるが、宇多田ヒカルがテレビのインタビューでロンドンでの子育てのしやすさを語っていた。そしてその内容がネットで拡散されていた。

宇多田は「日本で子育てをしたことがないので私の認識が間違っている可能性もあるんですけど」と前置きしたうえで、実際に東京で生活して子供を育てている友人の話を聞く限りでは、「東京ってなんて子育てしにくそうな街なんだろうってびっくりします」と話す。彼女が伝え聞いたところでは、「外で赤ちゃんが泣いていたらすごく嫌な顔されるとか」「ベビーカー持って外に行って乗り物ですとかに乗るとまわりがまったく協力してくれないうえになんだよこんな時間にみたいな視線を投げかけられたり」「実際何か嫌なこと言われたりやられたりという体験談をよく聞く」。

 他方、ロンドンでは「とにかくお母さんと赤ちゃんがそこらじゅうにいる」のが良いのだという。日本でもそこらじゅうにいるではないか、と思うかもしれないが、宇多田のいう「そこらじゅう」は、赤ちゃん用のエリア……たとえば公園やファミリー層向けのスポット以外のすべての場所を含めている。「授乳するにしてもレストランで全然するんですよ、くだけたカフェとかじゃなくそこそこちゃんとしたレストランでも嫌な顔されずに授乳できる」のだそうだ。

Daily News Onlineより)

子供Welcomeなロンドン

子供が多い、これは確かに私も感じたことだ。自分も娘が1歳のときにロンドンに来たので、まず同じような乳幼児が街にたくさんいることに驚く。統計で見てみると東京都人口における04歳児の割合は3.8%程度(2015年国勢調査)。対するロンドンの割合はロンドン中心部・外縁部を含め7-8%。なんと2倍近い数字になっている。2倍子供が多いのだから、東京から来た自分からは沢山いると感じても不思議ではない。

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(出典:Londons Poverty Profile)

特に商業施設、および飲食店などで小さな子供を沢山見かけるのだが、とりわけ飲食店は日本より子供の数が多いと思う。なぜなら子供ウェルカムな雰囲気がとてもあるから。子供のイス(ハイチェア・ブースターチェア)は大体の飲食店に用意されている。また着席後から料理が届くまでの時間が子供にとってはおとなしく出来ず、カオスになりがちだが、その間を楽しめるように塗り絵やクレヨン・色鉛筆などをプレゼントしてくれるお店も多い。こういった配慮がいかにもファミレスといった雰囲気の店だけではなく、小洒落たレストランでも対応していたりするのが意外で素晴らしいと感じた点。

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そして、一番大きいのは店員およびお客も子供(特に小さい子)に対して興味をもって声をかけてくれたり目を合わせたりしてくれること。やはり良い子育て環境には周りの人が子供を受け入れる雰囲気を作る心遣いが必須だとつくづく感じる。日本だと他人の子供に関わらないほうが美徳になってしまっているのでは無いだろうか、その結果親子としては周りから受け入れられているのかどうかすら判別できない。

バリアフリーどころかバリアだらけの街ロンドン

一方で、公共交通機関は不便を感じた。ロンドンが誇る地下鉄ネットワークも、ベビーカーでは非常に利用しづらい。ロンドン地下鉄はゾーン制で料金が変わるのだが、Zone1と呼ばれる、ロンドンの最中心部についてはほぼバリアフリーな駅は無いと言って良いに等しい。私はノーザンライン沿線に住んでいるので例に挙げると、都心部分は階段を使わず電車に乗れる駅はほぼない。下の路線図をご覧いただくと環状部分にあたる最中心部の駅にバリアフリーという意味の青い車椅子マークが殆ど無いのがおわかりになるだろう。

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マークはほぼ路線の両端、つまり田舎の地上駅のみに集中している。他の路線も似たようなもの。大英博物館、ハイドパーク、ハロッズやリバティへの買い物なんかは全てZone1の中であるため、ベビーカーを押して親一人でのお出かけはとても萎える。勿論宇多田ヒカルが言うように、階段で立ち往生していると通行人がわっと集まってワッショイワッショイベビーカーを運んでくれることも事実だが、混雑している時にそれを当てにして出かけるのも面倒くさい。

代替としてバスがあるが、比較的段差も無く乗りやすいものの、混雑するロンドン中心部では渋滞に巻き込まれて下手をすると地下鉄の倍くらい時間がかかってしまうことがあるためこれもイライラする。

また、基本的に市内中心部は一般的に歩道が狭く、舗装も悪い。人混みが通りづらいのは渋谷や新宿と変わらない。

歌手のようなお金持ちならタクシーや自家用車で移動しているのかもしれない。

乳幼児を育ているに当たり、交通という面のハードウェアは日本のほうが優れている。一方で子育てに対し周りの人が暖かく接してくれる風土はロンドンのほうが上。ストレスは正直どちらも似たようなもの。ただやはり社会の優しさを感じられる方が親にとっては救われるような気がするのは確かだ。

イギリス人はスモーキーがお好き

個人的感想として、イギリス人の食べ物の味の好みは文化的子孫であるアメリカ人の味に基本的に似ている、しかしアメリカ人より少々大人、しかも男性的な味付けが好みのようだ。

ケチャップなど調味料はアメリカは甘みが強いが、こっちは甘みが少なく酸っぱい。ポテトチップス(こちらではクリスプスと呼ぶ、チップスはフレンチフライのこと)は塩味と酸味が効いているソルト&ビネガー味かバルサミコ味がこの国の定番。

しかしながら、この国の味付の男性的特徴はおそらくスモーキーフレーバーによるところが一番大きいだろう。調味料、ハム・ベーコンに始まり、魚の切り身、お酒、お茶ととにかく何でもスモーキーにしてしまう。そしてこの国のスモーキーフレーバーは半端ない。日本人が一般的に想像できる、炭焼や燻製のほどよい香りというレベルではなく、焚き火の煙をもろに吸い込んだ時のような香りが好きなのである。このあたりもアメリカのBBQ的なスモーキーフレーバーとは違いがあるようだ。

まあ、このスモーキーさもしょっちゅう味わっていると、どんどん中毒のように強烈な香りを求めるようになってしまうから恐ろしい。ここに幾つかイギリスの味を紹介する。

アイラ・モルト

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ご存知ボウモア、ラフロイグ、タリスカーなどに代表される、ピート香が強烈に漂うシングルモルトウイスキー。NHKの朝ドラのマッサンが「あのスモーキーフレーバーを再現したいんじゃ!」と言っていたのが記憶にまだ新しいが、日本人的には初めて口にすると石油石炭、もしくは消毒薬のような風味にぎょっとしてしまう。

ラプサン・スーチョン

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source: wikipedia

アッサムやダージリンとかアールグレイなどと同じ、紅茶の一種。中国産だが中国人は飲まないらしい、勿論日本でもあまり見かけないが、こっちでは普通にトワイニングのティーバッグがスーパーで売られている。この茶葉の香りは強烈、まさに紅茶界のラフロイグ。茶葉を松葉でいぶしているので茶葉が焚き火臭い、燃えカスかと思うくらいである。煮出したお茶はもはや焚き火に水をぶっかけて鎮火したあとの地面の水の様だ。特に私は子供の頃松の木が多い海岸沿いに住んでいたこともあり、焚き火は松葉を燃やしていることが多かった為、より鮮明に焚き火っぽく感じてしまうのかもしれないが。

スモークチーズ

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source: wikipedia

日本で売られているようなソフトタイプで表面がキャラメル色になっているあのおつまみチーズではない。もちろんあのような食べやすいスモークチーズもあるのだが、スーパーでジャーマンスモークチーズと書いてあったので、イギリス風ではないのではなかろうか。イギリス風はハードおよびセミハードなチェダーチーズに焚き火の香りががっつりついている。チーズ臭さがわからなくなり、旨味が引き立つような気がするのは良い点ではあるのだが、問題はスモーキー過ぎてワインとマリアージュしないこと。とくに赤ワインは味と香りがチーズと喧嘩して全く美味しくなく、チーズの主張に無条件降伏する安物の白ワインで十分である。むしろワインよりこちらのペールエールや、ギネスなどのスタウトビールと合わせたほうが美味しい。

タラの切り身の燻製

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スモークドハドック(小さめのタラ)、スモークドコッド(真ダラ)として売られている魚の切り身の燻製。燻されて白身の魚が真っ黄色である。これは焚き火っぽくはないのだが、さりとてスモークサーモンのような上品な雰囲気はまったくなく、ベーコンのような燻香の干物。淡白なタラの身が乾燥することで旨味が凝縮し、スモーキーフレーバーがさらに掛け算の如く旨味を引き立てている。バターで単に焼いてレモンをかけて食べても美味しいが、我が家では身を多少ほぐしてグラタンの具にする。スモーキーな大人のグラタンはビールのお供にピッタリなのである。

スモークドソルト

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source: wikipedia

煙臭い塩である。塩が燻されて黒っぽくなっている。これをふりかけると簡単にスモーキーな料理のできあがりとなる。肉にかけるとベーコンのような風味になって美味い。家でステーキを焼くときの下味は専らこの塩と胡椒を多めに刷り込んで焼く、すると肉の味と塩味だけで十分美味しく、ソースが不要になるほど。