チャリンコ盗まれてヘイトクライム

キーチェーンを壊されてチャリが盗まれた。たった数時間の隙、それも人通りも多い場所でやられた。
最近、打ち合わせ等オフィスに行く必要が無い日は、仕事を集中して片付けるため、近所のスイスコテージ図書館に行くことが多い。昨日も例に漏れず、朝から日本持参の自転車を軽快に走らせ、図書館入り口右横の駐輪場に留めた。

ところでこっちの駐輪場の自転車停めはシンプルというか無造作というか。。地面から逆U字型の鉄パイプがにょきと出ているので、ここに自転車のロックを引っ掛けて留める。逆U字の両側に1台づつ停めるのでパイプ数の2倍しかキャパシティがない。つまりスペースの割に数は停められない。

Bicycle_parking
wikipedia

午後1時半過ぎに仕事が一段落ついたので、少し遅めの昼飯を食べようと、駐輪場に戻る。

「???あれ?」

ない、ないのだ。自転車が。暫く自分の目の前の出来事に頭がついていかない。今日は別の場所に停めたのかもと、自分の記憶違いかと一瞬思ってしまう。

いや、確かにここにあった。動悸が少し収まり周りを見渡すと、3歩離れた場所に破壊されたワイヤーロックが。見事に鍵部分が割られ、金属部分も引きちぎられている。

broken_chainこういうケース、海外では十中八九返ってこないだろう。確かにこちらの自転車ロックはものすごい頑丈に出来ており、自分が日本から持参したものはそれに比べればとても貧弱。それでも人通りの多い図書館の目の前という場所で、金属部分をちぎって盗んだそのやり口には非常に腹が立つ。きっと常に工具を持って自転車を盗もうと物色している悪いやつがこの辺りに居るんだろう。悔しさと半ば諦め感を胸に秘めながら、仕事を済ませ、夕方盗難届を提出するためKentish Townの警察署に向かった。

警察署の中は、これまたひどい環境。お世辞にも綺麗とはいえず、警察署の対応はおばちゃん署員一人だけ。カウンターの周りにはガラスの囲いがあり、そこにひとりずつ呼ばれて入るのだが、まるでこっちが犯罪者の様な扱いだ。現在はガラスの向こうで髪の毛を剃りあげたパンクな女性が現在何か喋っている。自分の前にはパンクを含め、スペイン人の若いカップルと、フランス人の中年姉妹二人の3組。列に並ぶなり、フランス人から「あの女性ですでの30分待たされてるんですよ」とかなりご立腹な様子。そして後ろからiPhoneを無くしたというスペイン人のまたカップルがやって来た。

自分はあと30分で子供を保育園に迎えに行かなくてはならない、単純計算しても自分の番が回ってくるのは不可能だ。とは言え、できるだけ粘ってみようと決心。結果、警察署員のおばちゃんが、まだ時間がかかりそうだから、並んでいる人たちの用件を取り急ぎ訊くという事になったので、自転車を盗まれたことを伝えたところ、盗難届ならオンラインでやれと言われて終了。その後ロンドン警察のウェブサイトで盗難届を提出した。

自分の自転車は日本製でしかもイギリスでは売られていないはずだから目立つはず。奇跡を信じたい。

khodaa bloomところで待っている間、やることがないので待たされている皆で雑談をしていた。警察署の対応が一人だけってどういうことよ?スペインだったら7−8人カウンターで対応しているけど、とか文句から始まり、後から来たスペイン人カップルは旅行者なので、ロンドン観光のおすすめスポットの紹介をしてみたりと話は広がる。

ところで今日はどうされたんですか?とフランス人に聞いてみた。

「ヘイトクライムの報告なんです。今日外を歩いていたら、こんなTシャツを着ている人を見たんです。我々は20年間ロンドンに住んでいて、こんなヘイトは国民投票以降だと。写真には”No need EU parasite, Get EU out of BR”と殴り書きで背中に書いてある人の写真だった。

確かに国民投票以降、ヘイトクライムが増えているとの報道を見かける。そして、EU離脱のリーダーシップは誰が取るのかもまだ分からないし、プロセスは混迷を極めている。先行きがはっきりしないほど、そして時間がかかればかかるほど、こういった過激思想の人たちがトラブルを起こす可能性は高まっていく。個人的にロンドンこそ世界で最もインターナショナルな街だと思うだけに、こういった動きは本当に残念だ。この国は本当にどこへ向かっていくのか。broken_chain

Jazz Cafeで息抜きを

omarCamdenにあるJazz CafeOmarのライブを聞きに行った。
Omarはジャミロクワイ、インコグニート、ブラン・ニュー・ヘヴィーズなどに並ぶアシッドジャズ四天王(個人的見解)の一人。今となっては20年前の音楽になるが、90年代前半~中盤に掛けクラブミュージックとして当時アシッドジャズなるものがすごく流行っていて、自分もその黒いリズムセクションと、オシャレな旋律、ファンキーなホーンのカッコよさにすっかり虜に。その後アシッドジャズの流れるクラブ行ってみたり、アーティストの来日ライブに行ってみたり、新しいHMVやタワーレコードをチェックしてみたりといろいろこの辺りの音楽は思い出深いのである。




アシッドジャズはロンドン生まれ。そのころに、「ああ、こんな音楽が流れるロンドンてカッコイイ街だな~、いってみたいな~」なんて思っていたが、当時の自分がまさか20年後に暮らすとは思いもよるまい。

ところで、Wikipediaによるとそのアシッドジャズの発祥の地がロンドンのカムデンだと言われている。そのまさにカムデンにJazz Cafeがある。

jazzcafe

ライブ当日の晩は仕事の後、いつもどおりにナーサリーに娘をお迎え、ご飯を作って食べさせ、風呂に入れて、ちょっと残業気味の妻にバトンタッチ。8時半過ぎに家を出て車で10分。ライブの開始は9時過ぎだったのでバーカウンターでラムコークを注文、片手に持ってテージ前に。バッチリ間に合った。しかもチケットはたったの20ポンド。仕事・子育て・夜遊びのハットトリック、これぞロンドン生活!って感じ。幸せを感じる瞬間。さっきまで口で息をしながら娘のウンチを拭いていたとは思えない。

Jazz Cafeはスタンディングのライブハウス。2Fはテーブル席もあるが、オシャレデートのジャズ・バーという感じではない。白髪老人からスーツで決めたサラリーマン、20代の若い男女など、老若男女が酒を片手にわさわさ立っている。箱が狭いのでステージが近い。

Omarといえば、一発屋っぽく、デビュー曲There’s nothing like thisが一番有名で、そのあとは下降線。。なのだが、やはりやってくれました。定番を聞くと安心するし、これが一番盛り上がった。

驚いたのは、演奏中でも写真をとってもよいらしいこと。皆iPhone片手にカシャカシャしながら踊っている。このゆるい雰囲気は素敵だ。来日するとこういう人たちはBlue Note Tokyoでライブになるから撮影は不可、演奏する方も聴く方もちょっとかしこまってしまう嫌いがある。但し中にはフラッシュライトを点灯して動画をとっている迷惑野郎もいる、青白い光が眩しくて仕方ない。これはちょっとNG。

でも一番いらついたのは隣に立っていた白人の兄ちゃん。背丈が190センチ近くあって、まさに壁。立っているだけでも公害レベルなのに、リズムに乗るのが恐ろしく下手、縦ノリが出来ずやたら前後右左にカクカク、クネクネ揺れて自分を含めた周りの人間を無双してくる。しかもとなりの男友達に演奏中のステージをバックにセルフィーをとってもらったりと狼藉がエスカレートしてホントにムカつく。

これに対抗するために無言の抗議の意味で自分のパーソナルエリアをしっかり確保し、そこに入り込む奴のカラダや腕に肘や肩でボディーブローを食らわしていたのだが、なんと、音楽を聴いていない自分に気がついた。。。。しまった。